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「うわぁ、これもっと居たのか。」
俺がやっているのは感覚に色を与えるような行為。
爆発音を聴くと赤の視覚を連想しさざ波の音を聞けば青い海を連想させる。
日常的な感覚で有ればそれでも充分な技術をさらに昇華させる。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を全てつなぎ合わせる行為。
成功すればまたとない超人になれる。
しかし一度間違えれば廃人になるかもしれない。
圧倒的な情報変換伝達は
赤を見た途端に怒りを感じるような狂人。
高い音を聞いただけで恐怖の数々を敏感に捉え発狂。
食材の香りを嗅いだだけで涎が滝のように絶え間なく流れ落ちる。
米を一口、口にすれば米一粒一粒から異なる味を感じてしまい食べ物が食べれなくなる。
香辛料に触れただけで激しい痛みを訴える。
以上のことが起こり得る技術。
そしてもう一つ。
青を見ただけで感動できるようなったり。
低い音を聞くだけで大自然を一心に感じられる。
一雫の水の渇いた匂いから数千もの思い出を思い出せる。
生きとし生けるものの味を知れる。
今己を支えている巨大な力を身をもって体感できる。
「完成、かな?」
五感全てが繋がり合い持ちつ持たれつを体現する感覚。
「凄いねえ。」
世界はこんなにも大きく自分がどれほどちっぽけな存在かを実感させる。
そして同時に世界はこんなにも力に満ち溢れていて、己もその力の存在を知らなかったのかを知った。
無知を知ったのだ。
「人間にもアレみたいな力があるんだな。」
鬼の傷のある自分だけかもしれないが妖怪どもの持っている力が自分にもあることを知覚する。
未知の力ではなく既知の力をより明確に感じ取る感覚。
思い出すという表現が近いかもしれない。
「既にあった力を使ってるだけなのに赤ん坊に戻った気分だな。」
「あの、刀赤さんは先ほどから何が見えて……え、これはいったい?」
後ろから学校で別れたはずのミウスさんに匹敵する平穏な生活を脅かす邪悪な存在を感知した。
邪悪
心がねじけていて、人間の秩序関係、人間の実践すべき道義に反すること。
即ち学校内の小さな社会ではいじめることこそが正義であり人倫、秩序である。
故に秩序を変革をもたらす者たちのことを邪悪と呼べる。
彼女は車から顔を出しており明らかにここを追跡してきていることが分かる。
しかも彼女は今の今までこの異形たちが見えていなかったのに俺と接触したことで気づき始めたことになる。
「お嬢様。異形のモノが拝見できるようになりましたか。ではいったん身体をおやすめください。」
車の運転席から女性の声がした。
その言葉と同時に五感を連動させた俺でしたか気づかなかった見えない手刀を明日香さんの首に当てて眠らせた。
明日香さんが倒れ運転席の人物があらわになった。
「車上にて無礼をお許しください。私加藤家の侍女をしております。葛西 詩と申します。加藤家とは基より仮の家名なのです。」
「仮の名ね。じゃあ神に魅入られやすい一族とかだったりする?」
「流石にお気づきでしたか。虎と鬼をその身に宿すだけのことはあります。」
「そんなに有名なのこいつら?」
「私たちの業界ではその存在が感知されると同時に緊急対策本部が出るほどには重要かつ危険な存在ですよ。そのお二人はね。」
その割にはこっちにあまり干渉してきていないと思っていたが。
「あくまでも陰ながらです。
もし封印が解けた場合再封印ができるような人材配置はしています。」
「ああ、じゃああの鼻たれ坊主の父親もそうなのかな?」
「ええ、あの弁護士はそういう人たち専門の弁護士です。
もとはこの業界に居ましたがあまり感知するのが上手くなかったので堅気に回っていただきました。」
「あ、そう。………これは結界?」
話し込んでいて気づかなかったが異形たちがこちらに一切近づていて来なかった。
賢者の家にあったものよりも数段低いが感じられる魔除けのような気配があった。
「ええ、この辺りは神の山で無いのにあまりにも異形が多すぎますので静かにお話しできませんからお嬢様と共に眠っていただきました。」
スッと手を見れば何かしらのエネルギー体が身体に定着しているのが見て取れた。
「今までお嬢様は神に魅入られてしまい他の霊体に興味が出ませぬように封印術を編み込まれていた御様子でして、お嬢様に神の視線を消えたのを機に封印に綻びが生まれていきました。
まさかそれがあなた様の虎とは思いもしませんでしたが。
私どもも最善を尽くしてはいますが異形のモノたちとの交信は困難を極めます。
あなたは偉業をその身に宿してはいますがそれもまた稀有な事例なのです。
何故虎があなたを選んだかは私どもも知る由もございません。」
「一つ良いか?」
「なんでしょう?」
「俺の両親は普通の人だったのか?」
「それに関してはyesです。ただしあなたのおじいさまはその限りではありません。あなたのおじいさまは海外に私たちと同じような存在との伝手を御持ちです。」
「世界を渡り歩く傭兵がただ世界を見て回るわけねえよな。」
「あなたのおじいさまからあなたの封印が変革が行われているとの報告を頂きこちらに馳せ参じた次第です。まあお嬢様の我が儘が表向きにはメインですが………。」
「じゃあミウスさんについても何か知ってるのか?」
ここに通る途中にあってそうだけどと思いつつ情報の新鮮さがどこまで早いかを調べていく。
「申し訳ございませんがミウスさんについては存じ上げていません。ギリシャ系の術者という認識しかございません。」
俺がやっているのは感覚に色を与えるような行為。
爆発音を聴くと赤の視覚を連想しさざ波の音を聞けば青い海を連想させる。
日常的な感覚で有ればそれでも充分な技術をさらに昇華させる。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を全てつなぎ合わせる行為。
成功すればまたとない超人になれる。
しかし一度間違えれば廃人になるかもしれない。
圧倒的な情報変換伝達は
赤を見た途端に怒りを感じるような狂人。
高い音を聞いただけで恐怖の数々を敏感に捉え発狂。
食材の香りを嗅いだだけで涎が滝のように絶え間なく流れ落ちる。
米を一口、口にすれば米一粒一粒から異なる味を感じてしまい食べ物が食べれなくなる。
香辛料に触れただけで激しい痛みを訴える。
以上のことが起こり得る技術。
そしてもう一つ。
青を見ただけで感動できるようなったり。
低い音を聞くだけで大自然を一心に感じられる。
一雫の水の渇いた匂いから数千もの思い出を思い出せる。
生きとし生けるものの味を知れる。
今己を支えている巨大な力を身をもって体感できる。
「完成、かな?」
五感全てが繋がり合い持ちつ持たれつを体現する感覚。
「凄いねえ。」
世界はこんなにも大きく自分がどれほどちっぽけな存在かを実感させる。
そして同時に世界はこんなにも力に満ち溢れていて、己もその力の存在を知らなかったのかを知った。
無知を知ったのだ。
「人間にもアレみたいな力があるんだな。」
鬼の傷のある自分だけかもしれないが妖怪どもの持っている力が自分にもあることを知覚する。
未知の力ではなく既知の力をより明確に感じ取る感覚。
思い出すという表現が近いかもしれない。
「既にあった力を使ってるだけなのに赤ん坊に戻った気分だな。」
「あの、刀赤さんは先ほどから何が見えて……え、これはいったい?」
後ろから学校で別れたはずのミウスさんに匹敵する平穏な生活を脅かす邪悪な存在を感知した。
邪悪
心がねじけていて、人間の秩序関係、人間の実践すべき道義に反すること。
即ち学校内の小さな社会ではいじめることこそが正義であり人倫、秩序である。
故に秩序を変革をもたらす者たちのことを邪悪と呼べる。
彼女は車から顔を出しており明らかにここを追跡してきていることが分かる。
しかも彼女は今の今までこの異形たちが見えていなかったのに俺と接触したことで気づき始めたことになる。
「お嬢様。異形のモノが拝見できるようになりましたか。ではいったん身体をおやすめください。」
車の運転席から女性の声がした。
その言葉と同時に五感を連動させた俺でしたか気づかなかった見えない手刀を明日香さんの首に当てて眠らせた。
明日香さんが倒れ運転席の人物があらわになった。
「車上にて無礼をお許しください。私加藤家の侍女をしております。葛西 詩と申します。加藤家とは基より仮の家名なのです。」
「仮の名ね。じゃあ神に魅入られやすい一族とかだったりする?」
「流石にお気づきでしたか。虎と鬼をその身に宿すだけのことはあります。」
「そんなに有名なのこいつら?」
「私たちの業界ではその存在が感知されると同時に緊急対策本部が出るほどには重要かつ危険な存在ですよ。そのお二人はね。」
その割にはこっちにあまり干渉してきていないと思っていたが。
「あくまでも陰ながらです。
もし封印が解けた場合再封印ができるような人材配置はしています。」
「ああ、じゃああの鼻たれ坊主の父親もそうなのかな?」
「ええ、あの弁護士はそういう人たち専門の弁護士です。
もとはこの業界に居ましたがあまり感知するのが上手くなかったので堅気に回っていただきました。」
「あ、そう。………これは結界?」
話し込んでいて気づかなかったが異形たちがこちらに一切近づていて来なかった。
賢者の家にあったものよりも数段低いが感じられる魔除けのような気配があった。
「ええ、この辺りは神の山で無いのにあまりにも異形が多すぎますので静かにお話しできませんからお嬢様と共に眠っていただきました。」
スッと手を見れば何かしらのエネルギー体が身体に定着しているのが見て取れた。
「今までお嬢様は神に魅入られてしまい他の霊体に興味が出ませぬように封印術を編み込まれていた御様子でして、お嬢様に神の視線を消えたのを機に封印に綻びが生まれていきました。
まさかそれがあなた様の虎とは思いもしませんでしたが。
私どもも最善を尽くしてはいますが異形のモノたちとの交信は困難を極めます。
あなたは偉業をその身に宿してはいますがそれもまた稀有な事例なのです。
何故虎があなたを選んだかは私どもも知る由もございません。」
「一つ良いか?」
「なんでしょう?」
「俺の両親は普通の人だったのか?」
「それに関してはyesです。ただしあなたのおじいさまはその限りではありません。あなたのおじいさまは海外に私たちと同じような存在との伝手を御持ちです。」
「世界を渡り歩く傭兵がただ世界を見て回るわけねえよな。」
「あなたのおじいさまからあなたの封印が変革が行われているとの報告を頂きこちらに馳せ参じた次第です。まあお嬢様の我が儘が表向きにはメインですが………。」
「じゃあミウスさんについても何か知ってるのか?」
ここに通る途中にあってそうだけどと思いつつ情報の新鮮さがどこまで早いかを調べていく。
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