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闇に染まる森
狂気の瘴気
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“森の王”その姿はその名に恥じない姿であった。
幾重にも絡み合った木の枝が人のような体をなしている。顔のあたりには鹿の骨を思わせる頭に立派な木のツノが生えていた。
何やら黒く不吉なオーラをまとっており、見るからに危険な魔物に見える。ドロシーの話とはまるで違う様相に4人は困惑しつつも武器を構える。しかし…
「だめよ!ただの矢じゃ木の魔物に対して効果はないわ!でも火矢を使っちゃいけないんでしょ」
「行かんぞナタリア、火矢など使ってしまえば森の王もそうだが、この大聖樹も燃えてしまう」
「ドロシーさん、手はあるんですか?」
森の王が振り回す腕を回避しながらクラインはドロシーに視線を送る。
「ᚲᚺᛁᚾᛁ ᚺᚨᛋ ᚾᛖᛏᛟ ᛏᛟᚲᚨᚱᛁ ᚹᛟ」
なにやら魔術を使おうとしているようだが、発動していないようだ。ドロシーは目を見開いた。
「…草木が…森が力をなくしてしまっている…!?」
森の王は地に膝をつきその手を地面に置いた。ゴッと地面の下で何かが動く。
「さがれ、くるぞ!」
ドイルが声を上げたその瞬間だった。いくつもの槍のような木の根が地面から天に向けつき出てくる!
ドドドドドドドッドドッ!
大きな地響きとともにあたりは木の根で埋め尽くされる。
想像を超える攻撃範囲に全員避け切ることができず、後方まで吹っ飛ばされてしまう。
「みんな無事ですか!」
「寝っ転がってると次が来るわよ!」
森の王から距離のあったクラインとナタリアは周りの無事を確認する。
「ぐう、吾輩が押し負けてしまうとは…」
「これが森の王の力ですか、ドロシーさん」
ドイル、アリス、ドロシーは直撃こそ防げたもののそこそこダメージを負ってしまっている。
「これは…狂化…しているのね」
ドロシーはなんとか立ち上がる。
「話は後で聞くわ!今は戦線を離脱するわよ」
ナタリアは先端に筒のついた矢を取り出すと森の王の足元めがけて放った。
「みんな後ろ向いて出口に走って!あ、後耳塞いどいてね!」
パァァァァン!!
凄まじい音と閃光が走る5人の背後から起こる。5人を追うようにして煙まで立ち込めてきた。
転げるように大聖樹から脱出し、しばらく森の中を走る。森の王は追っては来ていないようだ。
「はぁ…はぁ…。ナタリア、なんですかさっきのは…」
息を切らしてクラインはナタリアの方を見る。さっきの衝撃でまだ耳の奥がキンキンしている。
「あぁ、あれね。逃げる時専用の矢よ。魔物によっちゃ視覚やら聴覚やらがよくない奴もいるから、何でも効果があるようにしてるの。閃光、破裂音、煙の目隠しね。」
「理にかなってはいますけど…もうちょっと早く警告してくれたら嬉しいですかね」
「悪かったわ。普段ドイルと組んで仕事してるせいでね。ドイルは異常状態ならないからその癖でつい」
アハハと笑うナタリア。
あんなのを警告なしにされたらたまったものではない。
ナタリアとは組まないでおこうとクラインは心の内で硬く思った。
「それよりドロシーさん、先程狂化と口にしていましたね。何か知っているんですか?」
脱線しかけた話をアリスが戻す。
「森の王から吹き出ていた黒い霧…あれは狂気の瘴気…あの瘴気にさらされ続けた魔物は基礎能力の大幅な向上と引き替えに理性を失い、ひたすら暴れ続ける。その状態を狂化と呼ぶの…あれだけの瘴気だと森にも影響が出ている見たい…私の魔術で草木が反応しなかった…」
「瘴気…か。するとあの大聖樹には瘴気が満ちておったということか?」
「いえ…それはない。瘴気が溜まるのは空気中のマナ濃度が濃いにも関わらず結晶化が起きない時に、マナが淀んで起こる現象…。特定の環境下でしか起こりえない…つまり、森の王は人為的に狂化させられたの」
「まさかアルフェウスの連中が!?」
クラインは先程戦闘した二人組を思い出した。
「僕らが戦ったアルフェウスの2人はケンタウロスに追われていましたね。森の王を狂化させた2人を追い回していたのなら納得がいきます。僕らはとばっちりでしたが…」
「森の王は彼らの計画に邪魔だものね。狂化させて理性を無くせば暴れてくれるし魔物も襲わせられて一石二鳥ってことね」
「逆に森の王をなんとかできれば、私たちに勝機はある…!」
アリスの言う通り、この件を片付けるには森の王に勝機に戻ってもらわなくてはいけないようだ。
「狂化を解くのには…聖職者の奇跡を使うしかない…」
「聖職者…リーファを今から呼んでは時間がかかりすぎるな。妖精の森の冒険者に聖職者がいないか探してみるか」
ドイルの提案に4人は頷く。
「私は…森の王の様子を見ておく…。動きがあれば使い魔で…伝えるわ」
「わかりました。僕らは戻って聖職者を探しましょう」
ドロシーと別れた4人は一旦森を出て、妖精の森へと引き返すのだった。
幾重にも絡み合った木の枝が人のような体をなしている。顔のあたりには鹿の骨を思わせる頭に立派な木のツノが生えていた。
何やら黒く不吉なオーラをまとっており、見るからに危険な魔物に見える。ドロシーの話とはまるで違う様相に4人は困惑しつつも武器を構える。しかし…
「だめよ!ただの矢じゃ木の魔物に対して効果はないわ!でも火矢を使っちゃいけないんでしょ」
「行かんぞナタリア、火矢など使ってしまえば森の王もそうだが、この大聖樹も燃えてしまう」
「ドロシーさん、手はあるんですか?」
森の王が振り回す腕を回避しながらクラインはドロシーに視線を送る。
「ᚲᚺᛁᚾᛁ ᚺᚨᛋ ᚾᛖᛏᛟ ᛏᛟᚲᚨᚱᛁ ᚹᛟ」
なにやら魔術を使おうとしているようだが、発動していないようだ。ドロシーは目を見開いた。
「…草木が…森が力をなくしてしまっている…!?」
森の王は地に膝をつきその手を地面に置いた。ゴッと地面の下で何かが動く。
「さがれ、くるぞ!」
ドイルが声を上げたその瞬間だった。いくつもの槍のような木の根が地面から天に向けつき出てくる!
ドドドドドドドッドドッ!
大きな地響きとともにあたりは木の根で埋め尽くされる。
想像を超える攻撃範囲に全員避け切ることができず、後方まで吹っ飛ばされてしまう。
「みんな無事ですか!」
「寝っ転がってると次が来るわよ!」
森の王から距離のあったクラインとナタリアは周りの無事を確認する。
「ぐう、吾輩が押し負けてしまうとは…」
「これが森の王の力ですか、ドロシーさん」
ドイル、アリス、ドロシーは直撃こそ防げたもののそこそこダメージを負ってしまっている。
「これは…狂化…しているのね」
ドロシーはなんとか立ち上がる。
「話は後で聞くわ!今は戦線を離脱するわよ」
ナタリアは先端に筒のついた矢を取り出すと森の王の足元めがけて放った。
「みんな後ろ向いて出口に走って!あ、後耳塞いどいてね!」
パァァァァン!!
凄まじい音と閃光が走る5人の背後から起こる。5人を追うようにして煙まで立ち込めてきた。
転げるように大聖樹から脱出し、しばらく森の中を走る。森の王は追っては来ていないようだ。
「はぁ…はぁ…。ナタリア、なんですかさっきのは…」
息を切らしてクラインはナタリアの方を見る。さっきの衝撃でまだ耳の奥がキンキンしている。
「あぁ、あれね。逃げる時専用の矢よ。魔物によっちゃ視覚やら聴覚やらがよくない奴もいるから、何でも効果があるようにしてるの。閃光、破裂音、煙の目隠しね。」
「理にかなってはいますけど…もうちょっと早く警告してくれたら嬉しいですかね」
「悪かったわ。普段ドイルと組んで仕事してるせいでね。ドイルは異常状態ならないからその癖でつい」
アハハと笑うナタリア。
あんなのを警告なしにされたらたまったものではない。
ナタリアとは組まないでおこうとクラインは心の内で硬く思った。
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脱線しかけた話をアリスが戻す。
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「瘴気…か。するとあの大聖樹には瘴気が満ちておったということか?」
「いえ…それはない。瘴気が溜まるのは空気中のマナ濃度が濃いにも関わらず結晶化が起きない時に、マナが淀んで起こる現象…。特定の環境下でしか起こりえない…つまり、森の王は人為的に狂化させられたの」
「まさかアルフェウスの連中が!?」
クラインは先程戦闘した二人組を思い出した。
「僕らが戦ったアルフェウスの2人はケンタウロスに追われていましたね。森の王を狂化させた2人を追い回していたのなら納得がいきます。僕らはとばっちりでしたが…」
「森の王は彼らの計画に邪魔だものね。狂化させて理性を無くせば暴れてくれるし魔物も襲わせられて一石二鳥ってことね」
「逆に森の王をなんとかできれば、私たちに勝機はある…!」
アリスの言う通り、この件を片付けるには森の王に勝機に戻ってもらわなくてはいけないようだ。
「狂化を解くのには…聖職者の奇跡を使うしかない…」
「聖職者…リーファを今から呼んでは時間がかかりすぎるな。妖精の森の冒険者に聖職者がいないか探してみるか」
ドイルの提案に4人は頷く。
「私は…森の王の様子を見ておく…。動きがあれば使い魔で…伝えるわ」
「わかりました。僕らは戻って聖職者を探しましょう」
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