4 worries〜少女の4つの悩みごと〜

プロローグ

2

ガチャッ…。
顔を無理矢理笑顔にさせる。

「ごめんね～、歩、麻那、待たせちゃったよね」

「ううん全然」

歩の顔が少し笑っていないのは、先程の話が後ろめたいからなのだろうか。

「あ…、いや、そんな事ないよ」

麻那も、いつもと違い語尾が伸びていない。

「もう完全下校時刻だし、帰ろっか？」

時刻は午後5時。私の通う学園である代々木学園は小中高一貫校で、共通して授業終わりが4時、そこから委員会活動、部活などが終わるのが5時。だからもう下校しなければならないのだ。

「そ、そうだね！帰ろ！」
そして下駄箱付近に着いたところで麻那が、

「ごめーん、あたしは今日パパのお迎えがあるから、先に帰るね～」

「うん、バイバイ麻那」

麻那はたまにこんな時がある。麻那はお嬢様なのだ。

麻那が人混みに消えていった。

「はぁ…」

「歩がため息なんて珍しいね、どうしたの？」

「瑠乃は思わないの？最近麻那って自分がお嬢様な事を自慢してるように思えるんだよね。もううんざりだよ」

「そう、かな？私にはわかんない」

「ま、瑠乃がどうだろうが私には関係ないけどね…。」

「ははは」

ほぼ苦笑に近い笑いをこぼす。歩は仲良しにも平気で陰口を言うのか…ちょっと怖い。