家族ってなんだ？

新たな出会い〜始まり〜

　私はあの日から夢をみているような感覚の中なんとなく生きていた。あまりに突然色々な環境が変わり、まるで自分の事ではないような感覚に落ちいっていたのだ。幸い、もともと住んでいた家からそう遠くなく、学区は変わったが転校は間逃れた。今思うとこれで転校するとなったら、色々な事がありすぎて心がパンクしていたと思う。唯一の救いは通い慣れた学校と友達だった。学校に行っている間だけは、離婚の事を忘れていられた。母は離婚前は、専業主婦であったため、学校から帰ったら必ず家にいた。しかし、離婚後働き出してからは、毎日19時まで仕事をしてそれから帰ってくる生活になった。妹は保育園に預けられていたため、学校から帰ったら洗濯物を取り込み、母が帰ってくるまでに宿題を済ませておくのが私の日課になった。今まで1人で家で留守番する事もなく、1人で家で待つことはこんなにも不安で孤独なのかと思い知った。それと同時に今まで私は恵まれていた事に気がついた。生活は楽ではなかったが、数ヶ月は母と妹と私でなんとか暮らしていた。

　あの日が来るまでは…

　ある日、母親が見知らぬ男性を連れて来た。今まで顔も見たことなく母から話を聞いた事もなかった。突然の事すぎて戸惑ったのを今でも鮮明に覚えている。また、連れて来ただけでなく母が衝撃の一言を発する。

「今日からあなたのお父さんになるから、挨拶しなさい。これから長い付き合いになると思うから。」


「？！？？」私は突然の事に頭がパニックになった。この間、父親と離婚したばかり…。それも受け止めきれていない私にさらなる衝撃が走った。この瞬間、人生とは想像もできない事が突然起こるのだと学んだ。私はもともと人見知りで、友達も多くない。長い時間をかけて仲良くなった友達数人がいる程度だった。それも赤の他人が突然父親だと言われても私は受け止めきれなかった。私の人生はいったいなんなのか？小学校ながらにそう思った。とりあえず何か挨拶しなければ…。

「よろしくお願いします。」

新しい父「よろしくね！あずさちゃんだよね。」

血の繋がった父親との別れ、新たな父親との出会い…。最初の挨拶では、笑顔で対応してくれて子どもながらに良さそうな人だと思った。私は色々な状況が変わり過ぎてついて行けなかったが、なんとかしなければと必死に自分の人生を生きていた。なのに…この出会いがあんな事になるとはその時は知る由も無かった。