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第3章 火宅之境
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しおりを挟む早く寝たのもあって朝もそう遅くならず、かなりゆっくり出来るぐらいの時間には起きることが出来た。
昨日のこともあって、翌日の朝というのは大学に行くことにかなり気が重くなる。
特に昨日静先輩と話して落ち着いたはいいけど、実際他人と会えるかどうかは全く分からないから、油断してもしダメだった時が怖くて更に気が重くなっている。
「はぁ・・・・・・」
今週は結局昨日の午前しかまともに講義を受けられなかったから、今日一日ぐらい行かなくてももう大差は無いんだけど、後期最後の講義日だから行けるのであれば出来れば行っておきたい感はある。
目が覚めたはいいけどベッドの上でうーうー唸ってるだけでどんどん気分が落ちこんできて、まだ隣ですやすやと寝ている静先輩に寄り添うようにもう一度布団に潜る。
静先輩は昨日僕が寝ちゃってからも荷物を片付けたりご飯食べてお風呂入ったりしただろうから寝たのは僕より全然遅いだろうし、時間もまだ早いからもう少し寝ているだろうか。
「ん・・・・・・、弥桜」
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「ん、ああ大丈夫。それにしても早起きだな」
「う、うん。昨日寝ちゃったからシャワーでも浴びてこようかなって」
まだ寝てると思ってこっそりくっついたから、声を掛けられたことに驚いて咄嗟に出た言い訳だったけど、自分で言っててそうじゃん、と今更気づく。
昨日殴られて地面に落とされて身体中汚いはずなのに、そのまま静先輩にくっつくとか何考えてるんだ。
早く、きれいにしてこなきゃ。
こんな汚い身体なんか、早く、きれいに。
着替えだけひっつかんで逃げるようにして脱衣所へ駆け込むと、少し乱暴にドアを閉める。
とにかく今は一刻も早く身体をきれいにしたくて急いで服を脱ぐと、昨日受けた傷にはしっかり湿布やら絆創膏やらが貼ってあってちゃんと治療されていた。
そういえば顔にも大きめの絆創膏が貼ってあるし、服も昨日大学に着て行ったものとは違うやつに変わっていたから、静先輩が全部やってくれたんだろう。
こんな傷だらけの身体をまた見られた。
本当に嫌だな、早く治ってほしい。
本当に、嫌だ。
しっかりシャワーを浴びて気が済むまで上から下まで全身くまなくきれいにしてから上がった頃には、既に起きてから1時間が経っていた。
それでも時間的には全然余裕があるし問題はないんだけど、お風呂に1時間も入っていたこと自体が少し気になった。
しかもそのことに全く気付いていなかった。
長く入っていたという自覚が全くない。
今までそんなことが全くなかったから、気になっただけだと思うけど。
「弥桜、大丈夫か? 随分長かったな」
リビングに戻ると静先輩が朝ご飯を作って待ってくれていた。
「へーきだよ。ちょっと考え事してて思ったより長くなっちゃっただけ」
自分でも気になっていたことを何故かあまり静先輩に言う気になれなくて、つい言い訳をしてしまった。
静先輩はそこには触れず、脱水を起こすといけないから、とあの時みたいに水をくれた。
そうやって朝ご飯を美味しく食べ終わって大学に行く前に最後の一息をついた時、ピンポンと玄関チャイムが音を立てて再び来客を知らせた。
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