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第二章
第89話 英雄が私のご先祖様!?
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ガタゴトと未舗装の悪路を乗り合い馬車はゆっくりと進んでいく。
時折、ブロンの耳が何かに反応してピクッと動くが、その度に私もスキルを発動させて辺りを警戒する。
遠くに魔物の気配を察知したが、それ以上こちらに寄って来る気配がなかったので警戒しつつも放置した。
乗り合い馬車には私達の他に数名の人達が乗っており、彼等の会話の端々から王都に向かっていることを知った。
私は、斜め向かいに腰かけているローブを羽織った男性に声をかけた。
「良い天気に恵まれて良かったですね。おじいさんは王都までですか?」
私に声をかけられて視線をこちらに向けた男性は、白髪交じりの顎髭に触れて柔和な笑みを浮かべて答えた。
「本当に良い天気で良かったわぃ。王都まではまだ十日はかかるからのぅ。お前さんも王都までかい?」
なるほど。王都までは十日かかるのか。
思いもよらず情報を得られた私は、笑みを浮かべて返事をした。
「はい。でも、王都まで十日もかかるんですか……。天候が崩れないと良いですね」
そう返した私に、男性は空を見上げて呟いた。
「この時期ならそうそう天候が崩れることはないじゃろう」
そう呟くと、男性は私を見て再び口を開いた。
「この国は比較的温暖な気候でな、滅多に天候が荒れることはないんじゃ。儂のような年寄りには寒暖の差が激しい土地での暮らしは体に堪えてなぁ。儂も数年前にこの国に越して来たんじゃ」
確かに、寒暖の差が激しい土地での暮らしはお年寄りにはきついだろう。
私は静かに相槌を打った。
「そうだったんですね」
アルファイド王国に関する情報は『子鹿亭』のご主人から簡単に説明を受けていたが、やっぱりその国に暮らしている人から直接聞いた方がより正確な情報が得られるのはありがたい。
すると、肩で私達のやり取りを見守っていたメイスが脳内に語りかけてきた。
『ユーリ、アイツのことを尋ねてくれ』
ん?アイツって誰のこと?
一瞬、メイスの言葉の意味が分からずに首を捻っていると、再び脳内にメイスが語りかけてきた。
『この国の英雄と呼ばれたアイツに決まっているだろう』
おっと。本来の目的を忘れていた。
私は男性に視線を向けると尋ねた。
「あの、この国の英雄についてお聞きしたいのですが、何かご存知ですか?」
「この国の英雄といえば、三百年ほど前に活躍した人物のことかのぅ。その人物のことなら儂が小さい頃から聞いて知っておるが……。お前さんは英雄に興味があるのかい?」
英雄にというよりは、同じ日本からの転生者だから興味があるのだが。
私はこくこくと頷いて男性を見つめて口を開いた。
「はい。そのためにこの国に来ました。出来れば英雄が住んでいた場所に行ってみたいと思っています」
男性は白髪交じりの顎髭を触りながら「なるほどのぅ」と呟いた後、英雄について語り始めた。
「英雄の名前はショータ・カミール。元は平民だったそうじゃが、魔王討伐の功績を認められて伯爵位を叙爵されたそうじゃ。確か、王都から馬車で十日ほど行った領地がそうではなかったかのぅ。英雄は領主としても素晴らしい能力を発揮して領地を栄えさせたとも聞いた。一度行ってみたのじゃが、領民は穏やかで実に居心地の良い場所じゃったよ」
英雄の名前はショータさんって言うのね。
魔王討伐だけでなく、領主としての才能も素晴らしかったのか。
ショータさんが領主として治めた領地を見たくなってしまった。
「……ん?カミール?」
不意に口にして首を傾ける。
どこかで聞いたような……。どこでだっけ?
腕を組んで記憶の糸を手繰り寄せる。
「あっ!」
思い出した!
お母様が時折語ってくれた話しに、カミール家の名前が出ていた。
……ということは、もしかして……ショータさんが私のご先祖様!?
信じられないと頭を振るが、お母様が話して聞かせてくれた内容と照らし合わせてみても、ショータさんがご先祖様であろうことは確かなようだ。
こんな偶然があるとは想像すらしていなかった私は、ただ茫然とするしかなかった。
時折、ブロンの耳が何かに反応してピクッと動くが、その度に私もスキルを発動させて辺りを警戒する。
遠くに魔物の気配を察知したが、それ以上こちらに寄って来る気配がなかったので警戒しつつも放置した。
乗り合い馬車には私達の他に数名の人達が乗っており、彼等の会話の端々から王都に向かっていることを知った。
私は、斜め向かいに腰かけているローブを羽織った男性に声をかけた。
「良い天気に恵まれて良かったですね。おじいさんは王都までですか?」
私に声をかけられて視線をこちらに向けた男性は、白髪交じりの顎髭に触れて柔和な笑みを浮かべて答えた。
「本当に良い天気で良かったわぃ。王都まではまだ十日はかかるからのぅ。お前さんも王都までかい?」
なるほど。王都までは十日かかるのか。
思いもよらず情報を得られた私は、笑みを浮かべて返事をした。
「はい。でも、王都まで十日もかかるんですか……。天候が崩れないと良いですね」
そう返した私に、男性は空を見上げて呟いた。
「この時期ならそうそう天候が崩れることはないじゃろう」
そう呟くと、男性は私を見て再び口を開いた。
「この国は比較的温暖な気候でな、滅多に天候が荒れることはないんじゃ。儂のような年寄りには寒暖の差が激しい土地での暮らしは体に堪えてなぁ。儂も数年前にこの国に越して来たんじゃ」
確かに、寒暖の差が激しい土地での暮らしはお年寄りにはきついだろう。
私は静かに相槌を打った。
「そうだったんですね」
アルファイド王国に関する情報は『子鹿亭』のご主人から簡単に説明を受けていたが、やっぱりその国に暮らしている人から直接聞いた方がより正確な情報が得られるのはありがたい。
すると、肩で私達のやり取りを見守っていたメイスが脳内に語りかけてきた。
『ユーリ、アイツのことを尋ねてくれ』
ん?アイツって誰のこと?
一瞬、メイスの言葉の意味が分からずに首を捻っていると、再び脳内にメイスが語りかけてきた。
『この国の英雄と呼ばれたアイツに決まっているだろう』
おっと。本来の目的を忘れていた。
私は男性に視線を向けると尋ねた。
「あの、この国の英雄についてお聞きしたいのですが、何かご存知ですか?」
「この国の英雄といえば、三百年ほど前に活躍した人物のことかのぅ。その人物のことなら儂が小さい頃から聞いて知っておるが……。お前さんは英雄に興味があるのかい?」
英雄にというよりは、同じ日本からの転生者だから興味があるのだが。
私はこくこくと頷いて男性を見つめて口を開いた。
「はい。そのためにこの国に来ました。出来れば英雄が住んでいた場所に行ってみたいと思っています」
男性は白髪交じりの顎髭を触りながら「なるほどのぅ」と呟いた後、英雄について語り始めた。
「英雄の名前はショータ・カミール。元は平民だったそうじゃが、魔王討伐の功績を認められて伯爵位を叙爵されたそうじゃ。確か、王都から馬車で十日ほど行った領地がそうではなかったかのぅ。英雄は領主としても素晴らしい能力を発揮して領地を栄えさせたとも聞いた。一度行ってみたのじゃが、領民は穏やかで実に居心地の良い場所じゃったよ」
英雄の名前はショータさんって言うのね。
魔王討伐だけでなく、領主としての才能も素晴らしかったのか。
ショータさんが領主として治めた領地を見たくなってしまった。
「……ん?カミール?」
不意に口にして首を傾ける。
どこかで聞いたような……。どこでだっけ?
腕を組んで記憶の糸を手繰り寄せる。
「あっ!」
思い出した!
お母様が時折語ってくれた話しに、カミール家の名前が出ていた。
……ということは、もしかして……ショータさんが私のご先祖様!?
信じられないと頭を振るが、お母様が話して聞かせてくれた内容と照らし合わせてみても、ショータさんがご先祖様であろうことは確かなようだ。
こんな偶然があるとは想像すらしていなかった私は、ただ茫然とするしかなかった。
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