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序章 初会
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しおりを挟む「ちょっと桐生くんさ、金貸してくんねぇかなぁ」
「5万でいいからよ」
「すぐ返すからさぁ」
いつものように先輩たちは僕に金をせびてくる。
入学してから今まで何回恐喝されたか、数えるのも億劫になるほどだ。
僕が弱そうで目をつけやすかったのだろう。
それに毎回こんなこと言ってるけど、一度も返してもらったことはない。
別に本当に返してもらいたいわけじゃない。
金なら浴びるほどあるから、渡してやろうと思えばいくらでも渡せる。
実家が大きな製薬会社で、親が僕を溺愛しているから欲しいと言えばいくらでもくれた。
でも、絶対に周りにはそんな素振りは一切見せない。
僕が幸せに暮らしているということだけは、誰にもばれたくない。
それは昔から少し疑問と恐怖があったからだ。
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