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第三章:『挟撃のハルメン平原!! 聖魔王子VS二大魔獣!』
【20話】
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クエストで町を離れていたローランとリィナが帰還してから数日後、午後の冒険者ギルドハルメン支部。
「酒3つ、大ジョッキで追加ぁ!!」
「串焼き肉10本!!」
「揚げ芋はまだなのお!?」
半ドンで仕事を切り上げた冒険者達で賑わう安くて腹いっぱい食べられる冒険者向け食堂。
……数日前、ハルメン平原で狂魔化魔物2匹の出現を受けて緊急出撃した王立騎士団。
その討伐に成功した彼らはその骸や魔石を王都の研究機関に提供すべく王都に至る街道を進んでいたものの、道中でハルメンの町を通過することとなリギルド経由で冒険者達に人払い&警備クエストを依頼。
楽で安全、人数上限無し、しかも田舎町の物価水準では考えられない超高額報酬クエストで数日分の稼ぎを半日で獲得し懐がぽっかぽかのアツアツとなった冒険者達はギルド内に設けられた食堂に集結し日が高い時間から酒と美味い物を楽しんでいた。
「いやぁ、今日は賑やかですねぇ……景気が良くて何よりですよ!! これもお2人のおかげです!」
そんな階下の喧騒をよそに同ギルド5階のギルド長室でローランとリィナに対面中だったコルトーネギルド長。
すかんぴんの冒険者達の懐を潤すのみならず王立騎士団に恩を売って町への経済貢献を果たすことで自身の株を上げたギルド長はその立役者となった2人にほくほく笑顔で大感謝する。
「いえ、それほどでも……皆さんが楽しそうで何よりです!」
「ええ、そうね」
巨大植物魔物ブラッディラフレシアに続き、パートナー冒険者・リィナと共に狂魔化魔物ゴブリンキングとウルフリーダーの2体同時討伐を成し遂げたローラン。
ランベルト伯爵からローランの世を忍ばぎるを得ない事情をある程度聞いており、厄介な世間の好奇の目を引き受けるべく『ハルメン平原の狂魔化魔物2体はシュタイン兵士長率いる王立兵士団達が討伐した』と言う(嘘も方便な)虚偽報告行為を快く引き受けてくれたシュタイン騎士団長にローランは心の中で感謝する。
「ええ、そうね。ある意味私も助かったので……ありがとうございます」
ローランの決断とその意図を理解し、それによりある意味助かったリィナも続けて感謝する。
「私もギルド長として狂魔化魔物とやらを拝見しましたが……あんな物がこの町からそう遠くない場所にいたなんて、と本当にぞっとしましたよ。
それはさておき、シュタイン様からお2人にお預かりした物がありまして……こちらとなります」
そう言いつつ机下から大きな荷物を取り出すコルトーネギルド長。
「まずこれは……シュタイン騎士団長様よリリィナ様へとの事です」
「まあこれは……素晴らしい業物だわ!!」
王立騎士団の紋章が入った立派な三振りの銀製の短剣。
実用性を損なわない程度に銀の網目装飾と貴石が埋め込まれた芸術的な鞘から刃を抜き、その実戦向け仕様な強度と切れ味を誇る白銀の刀身を確かめたリィナは武人の心がわかるシュタイン騎士団長の粋な計らいに感謝しつつ満足気に微笑む。
「そしてローラン様へは……シュタイン騎士団長殿がご領主様から預かっていらっしゃった書状のようでございます」
ランベルト伯爵の署名と封蝋で封じられた封筒を開けたローランは中身を読む。
『冒険者ローラン殿へ
この度は領内の魔物の発見及びシュタイン兵士団長と共に討伐していただいた件、誠に感謝しております。
あなたのその勇気が無ければ救助された農家含め多くの領民がその被害を被った事は間違いなかったでしょう。
今はイサ地方領主として王都への様々な報告や研究機関への献体供与、負傷した騎士への補償や治療、その他諸々の事務処理で激務となっており正式なお礼が出来る状況ではないのですが、この場で取り急ぎ感謝の気持ちをお伝えいたします
イサ地方領主 ランベルト・ライド男爵』
(ありがとうございます、ランベルト伯爵様!!)
娘の命の恩人でもあるローランが聖女騎士の孫にして異世界人だと言う事を知っている男爵にしては極めてビジネスライクで形式的な文面であるが、万が一誰かに見られても大丈夫なように配慮した物である事を察したローランは感謝と共に2枚目をめくる。
「んっ、何だこれは…… ? リィナさんにコルトーネさん、この『冒険者称号(ギルドネーム)』って何ですか?」
『私、イノメ王国イサ地方領主たるランベルト・ライド伯爵はイサ地方を脅かす魔物の脅威と戦う若き勇敢な冒険者・ローランの功績を称え冒険者称号『魔物狩人(モンスターハンター)』を与える』
と書かれた領主署名捺印済みの公文書を2人に見せつつ尋ねるローラン。
「ほぉ、これは中々……素晴らしい!! 『魔物狩人(モンスターハンター)』とはローラン殿の実績にふさわしい立派な称号ですぞ!!」
「称号だなんてすごいわ!! 流石はローラン!!」
書状を回し見しつつ歓喜の声を上げる2人。
「冒険者称号って言うのは国家の利益に大きな貢献を果たしたと認められた冒険者に王侯貴族から与えられる名誉ある物……種類にもよるけどこれが与えられたとあれば王侯貴族の指名クエスト依頼やお抱え登用による一獲千金も夢じゃないのよ?」
リィナは名実ともにローランより大先輩冒険者である自身でも授与された事は無い正式な冒険者称号状をじっと見てしまう。
(そうか、ランベルト様は……)
今後も魔物出没頻度が高いイサ地方のために尽力させようと言う政治的意図と聖魔王子たる自分が故郷の異世界に帰るには強力な魔石から大量の魔力を吸収する必要があると言う事実を知っている伯爵の心遣い。
政治的意図と私情の比率はよくわからないものの……この称号は今後も大きな助けとなる。
そう確信したローランは今後も待ち構えているであろう強大な魔物の気配に心躍らせるのであった。
【 To Be Continued・・・】
「酒3つ、大ジョッキで追加ぁ!!」
「串焼き肉10本!!」
「揚げ芋はまだなのお!?」
半ドンで仕事を切り上げた冒険者達で賑わう安くて腹いっぱい食べられる冒険者向け食堂。
……数日前、ハルメン平原で狂魔化魔物2匹の出現を受けて緊急出撃した王立騎士団。
その討伐に成功した彼らはその骸や魔石を王都の研究機関に提供すべく王都に至る街道を進んでいたものの、道中でハルメンの町を通過することとなリギルド経由で冒険者達に人払い&警備クエストを依頼。
楽で安全、人数上限無し、しかも田舎町の物価水準では考えられない超高額報酬クエストで数日分の稼ぎを半日で獲得し懐がぽっかぽかのアツアツとなった冒険者達はギルド内に設けられた食堂に集結し日が高い時間から酒と美味い物を楽しんでいた。
「いやぁ、今日は賑やかですねぇ……景気が良くて何よりですよ!! これもお2人のおかげです!」
そんな階下の喧騒をよそに同ギルド5階のギルド長室でローランとリィナに対面中だったコルトーネギルド長。
すかんぴんの冒険者達の懐を潤すのみならず王立騎士団に恩を売って町への経済貢献を果たすことで自身の株を上げたギルド長はその立役者となった2人にほくほく笑顔で大感謝する。
「いえ、それほどでも……皆さんが楽しそうで何よりです!」
「ええ、そうね」
巨大植物魔物ブラッディラフレシアに続き、パートナー冒険者・リィナと共に狂魔化魔物ゴブリンキングとウルフリーダーの2体同時討伐を成し遂げたローラン。
ランベルト伯爵からローランの世を忍ばぎるを得ない事情をある程度聞いており、厄介な世間の好奇の目を引き受けるべく『ハルメン平原の狂魔化魔物2体はシュタイン兵士長率いる王立兵士団達が討伐した』と言う(嘘も方便な)虚偽報告行為を快く引き受けてくれたシュタイン騎士団長にローランは心の中で感謝する。
「ええ、そうね。ある意味私も助かったので……ありがとうございます」
ローランの決断とその意図を理解し、それによりある意味助かったリィナも続けて感謝する。
「私もギルド長として狂魔化魔物とやらを拝見しましたが……あんな物がこの町からそう遠くない場所にいたなんて、と本当にぞっとしましたよ。
それはさておき、シュタイン様からお2人にお預かりした物がありまして……こちらとなります」
そう言いつつ机下から大きな荷物を取り出すコルトーネギルド長。
「まずこれは……シュタイン騎士団長様よリリィナ様へとの事です」
「まあこれは……素晴らしい業物だわ!!」
王立騎士団の紋章が入った立派な三振りの銀製の短剣。
実用性を損なわない程度に銀の網目装飾と貴石が埋め込まれた芸術的な鞘から刃を抜き、その実戦向け仕様な強度と切れ味を誇る白銀の刀身を確かめたリィナは武人の心がわかるシュタイン騎士団長の粋な計らいに感謝しつつ満足気に微笑む。
「そしてローラン様へは……シュタイン騎士団長殿がご領主様から預かっていらっしゃった書状のようでございます」
ランベルト伯爵の署名と封蝋で封じられた封筒を開けたローランは中身を読む。
『冒険者ローラン殿へ
この度は領内の魔物の発見及びシュタイン兵士団長と共に討伐していただいた件、誠に感謝しております。
あなたのその勇気が無ければ救助された農家含め多くの領民がその被害を被った事は間違いなかったでしょう。
今はイサ地方領主として王都への様々な報告や研究機関への献体供与、負傷した騎士への補償や治療、その他諸々の事務処理で激務となっており正式なお礼が出来る状況ではないのですが、この場で取り急ぎ感謝の気持ちをお伝えいたします
イサ地方領主 ランベルト・ライド男爵』
(ありがとうございます、ランベルト伯爵様!!)
娘の命の恩人でもあるローランが聖女騎士の孫にして異世界人だと言う事を知っている男爵にしては極めてビジネスライクで形式的な文面であるが、万が一誰かに見られても大丈夫なように配慮した物である事を察したローランは感謝と共に2枚目をめくる。
「んっ、何だこれは…… ? リィナさんにコルトーネさん、この『冒険者称号(ギルドネーム)』って何ですか?」
『私、イノメ王国イサ地方領主たるランベルト・ライド伯爵はイサ地方を脅かす魔物の脅威と戦う若き勇敢な冒険者・ローランの功績を称え冒険者称号『魔物狩人(モンスターハンター)』を与える』
と書かれた領主署名捺印済みの公文書を2人に見せつつ尋ねるローラン。
「ほぉ、これは中々……素晴らしい!! 『魔物狩人(モンスターハンター)』とはローラン殿の実績にふさわしい立派な称号ですぞ!!」
「称号だなんてすごいわ!! 流石はローラン!!」
書状を回し見しつつ歓喜の声を上げる2人。
「冒険者称号って言うのは国家の利益に大きな貢献を果たしたと認められた冒険者に王侯貴族から与えられる名誉ある物……種類にもよるけどこれが与えられたとあれば王侯貴族の指名クエスト依頼やお抱え登用による一獲千金も夢じゃないのよ?」
リィナは名実ともにローランより大先輩冒険者である自身でも授与された事は無い正式な冒険者称号状をじっと見てしまう。
(そうか、ランベルト様は……)
今後も魔物出没頻度が高いイサ地方のために尽力させようと言う政治的意図と聖魔王子たる自分が故郷の異世界に帰るには強力な魔石から大量の魔力を吸収する必要があると言う事実を知っている伯爵の心遣い。
政治的意図と私情の比率はよくわからないものの……この称号は今後も大きな助けとなる。
そう確信したローランは今後も待ち構えているであろう強大な魔物の気配に心躍らせるのであった。
【 To Be Continued・・・】
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