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「やりたいようにやるか。
 なら、最後はやっぱこれで決めよう。
 リアルでリアろう!」

「それ言うならバトろうでしょう。」

 最後は殴り合いで決めたい。
 結婚するにしても、イエスというのがこっぱずかしくて、ゲームで語る方に頼ってしまう。
 生粋のオタクで、ゲーマーだ。

「握りこぶしの準備はいいか!」

「ルールは無し!
 最後まで立ってた方が告白した方!」

 まるで生前の若いころを思い出すかのように、必死に憧れた物語の主人公になった気分だ。
 現実に二次元を持ち込めた彼女もそうだけど。

「やっぱ、なりたい自分になるのがコスだよね。」

「僕が成りたいのは小悪魔ヒロインでも、強いよ。」

「私はヒーローだよ。」

「I am hero.
 この言葉にどれだけ憧れたか、わからないねえ。」

 最強じゃない。
 最強の力を持っているわけでは無い。

「lack,plackそれこそ一部の人のように高潔な精神を持った男の人になりたいと思ったねえ。」

 モブも主人公も関係ない。
 ハードボイルドな生き方、それが俺にとってのヒーロー。

「ってことは決めるのは格ゲーで魔法無しで良いね。」

「リアル格ゲーなんてご法度だけどね。」

「ここは異世界だもん。
 大丈夫!」

 有言実行の格ゲー対決。
 武器無し、技あり、反則無し。
 実践武術とでも言うべき組手が繰り広げられ用としていた。

「結界は張るから死にはしないけど苦しいからそこは我慢してね。」

「構わないよー。
 かかってきんしゃい。」

 クイクイと手招きをするアンズさん。
 対して俺はボクシング風の構え、攻撃とカウンターどちらも狙うタイプ。

 ジャブで入り、体勢が崩れたところを投げる。
 投げたら組み敷こうとするがそこに合わせてきたアンズさんの女性だけに許された大胸アタック。
 決して邪な感情は抱いていない。

 柔らかいゴムのような質感の中に超重量級のパンチをくれたようなその鈍器は色んな意味で破壊力抜群のだ。
(邪な感情ありました。)

 だがこちらも負けておらんぞ。
 相手が鈍器なら石頭じゃーい。

 グリグリ押し付けて組技解除と共に、弾道を逸らす。
 仁義なき戦いはまだ終わらぬ。

「kるりんぱ」

 なんと牛乳をぶん投げてきたぞ。
 ここで遠距離攻撃。
 
「dどんぱ」

 最短距離のあの技。

「く、やりおる。
 だが、これでしまいぞ。」

「な、なにを!」

 互いにやるのはただ一つ。
 一切無抵抗の殴り合い。
 
「無骨な拳こそ最強よ。」

「術の伝承は模倣に在り、術の発祥は必死に在り。」

「「秀刃御多芸!」」
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