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10歳
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母を迎えにパレルモ伯爵家へ向かう馬車の中、オリーブは祖父と伯父に今日起きたことを順を追って話した。
庭の四阿で聞いた父とジョナの会話から始まり、母と話をし手紙を預かったこと、母の部屋から帰る途中でジョナに出くわし混乱して逃げ出してしまったオリーブの落ち度、隣の辺境伯家に逃げ込んでラルフがアルバ伯爵家へ連れてきてくれたこと。普段はどちらかというと口数が少ない自覚があるオリーブがこんなにも長く話すのは珍しいことだった。
「オリーブはステフとパレルモ伯爵がなぜ結婚したか知っているかい?」
ステフとは母のこと。全ての話を聞いた伯父がオリーブにこう問いかけたが、オリーブは母から事業のために政略結婚したと言われただけで詳しくは知らなかったため、頭を横に振った。
「最近では身近になってきた”ゴム”という素材は20年ほど前に発明されたんだけど、主な材料は天然ゴムと硫黄なんだ。パレルモ領の山には天然ゴムの木が生えていた。前パレルモ伯爵に頼まれて、天然硫黄が採れる我がアルバ家と二家共同でゴム工場を作ることが決まり、その工場経営のためにステフとパレルモ伯爵は政略結婚をしたんだ」
オリーブはパレルモ領の特産がゴムということは知識として知っていたが、それが母の実家が関係していたとは知らなかった。
「ゴム工場を作るのは発明者の利権が絡み簡単にはいかなくてね、とても時間がかかった。そうしているうち、オリーブが3歳頃かな、パレルモ領に建設していたゴム工場が完成する少し前からパレルモ領で天然硫黄が発掘されるようになったんだよ。そのためアルバ家との業務提携は無くなって、そのゴム工場はパレルモ伯爵家だけで経営するようになったんだ。アルバ家としては領の主な産業でもないし、発掘するのに危険を伴う天然硫黄の発掘量を増やすことにどちらかというと積極的ではなかったから別によかったんだけどね」
伯父の説明に、母が昼に離婚できると言っていたのはそのためかとオリーブは納得した。
「ゴムの成形には成形方法を教えてもらう代わりに売り上げから一定額の使用料を取られるんだが、パレルモ伯爵は気が弱い。アルバ家が関わらなくなった途端に侮られ、相場より相当高い率を吹っかけられそのまま契約してしまったんだ。ステフがいないところで起きた契約で当時のステフは相当荒れていたよ」
オリーブにとっては優しいと思っていた父は、母、祖父、伯父からは気が弱い腰抜けだと思われていたことを今日は知ったが、ちゃんとした理由もあったらしい。
伯父が話し終わると、砂を噛むような顔をしながら祖父は言った。
「私もロドニーもパレルモ伯爵家は沈む船だと思っている。パレルモ伯爵家を助けるよりも、どうやってオリーブとステファニーをパレルモ伯爵家から助け出すかと悩んでいた。今回は御誂え向きに庶子がいるらしいとわかったことだけは僥倖だな。もちろんステファニーに毒を盛り、二人を殺害しようとしていたことは許せないが。……庶子や毒の入手方法、協力者、証拠について何も掴めていない今動けば奴らを満足に問い詰めることも出来ず、それらを隠す時間を与えることになるとはわかっている。それでもステファニーの救出を優先する」
父の気が弱いだけでパレルモ伯爵家を沈む船と言う祖父に、オリーブは少し飛躍しすぎではないかと思ったが、祖父と伯父が母のことを案じ、オリーブと母がアルバ伯爵家に戻ることを歓迎してくれてると分かりホッと胸を撫で下ろした。
今の時刻は23時半の少し前。他に馬車がいないおかげか、母に連れられてアルバ伯爵家へ通っていた時には考えられないほど早くにパレルモ伯爵家へ着いた。
門を潜る直前に馬車の窓から外を見ると、外灯に照らされたマレンゴに乗るラルフと目が合った。オリーブは声を出さずに口元を動かして”ありがとう”と伝えると、ラルフは眉間にしわを寄せ頷きゾグラフ辺境伯家の方向へ帰っていった。
青い寝間着姿が寒そうで、馬車に乗る前にカーディガンを返せば良かったとオリーブは後悔しラルフが風邪を引かないようにと祈る。
「オリーブはここで待っていなさい」
玄関の前に停止した馬車を出る直前、オリーブは祖父から同行を止められた。母のことが気になるが、子供の自分がいないほうが良いと判断した祖父に素直に従い、残してくれた護衛と二人で馬車の中で待機する。
窓から外を見ても、口元を強張らせ目を震わせている自分の顔が真っ暗な闇の中に反射しているだけだった。
日付も変わった深夜の1時頃、大きな鞄を持った護衛を引き連れて、伯父一人だけがオリーブの待つ馬車へ戻ってきた。
「ステフはまだ顔色は悪いけれど怪我もなく無事だよ。今は離婚について話し合いをしているんだ。相手に準備期間を与えずに決着してしまった方が良いってのはせっかちで喧嘩っぱやい父上とステフの考えでね……私は後日改めた方が良いって言ったんだけど多数決で押し切られてしまったよ。毒を盛られたせいでステフが大人しいことを安堵しているくらいだから安心して欲しい」
オリーブにとっては明るくてかっこいいと思っていた母は、伯父から見るとまた違う印象らしい。伯父から母の無事を知り、やっと緊張から解放されたオリーブの目から涙が溢れる。そんなオリーブの頭を、伯父は優しく撫でてくれた。
「これはオリーブがパレルモ伯爵家の継承権を放棄しパレルモ伯爵家から除籍する書類。これに署名するとこの家から何も持ち出せなくなる。退室していたオリーブの侍女を呼び出して、オリーブが大切にしていた物をまとめてこの鞄へ入れてもらったんだ。パレルモ伯爵からもこれらの持ち出しの許可はもらっている。ここにある以外に持ち出したいものがないか確認してくれ。宝石や魔道具など高価なものは難しいが伯父さんが交渉しよう」
そう言って伯父は護衛が持つ大きな鞄を開きオリーブに中を確認させる。中には幼い頃に一緒に寝ていたぬいぐるみ、母が編んでくれた手袋、初めて刺繍したハンカチ、亡くなったお祖母様からの手紙、誕生日にラルフからもらったオリーブ色のリボンなど、オリーブにとっての宝物たちが詰まっていた。貴族令嬢としてそれなりの数を管理していた宝石は一個も無い。
オリーブはその中から白い陶器で出来た猫型のペーパーウェイトを取り出す。7歳の時に視察のお土産として父にもらってから、いつも勉強机の上に飾っていた白猫のペーパーウェイト。手渡してくれた時の父の笑顔を思い出し、湧き上がってくる父を慕う気持ちを一生懸命無視する。
「この鞄だけで充分。でも、これはいらないからパレルモ伯爵に返して欲しい」
オリーブは伯父に白猫のペーパーウェイトを手渡し、書類とペンを受け取る。急遽用意したとは思えない数の書類に署名を書き込むオリーブへ伯父が話しかける。
「アルバ家とパレルモ家以外の天然硫黄の産地は炎の聖獣の住処という共通点があるんだ。アルバ家で天然硫黄が発掘できるのは複数の無人島で、そこには炎の聖獣はいないが、昔から小さな噴火を繰り返している山が必ずあるんだ。アルバ領には沢山の島があるけど、火山がない島からは天然硫黄は出てこない。その実体験から、アルバ家では炎の聖獣がいないのに天然硫黄が発掘できる山は噴火すると考えている。アルバ領のひとつの山から発掘できる量に比べて、豊富な量の天然硫黄がパレルモ領で発掘されたと聞いた時から、パレルモ領の山はいつか大きく噴火すると危惧していたんだ。その噴火は明日かもしれないし100年後かもしれない。ステフはパレルモ伯爵を説得して、天然硫黄を発掘している山全体がゴム工場の土地になるように、そこに住んでいた人から相場より高く土地を買い取り立ち入りを禁止したんだ。それでも工場や発掘現場で働く人は沢山いるし、噴火したら火山灰は山を越えて広い範囲に降り注ぐ。ステフは離婚できても一人娘のオリーブはパレルモ伯爵家から除籍できない。それでどうしたもんかと父上と悩んでいたんだよ」
オリーブは先ほど祖父が言った”パレルモ伯爵家は沈む船”という言葉の意味を理解した。おそらくパレルモ家の嫡子を外れると決まったために教えてもらえたのだろう。あのままパレルモ伯爵家の爵位を継いでいたとしたら、噴火するかもしれない山とそこにいる領民の命がオリーブの肩にのしかかっていたのだ。改めて、貴族として生きること、爵位を継ぐということの重さに気づく。
サインが終わり、これでもうオリーブはパレルモ伯爵の一人娘、オリーブ・パレルモではなくなった。
「これでよし。アルバ家に入籍する書類はまた後日作るからね。私はまた話し合いの場に戻るけど、オリーブは最後にパレルモ伯爵に会いたいかい?」
オリーブは頭を横に振り断った。父に対して感じている怒りや悲しみを今すぐ言葉にすることは難しいし、会ってもただ泣くだけの自分しか想像できない。
伯父はオリーブが署名した書類とペーパーウェイトを持ち、また屋敷に戻っていった。
先ほどと同様に、馬車の中で母たちの帰りを待つオリーブ。母の無事を知り、人心地付いたおかげかいつの間にか眠ってしまった。
オリーブは大きな白猫の背に乗り、マレンゴに乗るラルフと遠駆けしている夢を見た。夢の中でオリーブはその白猫の瞳を見る。その瞳の色はピンクなのか、緑なのか、それとも父と同じ赤なのか、見ているのになぜかわからない。そんな不思議な夢だった。
庭の四阿で聞いた父とジョナの会話から始まり、母と話をし手紙を預かったこと、母の部屋から帰る途中でジョナに出くわし混乱して逃げ出してしまったオリーブの落ち度、隣の辺境伯家に逃げ込んでラルフがアルバ伯爵家へ連れてきてくれたこと。普段はどちらかというと口数が少ない自覚があるオリーブがこんなにも長く話すのは珍しいことだった。
「オリーブはステフとパレルモ伯爵がなぜ結婚したか知っているかい?」
ステフとは母のこと。全ての話を聞いた伯父がオリーブにこう問いかけたが、オリーブは母から事業のために政略結婚したと言われただけで詳しくは知らなかったため、頭を横に振った。
「最近では身近になってきた”ゴム”という素材は20年ほど前に発明されたんだけど、主な材料は天然ゴムと硫黄なんだ。パレルモ領の山には天然ゴムの木が生えていた。前パレルモ伯爵に頼まれて、天然硫黄が採れる我がアルバ家と二家共同でゴム工場を作ることが決まり、その工場経営のためにステフとパレルモ伯爵は政略結婚をしたんだ」
オリーブはパレルモ領の特産がゴムということは知識として知っていたが、それが母の実家が関係していたとは知らなかった。
「ゴム工場を作るのは発明者の利権が絡み簡単にはいかなくてね、とても時間がかかった。そうしているうち、オリーブが3歳頃かな、パレルモ領に建設していたゴム工場が完成する少し前からパレルモ領で天然硫黄が発掘されるようになったんだよ。そのためアルバ家との業務提携は無くなって、そのゴム工場はパレルモ伯爵家だけで経営するようになったんだ。アルバ家としては領の主な産業でもないし、発掘するのに危険を伴う天然硫黄の発掘量を増やすことにどちらかというと積極的ではなかったから別によかったんだけどね」
伯父の説明に、母が昼に離婚できると言っていたのはそのためかとオリーブは納得した。
「ゴムの成形には成形方法を教えてもらう代わりに売り上げから一定額の使用料を取られるんだが、パレルモ伯爵は気が弱い。アルバ家が関わらなくなった途端に侮られ、相場より相当高い率を吹っかけられそのまま契約してしまったんだ。ステフがいないところで起きた契約で当時のステフは相当荒れていたよ」
オリーブにとっては優しいと思っていた父は、母、祖父、伯父からは気が弱い腰抜けだと思われていたことを今日は知ったが、ちゃんとした理由もあったらしい。
伯父が話し終わると、砂を噛むような顔をしながら祖父は言った。
「私もロドニーもパレルモ伯爵家は沈む船だと思っている。パレルモ伯爵家を助けるよりも、どうやってオリーブとステファニーをパレルモ伯爵家から助け出すかと悩んでいた。今回は御誂え向きに庶子がいるらしいとわかったことだけは僥倖だな。もちろんステファニーに毒を盛り、二人を殺害しようとしていたことは許せないが。……庶子や毒の入手方法、協力者、証拠について何も掴めていない今動けば奴らを満足に問い詰めることも出来ず、それらを隠す時間を与えることになるとはわかっている。それでもステファニーの救出を優先する」
父の気が弱いだけでパレルモ伯爵家を沈む船と言う祖父に、オリーブは少し飛躍しすぎではないかと思ったが、祖父と伯父が母のことを案じ、オリーブと母がアルバ伯爵家に戻ることを歓迎してくれてると分かりホッと胸を撫で下ろした。
今の時刻は23時半の少し前。他に馬車がいないおかげか、母に連れられてアルバ伯爵家へ通っていた時には考えられないほど早くにパレルモ伯爵家へ着いた。
門を潜る直前に馬車の窓から外を見ると、外灯に照らされたマレンゴに乗るラルフと目が合った。オリーブは声を出さずに口元を動かして”ありがとう”と伝えると、ラルフは眉間にしわを寄せ頷きゾグラフ辺境伯家の方向へ帰っていった。
青い寝間着姿が寒そうで、馬車に乗る前にカーディガンを返せば良かったとオリーブは後悔しラルフが風邪を引かないようにと祈る。
「オリーブはここで待っていなさい」
玄関の前に停止した馬車を出る直前、オリーブは祖父から同行を止められた。母のことが気になるが、子供の自分がいないほうが良いと判断した祖父に素直に従い、残してくれた護衛と二人で馬車の中で待機する。
窓から外を見ても、口元を強張らせ目を震わせている自分の顔が真っ暗な闇の中に反射しているだけだった。
日付も変わった深夜の1時頃、大きな鞄を持った護衛を引き連れて、伯父一人だけがオリーブの待つ馬車へ戻ってきた。
「ステフはまだ顔色は悪いけれど怪我もなく無事だよ。今は離婚について話し合いをしているんだ。相手に準備期間を与えずに決着してしまった方が良いってのはせっかちで喧嘩っぱやい父上とステフの考えでね……私は後日改めた方が良いって言ったんだけど多数決で押し切られてしまったよ。毒を盛られたせいでステフが大人しいことを安堵しているくらいだから安心して欲しい」
オリーブにとっては明るくてかっこいいと思っていた母は、伯父から見るとまた違う印象らしい。伯父から母の無事を知り、やっと緊張から解放されたオリーブの目から涙が溢れる。そんなオリーブの頭を、伯父は優しく撫でてくれた。
「これはオリーブがパレルモ伯爵家の継承権を放棄しパレルモ伯爵家から除籍する書類。これに署名するとこの家から何も持ち出せなくなる。退室していたオリーブの侍女を呼び出して、オリーブが大切にしていた物をまとめてこの鞄へ入れてもらったんだ。パレルモ伯爵からもこれらの持ち出しの許可はもらっている。ここにある以外に持ち出したいものがないか確認してくれ。宝石や魔道具など高価なものは難しいが伯父さんが交渉しよう」
そう言って伯父は護衛が持つ大きな鞄を開きオリーブに中を確認させる。中には幼い頃に一緒に寝ていたぬいぐるみ、母が編んでくれた手袋、初めて刺繍したハンカチ、亡くなったお祖母様からの手紙、誕生日にラルフからもらったオリーブ色のリボンなど、オリーブにとっての宝物たちが詰まっていた。貴族令嬢としてそれなりの数を管理していた宝石は一個も無い。
オリーブはその中から白い陶器で出来た猫型のペーパーウェイトを取り出す。7歳の時に視察のお土産として父にもらってから、いつも勉強机の上に飾っていた白猫のペーパーウェイト。手渡してくれた時の父の笑顔を思い出し、湧き上がってくる父を慕う気持ちを一生懸命無視する。
「この鞄だけで充分。でも、これはいらないからパレルモ伯爵に返して欲しい」
オリーブは伯父に白猫のペーパーウェイトを手渡し、書類とペンを受け取る。急遽用意したとは思えない数の書類に署名を書き込むオリーブへ伯父が話しかける。
「アルバ家とパレルモ家以外の天然硫黄の産地は炎の聖獣の住処という共通点があるんだ。アルバ家で天然硫黄が発掘できるのは複数の無人島で、そこには炎の聖獣はいないが、昔から小さな噴火を繰り返している山が必ずあるんだ。アルバ領には沢山の島があるけど、火山がない島からは天然硫黄は出てこない。その実体験から、アルバ家では炎の聖獣がいないのに天然硫黄が発掘できる山は噴火すると考えている。アルバ領のひとつの山から発掘できる量に比べて、豊富な量の天然硫黄がパレルモ領で発掘されたと聞いた時から、パレルモ領の山はいつか大きく噴火すると危惧していたんだ。その噴火は明日かもしれないし100年後かもしれない。ステフはパレルモ伯爵を説得して、天然硫黄を発掘している山全体がゴム工場の土地になるように、そこに住んでいた人から相場より高く土地を買い取り立ち入りを禁止したんだ。それでも工場や発掘現場で働く人は沢山いるし、噴火したら火山灰は山を越えて広い範囲に降り注ぐ。ステフは離婚できても一人娘のオリーブはパレルモ伯爵家から除籍できない。それでどうしたもんかと父上と悩んでいたんだよ」
オリーブは先ほど祖父が言った”パレルモ伯爵家は沈む船”という言葉の意味を理解した。おそらくパレルモ家の嫡子を外れると決まったために教えてもらえたのだろう。あのままパレルモ伯爵家の爵位を継いでいたとしたら、噴火するかもしれない山とそこにいる領民の命がオリーブの肩にのしかかっていたのだ。改めて、貴族として生きること、爵位を継ぐということの重さに気づく。
サインが終わり、これでもうオリーブはパレルモ伯爵の一人娘、オリーブ・パレルモではなくなった。
「これでよし。アルバ家に入籍する書類はまた後日作るからね。私はまた話し合いの場に戻るけど、オリーブは最後にパレルモ伯爵に会いたいかい?」
オリーブは頭を横に振り断った。父に対して感じている怒りや悲しみを今すぐ言葉にすることは難しいし、会ってもただ泣くだけの自分しか想像できない。
伯父はオリーブが署名した書類とペーパーウェイトを持ち、また屋敷に戻っていった。
先ほどと同様に、馬車の中で母たちの帰りを待つオリーブ。母の無事を知り、人心地付いたおかげかいつの間にか眠ってしまった。
オリーブは大きな白猫の背に乗り、マレンゴに乗るラルフと遠駆けしている夢を見た。夢の中でオリーブはその白猫の瞳を見る。その瞳の色はピンクなのか、緑なのか、それとも父と同じ赤なのか、見ているのになぜかわからない。そんな不思議な夢だった。
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