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第四夜
六
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「でも……どうしてそんなことするの?」
「さあね、わかんないよ。でも……」
ふとフレディは遠くを見つめる。
「焦っているのかな」
「焦ってる?」
「時間がない……そんなイメージ。無理してでも央魔がいる……」
「…………」
言葉を返せないでいると、彼は決然とした表情で振り返った。まっすぐな視線に、思わずすくむ。
「もうたくさんの人が死んだ。これ以上の犠牲は許されない。今、ここには俺一人で来てる。偵察だけのつもりだったから。でも仲間に連絡を取れば、上に指示を仰がさるを得ない。そうすれば多分、命令が下る。本体と影の融合を待たずに滅せよと」
「私を……殺すの!?」
声が掠れた。
フレディはリズを躊躇いなく撃った。必要とあれば、この子は私だって撃つだろうーー。思わず身を引いた私の足を引き留めて、自分の両腕を強く揺さぶる。
「でも、俺は姉ちゃんを殺したくない!!だから"影"を屈服させるって約束して!じゃないと……」
「そんな、そんなこと言われても!!」
激しく首を横に振った。困る、困る、困る!だってどうしたいいかわからないものを、どうやったらどうにかできる?何一つ、わからないのに!
「たす……けて」
言葉が溢れた。
「お願い……フレディなら!お母さんを、私を助けて!」
けれど彼は静かに、でもきっぱりと首を横に振る。そんな……どうして……。
「俺は何もしてあげられない。これは姉ちゃんにしか決着のつけられないことなんだ」
腕を掴んだ手に、きゅっと力が込められた。小さくて熱い手。優しいのに、縋ることを許してくれない手。
「急いで。もし姉ちゃんの母ちゃんが本当にここにいるとしたら……残された時間はほんのわずかだ」
「!」
お母さん!そうだ、お母さんが!でも……だってどうしたら!焦りと恐怖で混乱する。考えなきゃいけないのに、考えられない。ああ、誰か。助けて。助けてください。
胸の中の悲痛な声に応じてくれる人は、どこにもいない。その思いを声にして、再び目の前の少年に泣きつきそうになるのを我慢することが私にできる精一杯。言葉を返せない私から、ゆっくり離れた。ドアに手をかけて、振り返らずに言う。
「迷ってる間にも、誰かか犠牲になっているかもしれない。それを忘れないで……」
フレディが出て行ってしまい、しばらくその場に立ち尽くしていた。
「さあね、わかんないよ。でも……」
ふとフレディは遠くを見つめる。
「焦っているのかな」
「焦ってる?」
「時間がない……そんなイメージ。無理してでも央魔がいる……」
「…………」
言葉を返せないでいると、彼は決然とした表情で振り返った。まっすぐな視線に、思わずすくむ。
「もうたくさんの人が死んだ。これ以上の犠牲は許されない。今、ここには俺一人で来てる。偵察だけのつもりだったから。でも仲間に連絡を取れば、上に指示を仰がさるを得ない。そうすれば多分、命令が下る。本体と影の融合を待たずに滅せよと」
「私を……殺すの!?」
声が掠れた。
フレディはリズを躊躇いなく撃った。必要とあれば、この子は私だって撃つだろうーー。思わず身を引いた私の足を引き留めて、自分の両腕を強く揺さぶる。
「でも、俺は姉ちゃんを殺したくない!!だから"影"を屈服させるって約束して!じゃないと……」
「そんな、そんなこと言われても!!」
激しく首を横に振った。困る、困る、困る!だってどうしたいいかわからないものを、どうやったらどうにかできる?何一つ、わからないのに!
「たす……けて」
言葉が溢れた。
「お願い……フレディなら!お母さんを、私を助けて!」
けれど彼は静かに、でもきっぱりと首を横に振る。そんな……どうして……。
「俺は何もしてあげられない。これは姉ちゃんにしか決着のつけられないことなんだ」
腕を掴んだ手に、きゅっと力が込められた。小さくて熱い手。優しいのに、縋ることを許してくれない手。
「急いで。もし姉ちゃんの母ちゃんが本当にここにいるとしたら……残された時間はほんのわずかだ」
「!」
お母さん!そうだ、お母さんが!でも……だってどうしたら!焦りと恐怖で混乱する。考えなきゃいけないのに、考えられない。ああ、誰か。助けて。助けてください。
胸の中の悲痛な声に応じてくれる人は、どこにもいない。その思いを声にして、再び目の前の少年に泣きつきそうになるのを我慢することが私にできる精一杯。言葉を返せない私から、ゆっくり離れた。ドアに手をかけて、振り返らずに言う。
「迷ってる間にも、誰かか犠牲になっているかもしれない。それを忘れないで……」
フレディが出て行ってしまい、しばらくその場に立ち尽くしていた。
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