聖女は難しい

ナナ・キクチ

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第一章

始まりの出来事1

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 おはようございます。ナナミと申します。

 私はモココシロン国と呼ばれている、この国の
王都神殿に住んで、聖女見習いを致しております。

 幼いころは、この国にある辺境カッテンと呼ばれる領
その中でも、更に辺境にある小さな村ドンドンに祖父母、父母
私、弟、妹の7人で貧しいながら楽しく過ごしていました。
 家は丸太を組んだがっしりした少々広い物です。
祖父と父はドンドン森の魔獣ハンターでした。
祖母と母は家近くの畑で野菜を育てていました。
もちろん私達もお手伝いしました。
(野菜、美味しかったです)
                              

 あれは8歳の時、弟が山菜採り中に、崖下に転落する事故に
遭い、足に大怪我をしてしまったのです。
一緒にいた妹が泣きながら知らせに走って来ました。
祖母が妹を抱きかかえ、場所を聴きながら走り出しました。
(ビックリ)

 私は畑の手入れを手伝っていましたが、母に祖母に付いていく
ように言われて、祖母の後を追いました。
(お歳なのに、私より早いです)

 崖下に弟のうずくまっている姿があります。
傍で祖母がスカートの裾を破り傷口を縛っていました。

 その時、弟の足がダメになると気付きました。

 手をかざしボロボロ泣きながら、治れ治れ治れ。
強く強く強く願いました。
どうしてその様な行動をしたのか?

 普通なら幾ら祈っても、どうにもならないものです。
この時は違いました。
ポヤーンと光り、その光が薄い虹色に輝きを増してゆきます。
同時に意識が遠くなり、後は覚えていないのです。

 気持ち悪くて目を覚ましたのですが、ベットの周りには
祖母と弟、妹がいました。

 弟がいる、あし、足はどうなったの。
弟が泣き出しました。
「ねーちゃん、ごめんなさい。俺がドジってしまって」
私は弟の頭を、なでなでしてやりました。

 嬉しい事に弟の足は治っていました。
(良かった)

 部屋に入って来たのは、近所の小母ちゃんです。
「ナナミちゃん魔法が使えたんだね、小母ちゃんビックリよ」

 その後、私は家族と村人達に治癒の手当を行っていました。
手を当ててお祈りすれば、ポヤーンと光り治っているのです。
 後に知った事ですが、それが光魔法のひとつでした。
幼いポヤーンでしたが怪我でも腰痛でも治りました。
時には妊婦健康診査の様な事も行っていました。

 それが旅商人により王都の神殿に伝わり、当時の聖女ババ様が
お迎えに来てくださりました。
 私は王都神殿に迎えられました。

 当時まだ幼い私は家族と離れた事が無く、寂しくて泣いてばかり。
聖女ババ様が心配して下さり、毎夜抱えて寝かし付けてくれました。
時にはおねしょもしてしまい、夜中にお手数を掛けていました。
恥ずかしい思い出です。
(ババ様、シスター姉さまありがとう)
                                
 日常生活は聖女ババ様の方針で掃除、洗濯、料理、読み書き
計算、魔法、そしてお祈りです。(これ大事)
それ以外にもの、内緒の古代語の読み書き
発音、抑揚(こぶしとも言う)

 時々ポ-ション作り。聖女ババ様の隠し部屋に機器があり
そこで初級品作成から始めました。
 何事も基本と繰り返しが大事です。
恥ずかしいダメダメポーションでした。

 他にも薬草図鑑、魔物図鑑、初級魔法教本がありました。
なかなかハードです。
5年間、日々毎日少しずつ進めて来ました。
楽しく、愛に恵まれた生活でした。

 時には、郊外の聖女ババ様のお屋敷にで、ピクニックにも
行きました。(楽しかった)
シスター姉さま達も神殿とは違い遊んでくれました。


 このお屋敷にも聖女ババ様の隠し部屋がありました。
魔法が使える様になると両方の隠し部屋に行ける様になりました。
魔法陣の描き方と魔石に彫る方法をも教えてくれたのです。

 聖女ババ様は常日頃何事も二つ以上の方法(道)を備えなさいと
おしゃておられました。

 日々は過ぎます。流れます。

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 私が16歳の時、悲しい出来事が起きました。
聖女ババ様が亡くなられたのです。

 お歳なのに、もう魔力が少なくなっているのに、それでも
治癒魔力を使い続けて、この国の人々の為に尽くされたのです。

 泣きながら聖女ババ様にすがり、何度も私の治癒の力を注ぎました。
そんな私に、後ろから国王陛下がお止めになられました。

「もう、楽にしてあげよう。こんなにも国民の為に頑張って尽くして
下さったのだ。ただ、感謝のみ。ありがとうございました」
国王陛下のお声も震えていらっしゃいました。

 聖女ババ様のご葬儀は国を挙げて行われました。
私は、ただぼんやりと言われるままに動いただけです。
この間の記憶は曖昧です。

 泣いて泣き疲れて寝てしまった私は、夜中に目が覚めました。
もう聖女ババ様いない。

ベットの上で思が溢れ、涙が流れてきて止まりません。
神殿の聖女ババ様の隠し部屋に入りました。
 使っていらしたペン。愛読していらした本。机の傷ここは私が
付けてしまった物です。

                             
 ババ様の遺言で全財産は私が継ぎました。
不満の方々もおられていたようですが。
郊外のお屋敷も皆が知らない隠し部屋も。

 隠し部屋の机にマジックバックが2つ置いてありました。

一つに聖女ババ様からのお手紙がありました。

゛この手紙を読んでいると言う事は、私が亡くなった
後の事なのでしょう″

゛ナナミちゃん、ここからの指示を注意して読みなさい。
(何が有るか、心配です)
2つの隠し部屋の全てをこのバックにしまいなさい”

 ゛時期をみて、バック中の空色魔石の魔法陣で、辺境にある
ドンドンの森に行きなさい。
他の人には知られないように気を付けて。
 私の本当の家を貴女に残します。
貴女の人生が幸せであります様に、神々にお祈りいたします。
私の可愛い孫ナナミ”

何か疑問、心の中で
                              
 私は、急いでマジックバックに部屋中の物をいれます。
ポーション窯、器具、秤、薬草図鑑、魔物図鑑、テーブル、薬草
ポーション瓶、仮眠ベット等々。
 作ったポーション類は、一時広い金庫にしまっておきましょう。

 王都郊外の屋敷の隠し部屋に転移します。
こちらには、ババ様のティーセット、ベット、薬草の入った
木箱10箱、魔石の入った木箱10箱。
金貨の袋5袋、銀貨の袋10袋、銅貨10袋、それから宝石の
入った小さな箱々、後で見よう。
今じゃ無い。残った物も全て入れました。
そして急いで神殿の自室戻ります。

 ベッドの上でぼんやりしているとベッドルームの
扉がノックされました。
「…どうぞ」  
「失礼いたします」入ってきたのは、私のお世話係のシスター
ルミナ姉さまです。

「ナナミ様ご気分はいかがですか、少しづつでもお食事を
とりましょうね。そして日常生活に戻しましょう。でないと
聖女ババ様が心配されて神々の元から戻って来られてしますよ」

 迷いババ様ね。(いいかも)

 そうね、神々の像の前で、「心配しないでください」と
お祈りいたしました。


                              
 私はこの国モロロコシの聖女として、日々人々の平和と安寧を
主神様と12神様にお祈り致しております。
                               
 

   

 

   

    

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