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第5章 落穽下石
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しおりを挟む静先輩の言った通り悪夢はだいぶましになって、それに伴って熱も次の日の昼にはかなり下がっていた。
だから明日には大学行けるなって話になったんだけど、その言葉に全身が固まった。
確かに熱は引いたし風邪は良くなったけど、そうじゃない。
それとこれとは別の話である。
外に出ること自体は静先輩が一緒だから大丈夫だけど、大学ではそれぞれに講義があったり別々の用事で離れなきゃいけないことも多い。
たかが大学ぐらいでこんなこと言ってたらどうしようもないけど、だからといって割り切れることじゃなかった。
「分かってるよ、家でこの状態じゃ外で一人になんかなれないよな。でもいかないわけにもいかないから」
熱が下がってメンタルもだいぶ落ち着いたから、家では手を離していられるようになった。
それでも静先輩が立てばぴくりと反応して、移動する度に目で追って。
この状態がまともなわけがなかった。
「ねぇ、なんで番にしてくれないの。そしたら大丈夫だって、安心出来るのに」
前にも同じ話をした気がするけど記憶が曖昧でよく覚えてない。
つい不安でぽろっと出てしまった言葉だった。
「元々弥桜が無理だって言ったんだろ」
「そうだけど・・・・・・。でも、もうそんなことどうでもいいもん。静先輩のものにしてよ」
まさか返ってきた言葉がブーメランで反応に詰まったけど、自分の中では解決してることだからそんな昔のことは棚にあげて静先輩に詰め寄る。
「・・・・・・本当にそう思ってるか」
「思ってるよ!」
それでも信じてくれない静先輩にかなり食い気味で返す。
僕がいいって言ってるんだからいいじゃん。
「やっぱり僕のことなんか嫌いなんでしょ」
「そんなわけないだろ。そうじゃなきゃお前にここまで付き合ったりしなよ」
「でも! だって、じゃあなんで・・・・・・」
いくら聞いても答えははぐらかされて、まだダメだの一点張りだ。
肝心なことは何も教えてくれない。
これじゃあ取り付く島もないじゃないか。
「お願いだから分かってくれ。弥桜のためだから、自分の中でもう一回よく考えてみろ」
静先輩の言ってる意味が全然わかんない。
よく考えた上で大丈夫だって言ってるのに、他に何を考えろというのか。
「わっかんない‼︎」
頭ん中がぐちゃぐちゃでもう顔も見たくない、と視線を外して頭突きする。
どんなに話したくなくても顔を見たくなくても、静先輩に背中は向けられないから仕方なくその胸に顔を埋めてぽかぽか殴る。
完全に八つ当たりだった。
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