転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第二章

第102話 アルファイド王国での王都観光 その五

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「はぁ~。美味しかったぁ。まさか、異世界でオムライスが食べられるなんて思ってもみなかった」

 お腹を擦りながら満足気な笑顔で話すヒデさん。
 私も一口だけ味見させてもらったが、日本で食べたオムライスと遜色のない味に思わずため息が零れてしまったくらい美味しかった。
 トマトをたっぷりと使ったケチャップは、どこか懐かしい味がした。
 ちなみに、私が注文したグラタンも非常に美味しかったのは言うまでもない。
 値段は少しお高めだけど、この世界の事情を考えたら仕方のないことだと思う。

「本当。ふわっふわの卵に手作り感満載のケチャップが美味しかったね。王都に居る間は毎日通いたいな」

 そう言うと、ヒデさんも笑顔で何度も頷きながら答える。

「うん!毎日通ってメニュー表の料理を制覇したい!それくらい美味しかった」

 おぉ!それは良いかも。
 その案いただきました。
 と言っても、残り四日間で全制覇するのは難しいだろうけど。
 
 さて、お腹も膨れたしまだ時間もある。
 どこをほっつき歩こうか。
 思案しながらぶらぶらと歩いていると、大通りに並んだ建物からひと際大きな建物が視界を捉えた。
 ここからだと建物の上部しか見えないが、他の建物とは明らかに大きいのが見てとれる。

 白で統一された石造りの建物は、まるでヨーロッパのとある海の街のように真っ白で綺麗だ。
 建築様式もその建物だけ周囲と異なっていた。
 清廉さを感じさせる白い宮殿のような建物を目にした瞬間、私の直感があの建物に寄れと告げる。
 私は、皆に声をかけた。

「ねぇ。あの白い建物に寄ってもいいかな?」

 そう尋ねられたヒデさんが白い建物に視線を向けて答える。

「わぁ!真っ白で綺麗!あの建物は何だろう?気になる」

 ヒデさんは白い建物が気になるようで目を輝かせている。
 メイスとブロンはというと、ちらりと一瞥しただけで関心は無さそうだ。
 苦笑を浮かべながら、私達は白い建物を目指して歩みを進めた。







「ほぇ~……」

 白い建物の前で、間の抜けた声を出して見上げる。
 予想以上に大きい建物は大通りに建ち並んだ建物の何倍も大きく、開け放たれた門の両脇には門兵らしき男性が立っていた。
 門兵を見て緊張が走る。
 これまでの経験上、彼等は職務に忠実で与えられた仕事を淡々とこなす事に重きを置いて見えた。
 だから、ここでも同じだろうと思い話しかけて良いものか考えあぐねていた。
 しかし、門兵の一人が私達に気づくと笑顔で声をかけてきたのだ。

「ようこそセイクリッド大聖堂へ。王都は初めてかい?」

 門兵に笑顔で話しかけられて動揺した私は、慌てて返事をする。

「ひゃい!初めてでしゅ!」

 動揺のせいで声は裏返り噛んでしまった。
 恥ずかしい……。
 一気に首から上が熱を帯びる。
 男性は一瞬目を丸くした後、柔らかく微笑んで口を開いた。

「そうか。その格好からして冒険者かな?このセイクリッド大聖堂は慈愛の女神を祀っているんだ。貴族平民問わず受け入れているから気軽に入ってかまわない。そう緊張することはないよ」

 身分に関係なく大聖堂に入れるのか。
 慈愛の女神を信仰しているだけあって心が広いな。
 そういうことなら遠慮なく入らせてもらおう。

「はい。ありがとうございます」

 門兵にお礼を述べると、大聖堂に向かう人達の後を追うようについて行った。
 門兵が言った通り、大聖堂に向かう人達の身なりは上等な服を着た者、質素な服を着た者、冒険者など実に様々だ。

 上等な服を着た者はたぶん貴族なのだろう。
 前を歩く女性を守るように男性が一人、後ろにピッタリと張り付いている。
 平民に混じって貴族が歩いているなんて驚きだ。
 しかし、誰もが当たり前のように平然としている光景を目にしたら、本当にこの国には身分の差がないのだと納得した。

 だって、そう言いながらも身分を笠に着る人って少なからず居るでしょう?



 私は内心安堵しつつも、彼等とは距離をとって歩みを進める。
 そうして歩いているうちに、いつの間にか大聖堂の入り口にたどり着いた私達は、扉の大きさに圧倒されて大きく口を開けて見上げた。
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