ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第五章:『闇乃宮肆ノ闘戯場/雷獣シネコ』

【第34話】

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『お前ら、そう騒ぐな……耳に響く』
『兄ちゃん!!』
「パパ!!」
「総大将殿!!」
「リーダー!!」
 ヤミネコの肩を借りて岩かまくらに入って来る探に駆け寄るエミとタタラに須田丸。
『ナルカミノモノ殿、失礼頼めるか?』
「おう、任せろヤミネコ!! アニキ、さあこっちだ!」
 魔力を使い切ってぐったりした探を須田丸は肩入れしつつ受け止めて座らせ、魔力回復薬を飲ませる。
『さて、雲隠一族の少年よ……見事な観察力と判断であったな。
 我が闇の加護も与えしこの岩窟であればしばらくは安全であろう』
 鎧をがしゃがしゃさせながらどっかと座り込んだヤミネコはタケルに感謝する。
「ああ、ありがとう……ございます」
 母をさらい、父を目の前でぶっ飛ばした敵の手先ではあるが、もののふとして褒められた事が嬉しかったタケルは素直に答える。
『して、問題はこの先なのだが……完全に覚醒してしまったアレを消滅させる手段はあるにはある。だが我を含めこの場の誰にも出来ないと言う事だ』
「出来ないとはどういう意味だ?」
「あるにはある、と申すのであれば早く申すがよいぞ」
 ナルカミノミヤとミズノミヤはヤミネコに詰め寄る。
『うむ、五武神殿……あれも根本的に言うなればただの魔力塊。さすれば魔力吸収能力を持つ者が取り込んで同化してしまえばよいだけの話なのです』
「……」
『ただ、あれだけのモノを取り込めてその能力を持つ者となると我が主様かそれと同等の力を持つあなた方の長たるタメシヤノミコト様クラスの神力が必要となります。つまり我々には……』
「モンダイナイ、オレサマニマカセナ」
「シルバーさん!?」
「おい、デストロイメン!!」
 立ち上がって岩かまくらの入り口に向かうシルバーデストロイメンを止めるエミとナルカミノミヤ。
「ゼド、オメェ…… ミカチャントデケェナマコタオシタヨナ? アントキノコトオボエテッカ」
「あっ、ああもちろんだ!! あれは我が子孫に語り継がねばならぬ大戦、昨日のように覚えているぞ!!」
「ナラチョウドイイ、スダマルモタノムゾ!! デストロイトランスフォーム・ミサイル!!」
 ライブステージとは反対側に設けられた岩かまくらの出口で瞬時に全身を液体金属化させ、先頭がドクロヘッドな尾翼付きの筒に変形したシルバーデストロイメンはジェットエンジンで飛び立っていく。
「デストロイおじちゃん!!」
「危ない、エミ!!」
 しばらく前のウィークエンドシネマで見た宇宙戦争映画で人類の勝利なラストシーン、戦闘機でUFOの母艦に突撃していくおっさん……それを完全再現したようにダークホールに突撃していくミサイル形態のシルバーデストロイメンを前に安全地帯を飛び出しそうになった妹をタケルはすぐに止める。

 闇乃宮最深部、和ろうそくの黒い火が灯された板張りの間。
「デストロイメンさん!!」
 同室内の座敷牢に囚われの美香は部屋の中央に設けられた銅鏡が映し出す第四闘戯場の光景に叫ぶ。
『飛んで火にいる夏の虫とはこの事……ほほほ』
「タメシヤノミコト様、何とかしてくださいよ!! 早く、早く!!」
 御簾の中から聞こえる声でパニックになった美香は牢内足下に置かれた虫かごを掴んで揺さぶってしまう。
 (華咲さん!! ボクは違うからやめて!! 酔って吐いちゃうから!!)
 (美香ちゃん、落ち着くんや!! タメシヤノミコト様はこっちやで!!)
 (ある意味ナイス!! 主様だが激しくやったりな!!)
 どこからともなく聞こえる拙い声で我に返った美香はチカチカ点滅する光球が閉じ込められた7つの虫かごを見回す。
『水神紋のもののふよ、わらわの呪下にあるその者らはには何も出来ぬぞ……なぜそのような事をする?』
「うるさい、引きこもり!! 皆をこんな目に合わせてただじゃ済ませないからね!!」
『黙れ』
「きゃああああああ!!」
 (ミズノモノ様!!)
 (ぶちしばくぞこのクソアマ!!)
 御簾の中から聞こえた短い詠唱と同時に悲鳴を上げ右手を押さえて苦しむ美香。
『水神紋のもののふよ、これは警告である。わらわを賤じめることは何人たりとも許されぬ……ゆめゆめ忘れるでないぞ?』
 激痛から解放された美香は息を荒くも御簾の向こうに隠れた何者かを呪む。
『デストロイ……』
『それよりそなたの仲間が犬死する様を見なくてよいのか?』
「くっ!!」
 闇渦突入による消滅を目前にしてもなお何か詠唱すると言う悪あがきにおよぶ敵を御簾の中であざ笑うヤミノミヤノミコト。
『ネット!!』
『なに!?』
「ええっ!?」
 初めて聞くトランスフォーム名に2人は思わず叫ぶ

【第35話につづく】
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