MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士

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【第五章:エデン第五区画/特殊物理学研究ラボ】

【第67話】

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『お前が俺の相手とはな……』
 大きめの輪に巻いたコウキンジョウを袈裟掛けにし、目の前で対時するカッパマンを脱むロクツキセン。
『ほほほ……共にミクラ・ブレイン様により創造されたアンドロイドと言えこうして一対一でお会いするのははじめてですな、ロクリキセン殿。
 私はSYK-022・カッパマン。こうしてサン殿の配下となる前は第一区画上位管理者アンドロイド、SYK-055・リュート様の部下だった者です』
 この特殊物理兵器試験用アンドロイドボディの人工知能にインストールされたことで復活し、埠頭番三兄弟のベアーマンとして敗北を喫したサン博士&モンキーマンとのリベンジマッチチャンスを与えられたロクリキセン。
 エデン第五区画管理者たるキンカク&ギンカク様の部下であるジェイン様に事前に与えられたデータでカッパマンがカッパオイルを生成射出出来る固有戦闘機工を内蔵するワイヤー&超振動ブレード使いのトリッキーな敵である事を知っていたロクリキセンはくちばし先端と上腕周辺の動きに最大の注意を払う。
『ふむ、分かってはいましたが……どうやら私の手の内はある程度そちらに割れているようですね、ミスター・シカヘッド』
 まさかとは思うがこいつ、あの主様の娘にして天才科学者サン博士による新たな内蔵兵器や未知の隠し手でもあると言うのか?
 ロクリキセンは一瞬ぎょっとする。
『ご安心なさい、シカヘッド殿私は平和主義者の紳士なので……カッパビーム!!』
 腕を大きく広げた片足立ちの姿勢で四肢をぶらぶらさせていた次の瞬間、顔面から飛び出した暗視ゴーグル眼左右でパーの両手を構えるカッパマン。
 そのフレーズと構えから暗視ゴーグルに仕込まれた対アンドロイド熱線兵器を照射するつもりだ!!と瞬時に予測したロクリキセンはすぐにガードの構えを取りサイドステップを踏む。
『カッパスライディング!!』
『!?』
 すぐさまカッパオイル塗布済みの足で駆けだして一気に距離を詰め、華麗なスライディングキックを決めるカッパマン。
 ロクリキセンがバランスを崩してよろけた所ですぐに超振動ブレードを取り出したカッパマンはその体に巻き縄袈裟掛けされていたコウキンジョウの端に突き立ててボディ上半身に固定し、瞬時にその上からにカッパワイヤーでぐるぐる巻きにしてしまう。
『ロクリキセン殿ご安心を……敢えて動力炉は外しましたぞ。さあ、どう来ますかな?』
『くっ!!』
 このHENTAIニンジャ野郎、 勝つためなら手段を選ばないつもりだ。
 右腕を封じられても電子頭脳の無線接続で操作出来たはずのコウキンジョウを刃物とワイヤーで物理的に完封されたロクリキセンは痛覚センサーアラートの中、近接格闘戦に持ち込む。

『ピッグチョップ!! ピッグハリテ!!』
 目の前の羊頭アンドロイド・ヨウリキセンに無茶苦茶な掌打を食らわせ続けるピッグマン。
(こいつ……相性最悪だ、メエ!!)
 特殊物理兵器・バショウセンを振り回し、その拳を当たるがままに弾くヨウリキセンは決定打に欠ける戦況に焦る一方だ。
 ……人類がエデンから放逐され、倫理と言う楔から解き放たれた超人工知能ミクラ・ブレインにより部分的実用化に成功した物理学技術たる『重力操作』。
 スペースオペラなSF作品や異能者バトルな少年漫画ではほぼ100%登場するそれは本来ならばエデンで実用化された汎用人型アンドロイド量産&社会進出と言う第六次産業革命に次ぐ産業革命として人類に多大な利益をもたらすはずだったもの。
 かくしてこの技術により作り出された特殊物理兵器・バショウセンの使い手として選ばれたヨウリキセンは前述の通りピッグマンの巨躯をグラビディウインドで吹き飛ばして距離を取る事も出来ず、詰められたまま無茶苦茶な攻撃を受け流しつつ反撃の機会を伺う一方だ。
『オメェのそのでっけえ薄っぺらいの……すげえなブウ』
『ああ!?』
 そんな状況下で話しかけられて余裕の無さを返答で露呈してしまうヨウリキセン。
『コウガイジ様やギュウマオウ様いげえの戦闘用アンドロイドでパワー負けしたこたあねえオイラのハリテを受け止められるなんて、それなんで出来てるんだブウ?』
『……裏切り者に話す義理は無いメエ』
 一瞬の間で冷静になったヨウリキセンは目の前の豚顔に皮肉たっぷりに答える。

【MMS 第68話につづく】
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