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第二章
第93話 ヒデさんとの関係
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目を真っ赤にさせたヒデさんが、銅像を見つめながらポツリと呟いた。
「……しょうちゃんが英雄かぁ。しょうちゃんらしいや」
私はその呟きを黙って聞くことしか出来ずにヒデさんの横顔を見つめていると、彼は更に話しを続けた。
「……しょうちゃんがこの世界に来ていたのは嬉しい。だけど、三百年は長すぎる。どうしてだよ!納得いかないよ……」
ヒデさんの言い分はよく分かる。
詳しい経緯は分からないが、親友が居なくなって数か月か数年だとしても三百年の差があるのは理解出来ない。
それが親友なら尚更納得がいかないのは当然だろう。
神様に意地悪をされているようで苦い気持ちになる。
私は無意識のうちに唇をギュッと嚙んだ。
すると、メイスが静かに語り始めた。
『この世界と向こうとでは次元も時間の流れも違う。いくら神だとてそこまで干渉は出来ない。アイツはそのことを理解した上で明るく前向きに生きた。お前はアイツの人生を否定したいのか?』
口調は淡々としていたが、その言葉には非難にも似た感情が滲んでいるのが感じとれた。
ヒデさんはハッとした表情を浮かべて、ふるふると頭を左右に振る。
「……そんなつもりじゃ」
そう言いかけたヒデさんの話しを遮って、メイスは淡々と話しを続ける。
『アイツは二ホンに大切な友達を残してきたことを気にしていた。だが、アイツ自身が幸せでいることが友達の幸せになると信じて前向きに生きた。……お前はアイツの気持ちを無駄にしたいのか?』
メイスのきつい口調に、私は注意をしようと口を開きかけて閉じた。
なぜなら、メイスから口を挟むなという無言の圧を感じたからだった。
ここまでの圧を放つメイスを知らない。
私は口を閉じてメイスが話すのを待った。
『いきなり異世界に来て慣れないことだらけで辛いだろう。俺にはお前の心の内までは分からない。だがな、アイツもユーリも現実を受け止めて前向きに生きている。……今は弱音でも文句でもいくらでも言えばいい。だが、お前がアイツの友達だというのなら、アイツの人生を否定するのだけはやめろ。アイツがこの世界に生きた事実だけは無かったことにしてほしくない』
メイスがここまで彼について話しをしたのは初めてのことで、私とヒデさんは口を噤んだ。
普段、滅多に感情を表に出さないメイスの厳しい口調に、私は何と声をかければ良いのか分からなかった。
ヒデさんは顔をぐしゃぐしゃにして、言葉を詰まらせながら反省の言葉を述べた。
「……ごめん、なさい。僕、自分のことしか見えていなかった……。しょうちゃんが行方不明になってから一年しか経っていないのに、こっちでは三百年も経っていたなんてどうしても信じられなくて……。……みっともなく取り乱してごめんなさい」
そうだよね。私にはヒデさんの言い分は痛いほど分かる。
大切な親友が行方不明になって一年ということは、きっとまた会えると思っていたに違いない。
その僅かな希望が断たれたとしたら、絶望に打ちひしがれてしまうだろう。
長命種のメイスには時間の概念は無いのだろうけど、命に限りのある私達人間にとって三百年はあまりにも長過ぎる。
私は、ヒデさんの背中を優しく擦りながら声をかける。
「ヒデさん、メイスがきついことを言ってごめんね。……メイスが言ったように、ここと向こうとでは時間の流れや次元というものが違うのかもしれない。何の慰めにもならないけど、しょうたさんはヒデさんが幸せに生きていると信じてこの世界で前を向いて頑張ったはず。……だから、ヒデさんには笑顔でいてほしいと私は思う」
「……ユ、ユーリさん」
嗚咽混じりに名前を呼んだヒデさんに、私は笑みを浮かべて口を開いた。
「実はね、しょうたさんは私のご先祖様なの。だから、私にとっても他人事じゃないのよ」
「ええええ――!?」
衝撃の発言を耳にしたヒデさんの目から、流れていた涙がピタッと止まる。
目を大きく見開いて私を凝視する表情は、先ほどまでの絶望感は消えていた。
驚かせることに成功した私は、心の中でガッツポーズをする。
そうして私は、身の上話しをヒデさんに話して聞かせた。
「……しょうちゃんが英雄かぁ。しょうちゃんらしいや」
私はその呟きを黙って聞くことしか出来ずにヒデさんの横顔を見つめていると、彼は更に話しを続けた。
「……しょうちゃんがこの世界に来ていたのは嬉しい。だけど、三百年は長すぎる。どうしてだよ!納得いかないよ……」
ヒデさんの言い分はよく分かる。
詳しい経緯は分からないが、親友が居なくなって数か月か数年だとしても三百年の差があるのは理解出来ない。
それが親友なら尚更納得がいかないのは当然だろう。
神様に意地悪をされているようで苦い気持ちになる。
私は無意識のうちに唇をギュッと嚙んだ。
すると、メイスが静かに語り始めた。
『この世界と向こうとでは次元も時間の流れも違う。いくら神だとてそこまで干渉は出来ない。アイツはそのことを理解した上で明るく前向きに生きた。お前はアイツの人生を否定したいのか?』
口調は淡々としていたが、その言葉には非難にも似た感情が滲んでいるのが感じとれた。
ヒデさんはハッとした表情を浮かべて、ふるふると頭を左右に振る。
「……そんなつもりじゃ」
そう言いかけたヒデさんの話しを遮って、メイスは淡々と話しを続ける。
『アイツは二ホンに大切な友達を残してきたことを気にしていた。だが、アイツ自身が幸せでいることが友達の幸せになると信じて前向きに生きた。……お前はアイツの気持ちを無駄にしたいのか?』
メイスのきつい口調に、私は注意をしようと口を開きかけて閉じた。
なぜなら、メイスから口を挟むなという無言の圧を感じたからだった。
ここまでの圧を放つメイスを知らない。
私は口を閉じてメイスが話すのを待った。
『いきなり異世界に来て慣れないことだらけで辛いだろう。俺にはお前の心の内までは分からない。だがな、アイツもユーリも現実を受け止めて前向きに生きている。……今は弱音でも文句でもいくらでも言えばいい。だが、お前がアイツの友達だというのなら、アイツの人生を否定するのだけはやめろ。アイツがこの世界に生きた事実だけは無かったことにしてほしくない』
メイスがここまで彼について話しをしたのは初めてのことで、私とヒデさんは口を噤んだ。
普段、滅多に感情を表に出さないメイスの厳しい口調に、私は何と声をかければ良いのか分からなかった。
ヒデさんは顔をぐしゃぐしゃにして、言葉を詰まらせながら反省の言葉を述べた。
「……ごめん、なさい。僕、自分のことしか見えていなかった……。しょうちゃんが行方不明になってから一年しか経っていないのに、こっちでは三百年も経っていたなんてどうしても信じられなくて……。……みっともなく取り乱してごめんなさい」
そうだよね。私にはヒデさんの言い分は痛いほど分かる。
大切な親友が行方不明になって一年ということは、きっとまた会えると思っていたに違いない。
その僅かな希望が断たれたとしたら、絶望に打ちひしがれてしまうだろう。
長命種のメイスには時間の概念は無いのだろうけど、命に限りのある私達人間にとって三百年はあまりにも長過ぎる。
私は、ヒデさんの背中を優しく擦りながら声をかける。
「ヒデさん、メイスがきついことを言ってごめんね。……メイスが言ったように、ここと向こうとでは時間の流れや次元というものが違うのかもしれない。何の慰めにもならないけど、しょうたさんはヒデさんが幸せに生きていると信じてこの世界で前を向いて頑張ったはず。……だから、ヒデさんには笑顔でいてほしいと私は思う」
「……ユ、ユーリさん」
嗚咽混じりに名前を呼んだヒデさんに、私は笑みを浮かべて口を開いた。
「実はね、しょうたさんは私のご先祖様なの。だから、私にとっても他人事じゃないのよ」
「ええええ――!?」
衝撃の発言を耳にしたヒデさんの目から、流れていた涙がピタッと止まる。
目を大きく見開いて私を凝視する表情は、先ほどまでの絶望感は消えていた。
驚かせることに成功した私は、心の中でガッツポーズをする。
そうして私は、身の上話しをヒデさんに話して聞かせた。
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