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第四章:『突然変異!? 聖魔王子VS巨大軟体魔物・ギガントスライム!』
【第28話】
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「うぉぉぉぉお!!」
そのまま大剣を上段に構え、メガトンジャンプで空中落下攻撃に出るローラン
「おい、バカ!! アタシを殺す気か!!」
あの光輝く白銀の剣が廃墟で見つけた掘り出し物の類ではないのはさておき、このままあのデカイ刃で真紅の軟体魔物・ブラッディスライムを一気にぶった切ろうものなら自分もこいつもろとも三枚おろしにされてしまう。
無駄かもしれないがやるしかない。腹を括ったギルティは自由になる両手で白刃止めの構えを取る。
「そこだっ!!」
だがその予想に反してローランはブラッディスライムの後ろ、ギルティの上半身が出ていない反対側に着地。
そのまま瞬時に大剣を下段に持ち替えて横薙ぎの構えを取る。
『ミネウチ!!』
そのままローランを中心点に270度のパワースイングの円弧を描く剣筋、ブラッディスライムの液球ボディにぶつかる寸前で止められる聖剣……
「うおっほぉぉぉぉ!!」
鮮やかに決まった重量級武器技の衝撃でブラッデイスライムのボデイは大きくくぼみ潰れ、その反対側で下半身を囚われたまま消化吸収されかけていたギルティを一気に叩きだす。
『茨の奇跡!!』
硬外皮に開いた大穴から謎の粘液を垂れ流しつつもなおギルティを再捕食しようとする迫るブラッディスライムを即席の茨檻で閉じ込めて動きを封じ込めたローランは地面に倒れたギルティに慌てて駆け寄り、そのゴツゴツな強肩の下に体を押し入れて全身力で持ち上げつつ気合と根性で引きずるように避難させる。
「良かったわ、ギルティ!!」
『無限収納の奇跡』の安全地帯から出た瞬間、旧友の無事を確かめ抱き着こうとするリィナ先輩。
「ストップ、ストップ!! アタシマジで汚いから!! 今はマジでダメ!!」
ブラッディスライムの胎内で消化液と生体軟液まみれの構うことなく抱きつこうとするリィナをギルティは制止する。
「ギルティさん、奴が動かないうちにこれで体を清めてください!!」
続けて『無限収納の奇跡』から水たっぷりの樽と布切れを取り出したローランはブラッディスライムの胎内で装備を失って消化液と生体軟液まみれになったのみならず、ひきずり避難時に泥土でも汚れてしまった全裸のギルティに差し出す。
「おう、悪いなローランさん!! それであの黒いのは……どのくらい持つんだ?」
ひとまず半魔族ローラン自身とその愛剣の魔法能力を受け入れたギルティは重い水樽を持ち上げて全身に水を豪快にかぶり、布切れで体をふきつつ問う。
「それを試したことは無いんですけど……多分、僕が離れすぎると自然消滅してしまう可能性大ですね」
今後のために要検証事項が出来たローランは脳内に重要事項メモを取る。
「そうね、でもアイツがあそこでずっと大人しくしている保証も無いわ……」
突然変異した軟体魔物に知能があるかはさておき、何が起こっているのか分からないと言った風に『茨の奇跡』で作り出された檻の中で呆然としているブラッデイスライム。
「もしこの場で倒すとしたら……どうすればいいと思います?」
「そうさねぇ……突然変異だとしても軟体魔物スライムである事は変わらないだろう。だからスライムコアをぶち抜くしかないだろうねぇ」
長年の戦闘経験値と生体粘液プールの胎内に取り込まれた時の感覚で分析するギルティ。
「だが、仮にローランさんがもう一度ミネウチに成功したとしてもあの硬え皮をぶち破って出て来るとは限らないだろう」
ローランが先刻と同じ方法を試そうと考えていたのを見抜いてか否かはさておき、大先輩冒険者の的確で冷静な戦術アドバイスに耳を傾けるローラン。
「もしスライムコアを取り出す手段があるとすれば……例えるならオレンジを食う時は皮を剥いて中身を出すだろ?
それと同じであのスライムコアと生体粘液を包み込む硬え皮を再生する時間も与えず一気に引き裂いてバラバラにし、液を抜きつつコアを体外にぶちまけさせてしまうのがいいかもしれない」
体に開けられた大穴をあっという間に再生させ、漏れ出した体液を再吸収して回復していく様を見ていたギルテイは我ながらあまりの無茶ゲー展開に自嘲する。
「とにかくローラン君以外の誰かが冒険者ギルドか王立軍に助けを求めに行く必要があるな」
『覗き窓の奇跡』
「ローランさん!? そのガラス板は……飛んでいるのか!?」
ギルティの質問に答える事無く魔王の指輪で自身の能力情報を確認するローラン。
この場で出来る何か、何かがあるかもしれないと思いつつ今の魔力残量で使える奇跡一覧を再確認する。
「『狼牙の奇跡』と……『狼爪の奇跡』?」
そう言えばあのハルメン平原での挟撃戦のトラウマもあってこの奇跡は試した事は無かった。
今更のように存在を思い出したローランはその名前から奇跡能力を予測しようとする。
【第29話に続く】
そのまま大剣を上段に構え、メガトンジャンプで空中落下攻撃に出るローラン
「おい、バカ!! アタシを殺す気か!!」
あの光輝く白銀の剣が廃墟で見つけた掘り出し物の類ではないのはさておき、このままあのデカイ刃で真紅の軟体魔物・ブラッディスライムを一気にぶった切ろうものなら自分もこいつもろとも三枚おろしにされてしまう。
無駄かもしれないがやるしかない。腹を括ったギルティは自由になる両手で白刃止めの構えを取る。
「そこだっ!!」
だがその予想に反してローランはブラッディスライムの後ろ、ギルティの上半身が出ていない反対側に着地。
そのまま瞬時に大剣を下段に持ち替えて横薙ぎの構えを取る。
『ミネウチ!!』
そのままローランを中心点に270度のパワースイングの円弧を描く剣筋、ブラッディスライムの液球ボディにぶつかる寸前で止められる聖剣……
「うおっほぉぉぉぉ!!」
鮮やかに決まった重量級武器技の衝撃でブラッデイスライムのボデイは大きくくぼみ潰れ、その反対側で下半身を囚われたまま消化吸収されかけていたギルティを一気に叩きだす。
『茨の奇跡!!』
硬外皮に開いた大穴から謎の粘液を垂れ流しつつもなおギルティを再捕食しようとする迫るブラッディスライムを即席の茨檻で閉じ込めて動きを封じ込めたローランは地面に倒れたギルティに慌てて駆け寄り、そのゴツゴツな強肩の下に体を押し入れて全身力で持ち上げつつ気合と根性で引きずるように避難させる。
「良かったわ、ギルティ!!」
『無限収納の奇跡』の安全地帯から出た瞬間、旧友の無事を確かめ抱き着こうとするリィナ先輩。
「ストップ、ストップ!! アタシマジで汚いから!! 今はマジでダメ!!」
ブラッディスライムの胎内で消化液と生体軟液まみれの構うことなく抱きつこうとするリィナをギルティは制止する。
「ギルティさん、奴が動かないうちにこれで体を清めてください!!」
続けて『無限収納の奇跡』から水たっぷりの樽と布切れを取り出したローランはブラッディスライムの胎内で装備を失って消化液と生体軟液まみれになったのみならず、ひきずり避難時に泥土でも汚れてしまった全裸のギルティに差し出す。
「おう、悪いなローランさん!! それであの黒いのは……どのくらい持つんだ?」
ひとまず半魔族ローラン自身とその愛剣の魔法能力を受け入れたギルティは重い水樽を持ち上げて全身に水を豪快にかぶり、布切れで体をふきつつ問う。
「それを試したことは無いんですけど……多分、僕が離れすぎると自然消滅してしまう可能性大ですね」
今後のために要検証事項が出来たローランは脳内に重要事項メモを取る。
「そうね、でもアイツがあそこでずっと大人しくしている保証も無いわ……」
突然変異した軟体魔物に知能があるかはさておき、何が起こっているのか分からないと言った風に『茨の奇跡』で作り出された檻の中で呆然としているブラッデイスライム。
「もしこの場で倒すとしたら……どうすればいいと思います?」
「そうさねぇ……突然変異だとしても軟体魔物スライムである事は変わらないだろう。だからスライムコアをぶち抜くしかないだろうねぇ」
長年の戦闘経験値と生体粘液プールの胎内に取り込まれた時の感覚で分析するギルティ。
「だが、仮にローランさんがもう一度ミネウチに成功したとしてもあの硬え皮をぶち破って出て来るとは限らないだろう」
ローランが先刻と同じ方法を試そうと考えていたのを見抜いてか否かはさておき、大先輩冒険者の的確で冷静な戦術アドバイスに耳を傾けるローラン。
「もしスライムコアを取り出す手段があるとすれば……例えるならオレンジを食う時は皮を剥いて中身を出すだろ?
それと同じであのスライムコアと生体粘液を包み込む硬え皮を再生する時間も与えず一気に引き裂いてバラバラにし、液を抜きつつコアを体外にぶちまけさせてしまうのがいいかもしれない」
体に開けられた大穴をあっという間に再生させ、漏れ出した体液を再吸収して回復していく様を見ていたギルテイは我ながらあまりの無茶ゲー展開に自嘲する。
「とにかくローラン君以外の誰かが冒険者ギルドか王立軍に助けを求めに行く必要があるな」
『覗き窓の奇跡』
「ローランさん!? そのガラス板は……飛んでいるのか!?」
ギルティの質問に答える事無く魔王の指輪で自身の能力情報を確認するローラン。
この場で出来る何か、何かがあるかもしれないと思いつつ今の魔力残量で使える奇跡一覧を再確認する。
「『狼牙の奇跡』と……『狼爪の奇跡』?」
そう言えばあのハルメン平原での挟撃戦のトラウマもあってこの奇跡は試した事は無かった。
今更のように存在を思い出したローランはその名前から奇跡能力を予測しようとする。
【第29話に続く】
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