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今後の方針の決まった俺は隠密の修練を行うのだがやり方が解らないと躓きそうになった。
躓いてもしょうがないと思い俺が最初に手していた賢者が書いたという本を読んでみるとその方法が載っていた。
「なんとなくだけど分かるからやってみるか。それに時間はたくさんある。」
数か月ほど本に書いてあった鍛錬法を実践していった。
幸い食べ物は畑から取れるし肉も多少なりは入ってくる小動物や昆虫を食すことで栄養源を損なうことは無かった。
「なんとかこれで様にはなったか。」
そして初めて結界のようなものの外に出た。
ここから先は常時死闘を演じなければならない場所だ。
一歩踏み込んだ瞬間にイノシシに突進をされた。
どうあがいても対応しきれない。
思考だけが生を実感させているときに必然の奇跡は起きた。
もう一人の俺が身体を動かした。
「Bumouuuuuu!!!!!!」
イノシシに突進されたにもかかわらず数ミリたりとも経っていた場所から動くことなくイノシシを受け止めていた。
「自分の身体で自分の意思で動かしているのに不思議な気分だ。」
「そりゃあ俺だって俺だしな。」
この並列思考というスキルは全く同じ人格をもう一人生み出している感覚だ。
ようは天使と悪魔が両立した状態でどちらも身体を動かせる。
そんなことをしたら互いに互いが邪魔をするような状態になると思うのだがそれが中々起きない。
むしろ互いが互いで行動できないときに動かすことのできる別チャンネルが操作する緊急手段として動ける状態。
冷静な状態を常時維持できるようになっている身体は便利だ。
故に賢者の記した本の他に資料に目を通させていた。
「何とか会得した技が上手くいって良かったというべきところだけどな。」
賢者の残した本には戦闘に関する本もあったが大半は脳筋の考え方ばかりだった。
だから自分が知る護身術を用いた。
「スキルってのはあくまでも補助みたいな動きしかできないと見るのが妥当か。」
「ある程度補正はかかるんだろうがいわゆる公道格闘みたいなコマンドと同じだろ。」
偶々正面から来たのも功を奏したがスキルに頼り切った戦い方ではゲームと変わらないように思えた。
「しかし初めての戦闘だったが感想はどうだった。」
「俺も怖かったぜ。テレビみたいなチャンネルのように見えなければ俺もお前と同じようになっていたと思う。」
「FPS視点のゲームってところか。」
「無茶苦茶リアルなVRだけどな。技を使うのも初めてだったけど大丈夫そうでよかった。」
「ああ、魔力操作が上手くいって良かった。俺とお前は同じだから同じ事はできるしどっちが本物とかわからねえな。」
どっちも本物だからなおのことどちらがどちらか解らなくなる時の方が多い。
あっちが知識を身に着ければこっちも知識を身に着ける。
オンオフもできるがあまり感覚は変わらない。
むしろ情報量が少なくなり危険を感じる。
中々にこの並列思考スキルというのは中毒性も去ることながら利便性が優れ過ぎているように思えた。
普通にこのスキルを持っているだけで世界に多大な変革をもたらすことができるズル、チートスキルだと思った。
「そういえば俺らって自分に鑑定したことなかったよな。」
「ああ、俺も記憶をたどっているが自分の鑑定はしたことが無い。生物の鑑定もしたことがねえな。」
「ならやってみた方がよさそうだな。」
鑑定、心の中でそう念じた。
刀赤《トウセキ》 幹《ミキ》
身長175㎝
体重97㎏
体脂肪率3%
《並列思考》
《換金《鑑定》《買取》《査定》》
《ショップ《異次元操作》《銀行》《発注》》
《人間言語理解》
《ウイルス耐性》
《病原菌耐性》
《炎熱耐性》
《寒冷耐性》
《金属毒耐性》
《タンパク質毒耐性》
《ウイルス感知》
《病原菌感知》
《炎熱感知》
《寒冷感知》
《金属毒感知》
《タンパク質毒感知》
《武術(我流)》
《牛の獣鬼一族の祝《呪》い》
《西の守護神獣白虎の願い》
《牛の獣鬼女王の願い》
「見たことが無いスキルもあるけど、俺ってこんなに体重あったっけ?」
「それだけじゃないぞ。体脂肪率が3パーセントってことはカロリーが少なすぎるぞ。」
「多分、ここ最近の食生活と身体の動かし過ぎじゃないのか。」
「なるほど、でも一応病院とかで精密検査は受けた方が良いと思うぞ。」
確かにと思いつつ、見慣れぬスキルをタップする。
武術(我流)
流派無き武術の総称。
武術とは弱き者のために作られた日常の延長線上でできる鍛錬法に在り武道は精神を高めるモノ。
護身術とは違い、己が狩りをするときにも畑を耕すときにも使えるモノであり神に捧げる儀式にも成りえるモノ。
流派無き武術は日常の延長線上から生まれた原始、これからも進化する可能性を秘めている。
西の守護神獣白虎の願い
西を司りし守護神獣白虎が巻き込んでしまった関係のない存在を幸せになって欲しいと思う願い。
いずれ幸せを感じることができたとき、このスキルは消滅する。
西を司りし守護神獣白虎はミサキであり神でもある存在。
その御身が願えば優しき夕闇があなたを包み込むだろう。
牛の獣鬼女王の願い
牛の獣鬼女王が巻き込んでしまった関係のない存在を幸せになって欲しいと思う願い。
いずれ幸せを感じることができたとき、このスキルは消滅する。
牛の獣鬼女王は神になる可能性を秘めている。
故に牛の獣鬼女王が神に昇格すれば祝福を授かることだろう。
「意味が解らん。」
「まあ、いいだろ。先に進もうぜ。」
「そうだな。」
躓いてもしょうがないと思い俺が最初に手していた賢者が書いたという本を読んでみるとその方法が載っていた。
「なんとなくだけど分かるからやってみるか。それに時間はたくさんある。」
数か月ほど本に書いてあった鍛錬法を実践していった。
幸い食べ物は畑から取れるし肉も多少なりは入ってくる小動物や昆虫を食すことで栄養源を損なうことは無かった。
「なんとかこれで様にはなったか。」
そして初めて結界のようなものの外に出た。
ここから先は常時死闘を演じなければならない場所だ。
一歩踏み込んだ瞬間にイノシシに突進をされた。
どうあがいても対応しきれない。
思考だけが生を実感させているときに必然の奇跡は起きた。
もう一人の俺が身体を動かした。
「Bumouuuuuu!!!!!!」
イノシシに突進されたにもかかわらず数ミリたりとも経っていた場所から動くことなくイノシシを受け止めていた。
「自分の身体で自分の意思で動かしているのに不思議な気分だ。」
「そりゃあ俺だって俺だしな。」
この並列思考というスキルは全く同じ人格をもう一人生み出している感覚だ。
ようは天使と悪魔が両立した状態でどちらも身体を動かせる。
そんなことをしたら互いに互いが邪魔をするような状態になると思うのだがそれが中々起きない。
むしろ互いが互いで行動できないときに動かすことのできる別チャンネルが操作する緊急手段として動ける状態。
冷静な状態を常時維持できるようになっている身体は便利だ。
故に賢者の記した本の他に資料に目を通させていた。
「何とか会得した技が上手くいって良かったというべきところだけどな。」
賢者の残した本には戦闘に関する本もあったが大半は脳筋の考え方ばかりだった。
だから自分が知る護身術を用いた。
「スキルってのはあくまでも補助みたいな動きしかできないと見るのが妥当か。」
「ある程度補正はかかるんだろうがいわゆる公道格闘みたいなコマンドと同じだろ。」
偶々正面から来たのも功を奏したがスキルに頼り切った戦い方ではゲームと変わらないように思えた。
「しかし初めての戦闘だったが感想はどうだった。」
「俺も怖かったぜ。テレビみたいなチャンネルのように見えなければ俺もお前と同じようになっていたと思う。」
「FPS視点のゲームってところか。」
「無茶苦茶リアルなVRだけどな。技を使うのも初めてだったけど大丈夫そうでよかった。」
「ああ、魔力操作が上手くいって良かった。俺とお前は同じだから同じ事はできるしどっちが本物とかわからねえな。」
どっちも本物だからなおのことどちらがどちらか解らなくなる時の方が多い。
あっちが知識を身に着ければこっちも知識を身に着ける。
オンオフもできるがあまり感覚は変わらない。
むしろ情報量が少なくなり危険を感じる。
中々にこの並列思考スキルというのは中毒性も去ることながら利便性が優れ過ぎているように思えた。
普通にこのスキルを持っているだけで世界に多大な変革をもたらすことができるズル、チートスキルだと思った。
「そういえば俺らって自分に鑑定したことなかったよな。」
「ああ、俺も記憶をたどっているが自分の鑑定はしたことが無い。生物の鑑定もしたことがねえな。」
「ならやってみた方がよさそうだな。」
鑑定、心の中でそう念じた。
刀赤《トウセキ》 幹《ミキ》
身長175㎝
体重97㎏
体脂肪率3%
《並列思考》
《換金《鑑定》《買取》《査定》》
《ショップ《異次元操作》《銀行》《発注》》
《人間言語理解》
《ウイルス耐性》
《病原菌耐性》
《炎熱耐性》
《寒冷耐性》
《金属毒耐性》
《タンパク質毒耐性》
《ウイルス感知》
《病原菌感知》
《炎熱感知》
《寒冷感知》
《金属毒感知》
《タンパク質毒感知》
《武術(我流)》
《牛の獣鬼一族の祝《呪》い》
《西の守護神獣白虎の願い》
《牛の獣鬼女王の願い》
「見たことが無いスキルもあるけど、俺ってこんなに体重あったっけ?」
「それだけじゃないぞ。体脂肪率が3パーセントってことはカロリーが少なすぎるぞ。」
「多分、ここ最近の食生活と身体の動かし過ぎじゃないのか。」
「なるほど、でも一応病院とかで精密検査は受けた方が良いと思うぞ。」
確かにと思いつつ、見慣れぬスキルをタップする。
武術(我流)
流派無き武術の総称。
武術とは弱き者のために作られた日常の延長線上でできる鍛錬法に在り武道は精神を高めるモノ。
護身術とは違い、己が狩りをするときにも畑を耕すときにも使えるモノであり神に捧げる儀式にも成りえるモノ。
流派無き武術は日常の延長線上から生まれた原始、これからも進化する可能性を秘めている。
西の守護神獣白虎の願い
西を司りし守護神獣白虎が巻き込んでしまった関係のない存在を幸せになって欲しいと思う願い。
いずれ幸せを感じることができたとき、このスキルは消滅する。
西を司りし守護神獣白虎はミサキであり神でもある存在。
その御身が願えば優しき夕闇があなたを包み込むだろう。
牛の獣鬼女王の願い
牛の獣鬼女王が巻き込んでしまった関係のない存在を幸せになって欲しいと思う願い。
いずれ幸せを感じることができたとき、このスキルは消滅する。
牛の獣鬼女王は神になる可能性を秘めている。
故に牛の獣鬼女王が神に昇格すれば祝福を授かることだろう。
「意味が解らん。」
「まあ、いいだろ。先に進もうぜ。」
「そうだな。」
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