転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第一章 

第18話 旅の準備

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 思いもよらず大金を手にした私は、白髪交じりの男性に旅の装備を売っている店を紹介してもらいすぐに向かった。
 店に入り、店内に並べられた商品を目にして感嘆の声を上げた。

「うわぁ……。旅の装備って言っても色々とあるもんなんだなぁ……」

 紹介してもらった店は冒険者御用達の店らしく、野営用のテントやそれに付随した魔道具や食器類など、充実したラインナップばかりだった。
 建物は中世ヨーロッパに似ているのだが、やはり魔法が存在する世界ということもあり、実に様々な魔道具が売られていた。
 例えば寝袋なのだが、見た目はどこにでもありそうな布と内側に動物の毛皮を使用した作りになっているのだが、魔法が付与されており夏は涼しく冬は暖かく快適に保つように工夫が施されているそうだ。
 店主曰く、防水対策だってばっちりなのだそう。
 テントも種類が豊富で、綺麗に染めて刺繡が施された布から何も施されていない質素な布まで実に様々だ。
 付与してある魔法の種類や数で値段が変動するらしい。
 ちなみに一番安い物だと、私のような新人冒険者でも即購入可能なお手頃価格となっている。
 ……高額な物になると上限は無いんだって。
 ひぇぇぇ……。
 ガクブルしていたら、脳内にメイスの呆れた声が聞こえた。

『一番安いテントにしておけば良かろう。後で、付与魔法で付け加えれば良い。お前だって付与魔法が使えるのに何を驚く?』

 ……そうだった。
 目が飛び出そうな金額を聞いてすっかり忘れていた。
 あれだけメイスにしごかれたというのに、驚きのあまり自分が付与魔法を使えることすら思い出さなかった。
 恥ずかしさのあまり顔が熱くなり、慌てて咳払いをして誤魔化した。

「コホン。新人だし一番安いのにしておこうかな。あまり無駄遣いも出来ないしね」

 私の独り言を聞いた店主が、それならと新人冒険者に必要な物を教えてくれた。
 
「それでしたら、新人冒険者がお買い求めになる商品を幾つかご用意しますので、その中からお好みの物を選ばれてはいかがでしょう」

 店主の提案に、私は頷き返した。

「はい、そうしていただけると助かります。お願いしても構いませんか?」

「ええ、構いませんよ。では、少々お待ちください」

 店主は笑顔で答えると、その場を後にして商品を探しに行った。
 その間、私は棚やテーブルに並べてある魔道具や小物類を興味深く眺めて待っていた。
 それから程なくして私を呼びに男性が戻って来た。

「お待たせしました。あちらに商品を揃えておきましたのでお越しいただけますか?」

 男性に促されるまま後をついて行くと、カウンターとテーブルに商品が綺麗に整頓されて並べてあった。
 華美な装飾が施されていないが、値段を考慮して安価で実用性を重視した物ばかりだった。
 その中の一つを手に取りじっくりと眺める。
 こっそりと鑑定のスキルを発動させて視ると、安価ではあるが頑丈な作りであることが分かった。
 ちゃんと新人冒険者向けの商品を探してくれたようで安心した。
 男性に視線を合わせて笑みを浮かべると口を開いた。

「お手数をおかけしてすみません。どれも機能性を優先して選んでくれたのですね。助かります」

「そう言っていただけると商売人冥利に尽きますな。……しかし、お客様はお若いのに随分と丁寧な言葉遣いをご存知でいらっしゃる。おっと、これ以上の詮索は野暮やぼというものですな」

 男性は慌てて口を手で押さえて苦笑を浮かべた。
 なるほど、この世界でも客の情報を無暗むやみに詮索したり、その情報を外部に漏らすのはアウトってことか。
 建物や街並みは中世ヨーロッパにどことなく似ているが、冒険者カードといい魔道具といい便利な物があることから全く同じ訳ではないのだろう。
 そう勝手に解釈した私は、男性に話しかけた。

「そうしていただけると助かります。では、こちらの商品なのですが、これとこれ、あとはあちらと……ああ、あれもください。それから支払いですが、冒険者カードで支払いをしたいのですが構いませんか?」

 男性は、私が指で指し示した商品を一つに纏めるとニッコリと微笑んで答えた。

「ええ、もちろん構いませんよ。それではカードをお預かりしても?」

 男性に尋ねられて、斜め掛けのバッグから冒険者カードを取り出して手渡した。
 必要最低限に抑えたつもりだったが、それでも痛い出費となってしまった。
 しかし、今後旅を続けるためには必ず必要な物だし、ケチケチして後々困るのは私だ。
 初期投資としては妥当なところだろう。
 支払いを済ませて商品を斜め掛けのバッグに収納した私は、男性にお礼を述べて店を後にした。
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