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第一章
第13話 今後のこと
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日射しに反射してキラキラと輝く湖面を眺めながらティ―カップに口をつける。
大自然に囲まれた場所で摂るスイ―ツは実に贅沢だ。
まるで、この世界にはメイスと私しか居ないような錯覚を覚え、景色を独占した気になって自然と頬が緩む。
頬にあたる風が心地良くて瞼を閉じる。
こんな穏やかな気持ちで過ごすのはいつ以来だろう。
目を閉じて風を感じていたら、メイスが質問を投げかけてきた。
『ところで、お前は今後どうしたい?』
唐突に投げられた質問の意味が分からずに目を開けた。
「……ん?どうって?」
ティ―カップを置いてジッと綺麗な琥珀色の瞳を見つめると、メイスも同じように見つめ返して言った。
『このままここで暮らすのか、それともここを出て行くのかってことだ』
それなら答えは決まっている。
「もちろん、ここを出て行くつもりだよ。……だけど、外の世界を知らないから迷っているの」
お母様から一通り教わったとは言っても、口頭で説明されただけで実務経験は無いに等しい。
それに、私のような子供がいきなり外の世界に出て生きていけるとは思えないし、安全な日本とは違い何が起きるのか想像もつかなかった。
そういった不安もあって決断しきれずにいた。
中身が純粋な子供ではないため、どうしても一歩踏み出す勇気が出せずに考えることを放棄していた。
そんな私の葛藤を知ってか知らずか、少しの沈黙の後メイスが口を開いた。
『なんだ、そんなことか。そんなもの外に出てから覚えれば良いだろう。それに、この俺がついているのだ。お前は一人じゃない。心配はいらん』
メイスの言葉に私の中で燻っていたもやもやとした気持ちが一気に霧散した。
そうか、私には頼もしいメイスが傍に居る。
部屋に閉じ籠って悶々と悩むより、先ず一歩足を踏み出してみよう。
メイスの一言で前向きになれた私は、笑顔で答えた。
「うん!メイスの言う通りだね!悩むだけで行動しないよりも、行動して悩んだ方がマシだわ!人間は失敗をして成長していくのだから!」
メイスに返事をしたというよりは、自分自身に向けた言葉だった。
返答するかのように尻尾をゆらりと振って琥珀色の瞳を柔らかく細めたメイスは、満足そうに頷いて言った。
『俺のしごきに耐えてついて来たお前なら外界に出ても問題ない。基本的なものは大体教えたし、ある程度の事ならお前一人でも対処出来るだけの実力はある。あとは実践を積むだけだ』
なるほど、メイスはメイスなりに考えてくれていたのか。
口には出さなかったけど、鬼教官だなんて言って悪かったわ。
申し訳ないと反省しつつ、ケ―キスタンドからショ―トブレッドを手に取る。
口に含んだ瞬間、サクッとした食感とともにバタ―の濃厚な味が口腔内に広がり目尻が下がる。
「ぅんまぁ!こんな濃厚なバタ―風味のショ―トブレッド、生まれて初めて食べた!ほぅ……。幸せ」
頬に手をあててうっとりと目を細めた。
前世以来に食べたショ―トブレッドは久しぶりということもあり、非常に美味しく感じた。
テ―ブルの上でごろんと横になったメイスが、ふふんと鼻を鳴らして言った。
『そうだろう。ふんだんに砂糖とバタ―を使用しているからな。遠慮せずに食せ』
ん?
もしかして、メイスが作ったの?
色々と疑問符が頭上を飛び交うが、一々気にしていたら味わって食べていられない。
今日は私の十歳の誕生日だから、存分に食べていいってこと?
それなら遠慮なくいただこう。
いつもとは違う甘々な態度のメイスに戸惑いながらも、ケ―キスタンドに伸びる手が止まらない。
食べ方に作法があったような気がするが、平民になる予定だから作法を無視して食べたいものを次々と胃袋に収めていった。
「ふぅ……。満腹。これ以上は無理」
ぽっこりと膨らんだお腹を擦って背もたれに体を預ける。
ふと、雲一つない青空を見上げた。
前世でも経験したことがない開放感のある大自然を前にして、私の悩みが取るに足らないちっぽけな事だと気づかされた。
きちんと家族の一員として受け入れてもらえていたなら、きっと「私」が目覚めることはなかっただろう。
漠然とだが、それだけは理解した。
それなら、目覚めた「私」が生きたいように生きれば良いのではないかと思ってしまった。
メイスに今後のことを問いかけられた時、ようやく私の気持ちが固まったように思う。
(お母様もそう願ってくれたのよね?……自由に生きていいよね?)
雲一つない青空を見上げたまま、お母様に問いかけた。
その問いかけに答えるように、風が頬を撫でるように吹いた。
大自然に囲まれた場所で摂るスイ―ツは実に贅沢だ。
まるで、この世界にはメイスと私しか居ないような錯覚を覚え、景色を独占した気になって自然と頬が緩む。
頬にあたる風が心地良くて瞼を閉じる。
こんな穏やかな気持ちで過ごすのはいつ以来だろう。
目を閉じて風を感じていたら、メイスが質問を投げかけてきた。
『ところで、お前は今後どうしたい?』
唐突に投げられた質問の意味が分からずに目を開けた。
「……ん?どうって?」
ティ―カップを置いてジッと綺麗な琥珀色の瞳を見つめると、メイスも同じように見つめ返して言った。
『このままここで暮らすのか、それともここを出て行くのかってことだ』
それなら答えは決まっている。
「もちろん、ここを出て行くつもりだよ。……だけど、外の世界を知らないから迷っているの」
お母様から一通り教わったとは言っても、口頭で説明されただけで実務経験は無いに等しい。
それに、私のような子供がいきなり外の世界に出て生きていけるとは思えないし、安全な日本とは違い何が起きるのか想像もつかなかった。
そういった不安もあって決断しきれずにいた。
中身が純粋な子供ではないため、どうしても一歩踏み出す勇気が出せずに考えることを放棄していた。
そんな私の葛藤を知ってか知らずか、少しの沈黙の後メイスが口を開いた。
『なんだ、そんなことか。そんなもの外に出てから覚えれば良いだろう。それに、この俺がついているのだ。お前は一人じゃない。心配はいらん』
メイスの言葉に私の中で燻っていたもやもやとした気持ちが一気に霧散した。
そうか、私には頼もしいメイスが傍に居る。
部屋に閉じ籠って悶々と悩むより、先ず一歩足を踏み出してみよう。
メイスの一言で前向きになれた私は、笑顔で答えた。
「うん!メイスの言う通りだね!悩むだけで行動しないよりも、行動して悩んだ方がマシだわ!人間は失敗をして成長していくのだから!」
メイスに返事をしたというよりは、自分自身に向けた言葉だった。
返答するかのように尻尾をゆらりと振って琥珀色の瞳を柔らかく細めたメイスは、満足そうに頷いて言った。
『俺のしごきに耐えてついて来たお前なら外界に出ても問題ない。基本的なものは大体教えたし、ある程度の事ならお前一人でも対処出来るだけの実力はある。あとは実践を積むだけだ』
なるほど、メイスはメイスなりに考えてくれていたのか。
口には出さなかったけど、鬼教官だなんて言って悪かったわ。
申し訳ないと反省しつつ、ケ―キスタンドからショ―トブレッドを手に取る。
口に含んだ瞬間、サクッとした食感とともにバタ―の濃厚な味が口腔内に広がり目尻が下がる。
「ぅんまぁ!こんな濃厚なバタ―風味のショ―トブレッド、生まれて初めて食べた!ほぅ……。幸せ」
頬に手をあててうっとりと目を細めた。
前世以来に食べたショ―トブレッドは久しぶりということもあり、非常に美味しく感じた。
テ―ブルの上でごろんと横になったメイスが、ふふんと鼻を鳴らして言った。
『そうだろう。ふんだんに砂糖とバタ―を使用しているからな。遠慮せずに食せ』
ん?
もしかして、メイスが作ったの?
色々と疑問符が頭上を飛び交うが、一々気にしていたら味わって食べていられない。
今日は私の十歳の誕生日だから、存分に食べていいってこと?
それなら遠慮なくいただこう。
いつもとは違う甘々な態度のメイスに戸惑いながらも、ケ―キスタンドに伸びる手が止まらない。
食べ方に作法があったような気がするが、平民になる予定だから作法を無視して食べたいものを次々と胃袋に収めていった。
「ふぅ……。満腹。これ以上は無理」
ぽっこりと膨らんだお腹を擦って背もたれに体を預ける。
ふと、雲一つない青空を見上げた。
前世でも経験したことがない開放感のある大自然を前にして、私の悩みが取るに足らないちっぽけな事だと気づかされた。
きちんと家族の一員として受け入れてもらえていたなら、きっと「私」が目覚めることはなかっただろう。
漠然とだが、それだけは理解した。
それなら、目覚めた「私」が生きたいように生きれば良いのではないかと思ってしまった。
メイスに今後のことを問いかけられた時、ようやく私の気持ちが固まったように思う。
(お母様もそう願ってくれたのよね?……自由に生きていいよね?)
雲一つない青空を見上げたまま、お母様に問いかけた。
その問いかけに答えるように、風が頬を撫でるように吹いた。
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