ミキちゃんちのインキュバス 2 !!

千両文士

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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第165話)】『14日のバレンタイン!? 恐怖のサキュバス・チョコレート・スタチュー!!』

 都内T区某所にあるマンション、平日日中の805号室。
「ええとバニラエッセンスに牛乳、生クリームと、アーモンドスライスにナッツ類と……」
 日中の買い物でスーパーマーケット・エヴリディで買って来たお菓子作りの材料を台所で広げて確認していく金髪黒ギャル。

 同居人の会社員・ヲタク茶摘をハニートラップ篭絡すると言う女淫魔の本懐を果たすチャンスを虎視耽々と狙っていたハーフサキュバスのキアラ・アンジェラは2月14日のバレンタインデーと言う絶好のチャンスを逃すことなく行動。
「さあ、冷蔵庫の業務用チョコレートを湯煎して溶かすわよ!!」

 茶摘みハニートラップ作戦、コードネーム『美爆乳黒ギャル女淫魔ちゃんの手作り本命チョコをプレゼントよっ♡』 を敢行すべく事前に準備しておいた業務用チョコレートブロックを取り出しに向かう。

「さて、チョコは……?」
 キアラが冷蔵庫を開けた瞬間、鉢合わせした人間上半身。
「あっ、どうも おじゃましています。アンジェラさん」
 もじゃもじゃ頭にぐるぐる眼鏡、Tシャツ上に白衣を羽織った魔界人は何かを抱えたまま気まずそうに笑う。

「レイ……今ならラビオさんを呼ばないから素直に答えて? あなた、いつからそこにいたの? そして何をやっているのかしら? ヘンタイ下衆野郎って呼んでいい?」
 フライパンを掴み、冷蔵庫の壁に腰を詰まらせているレイ・ビースト博士にビキビキの笑顔を向けるキアラ。
「ゲスはさておきヘンタイとは最高の褒め言葉ですね、アンジェラ家のお嬢さん!! 私ぐらいのヘンタイ天才研究者はありとあらゆる常識的予測を裏切ってこそ本懐ですよ!?」

 人間界と魔界を直接行き来する魔力ワームホールを作るために新開発した魔界暗器『何処ニモ開カヌ開カレシ門(ポータル・メイカー)』の実験で一時的に魔界と繋げた茶摘家の冷蔵庫から体を捻じらせて出てこようとするものの、腰と尻が詰まってしまった博士。
「あの キアラさん。もしよろしければ私を少し引っ張っていただければ助かるのですが?」
「はあ、本当はそのまま冷蔵庫に押し込んで魔界に送り返してやりたいんだけど……しょうがないわ」
 このヘンタイはさておき、勝手に改造された冷蔵庫は元に戻してもらわないと材料のチョコレートが出せないのみならず茶摘さんも自分も困ってしまう。
 あきらめたキアラは深いため息をつきつつTシャツの袖をまくってレイの上半身を掴み、引き抜きにかかる。

「いきなりお邪魔したにも関わらずすいませんねえ!! 人間界の食べ物は美味しいですねえ!!」
 キアラが出してくれた日本の美味しすぎる小袋お菓子のチョコレートやおせんべい、クッキー等をキアラの滝れてくれたティーバック紅茶と共に美味しくいただくレイ。
「うふふ、昨年の夏にマーメイドウエットスーツ実験にご招待いただいたお礼ですわ!!」
 茶摘家に不法侵入したレイに変なモノを仕掛けられても困るキアラはリビングのちゃぶ台に座らせ、来客や自身のおやつとして常備しているお菓子で豪勢におもてなし。
 現在進行中だった茶摘さん篭絡作戦を感知されて面倒な事になる前に満足させてお引き取りさせようとイモガユクイダオレ攻撃を仕掛ける。

「ところでキアラさんがお世話になっているナードギーク茶摘氏は……ご不在ですかね?」 「茶摘さんはギークやナードじゃなくてジャパニーズ・ヲタクよ、レイ」

「そうでしたね!! すみません、すみません……人間界のニホンゴ、ムズカシイデスからねえ……茶摘氏はジャパニーズ・ヲタクさんっ、と!!」
 白衣の胸ポケットからペンとしわくちゃの紙を取り出したレイはすぐにメモをとって押し込む。
「実は、今回はギード茶摘さんに個人的なプレゼントとしてびっくりおもしろアイテムをお持ちしたんですけど……アンジェラさんにお預けしてもいいですかね?」
 先刻、冷蔵庫の中で詰まっていた時から紐で背負っていた筒を手に取るレイ。

「……中身は何? どんなモノなの?」
 研究者として優秀とは言え倫理観に多大な問題を抱えるこいつの事だからろくなモノではない。
 そう確信したキアラは、中身を見せるように要求する。
「これは守屋様のように魔力を持たない人間の茶摘様でも扱えるように作ったモノでして……その名も『ナンデモ物質変換ビームガン!!』」
 そう言いつつ数本の筒とその他細かいパーツを組み合わせて光線銃を組み立てていくレイ。
「このビームガンは取り込ませたサンプル物質を照射した対象をそれに変換する光線を撃つモノでして、ニホンゴのマニュアルをご用意したのみなら式 ェネルギー源も魔力ではなく人間界の充電規格にも対応!!」
 光線銃を組み終え、USBケーブルと充電プラグ、日本語版マニュアル冊子を見せつつ弾丸テレビショッピングトークを始めるレイ。
「例えば、この小さなチョコレートをこのカプセルに入れてトリガーを引けば あれっ?」

 ビビビビ!! ビガガガガ!!

 次の瞬間、ラビオさんを呼ぼうとしたキアラとデモンストレーション中だったレイもろとも805号室は閃光に包まれる。

 ~数時間後、夜~
「ただいま……んっ?」
 日中の仕事を終えて帰宅した茶摘の鼻をくすぐるチョコレートの甘い匂い。
「あれっ、キアラ……どうしたんだ?」
 茶色い塊と化してちゃぶ台に座ったまま動かないキアラと白衣の魔界人さん。
「これはどうしたんだ…… んっ?」
 帰宅したら真っ暗な室内で同居人のキアラと見知らぬ魔界人さんが茶色い塊になっていると言う異常事態に、スマホを取り出してアランやラビオ刑事さんに連絡を取ろうとした茶摘。
 その眼に入ったのはちゃぶ台上のビームガンおもちゃだ。
「あれ? こんな執筆参考資料……買ってないよなあ? 『ナンデモ物質変換ビームガン!!』取扱説明書?」
 嫌な予感がした茶摘は取扱説明書を手に取って読んでみる。
「まさか、キアラはこの銃の光線で……チョコレートにされてしまったのか!? 早く元に戻さないと!! ええと、ええと!!」
 ちゃぶ台含む室内の様々な物がチョコレート化していると言う悪夢のような状況で全てを察した茶摘は慌ててビームガンの取扱説明書をめくり読み。2人を元に戻す方法を探す。

 ~再度しばらくして~
「茶摘殿、夜分にお騒がせして大変申し訳なかった!! コヤツは我々が魔界警察に連行いたしますぞ!!」
 茶摘がナンデモ物質変換ビームガンで照射した緊急解除システム・ナンデモリセットビームにより無機物チョコレート像から有機生物な魔界人に戻されたレイは緊急連絡で駆け付けたラビオ刑事により現行犯確保。
「てめえ、ロクデナシの俺はとにかくキアラちゃんに手え出すたあどういうつもりだ!! 今日と言う今日はヤキ入れじゃ済ませねえからな!!」
「ひええええ!! ご慈悲をおおおお!!」
 ラビオ刑事の桐喝にレイは身を震わせるものの、魔界刑事コンビは問答無用でレイを魔界に連行していく。
「茶摘さん、本当にありがとう……ございますわ」
 レイを逮捕した魔界刑事コンビが去った805号室。
 茶摘さんに助けられてしまったのみならず、秘密のハニートラップ作戦がばれてしまった気恥ずかしさで上手く感情表現できないキアラ。
「とりあえずキアラが無事で良かったよ……タ飯はウーパーミールで済ませて今日は早く寝る?」
「えつ……はいっ!! そうしましょう!!」
 敢えて台所で見たモノに触れま 優しく気遣ってくれる茶摘の優しさにキュンっとしたキアラは茶摘がスマホで開いたウーパーミール注文メニュー画面を仲良く閲覧するのであった。

【FIN】
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