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第1章 ビキニアーマーができるまで
妹、ほのか
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高校生の兄がいきなり異性を家に連れてきたのだから、無愛想でも挨拶ができた分、褒められても良いのだろう。タケルの妹、ほのかは、実にリアルな反応で二度ほど雪見をチラ見したあと、タケルをギロリと睨んで居間へと消えていった。
「あの驚いた顔! 僕に異性の友達なんか一生できないと、勝手に決めつけていたんだろうさ。ざまー見ろだよ」
妹の態度に、タケルはむしろご満悦のようだったが、雪見は違った。
「たぶん、私が芋過ぎて驚いてたんだよ。妹さんの方がオシャレにも詳しそうだし……」
「何言ってんのさ。黒髪メガネ女子ってだけで、雪見ちゃんはすでに勝ち組なんだ。クラスでこのポジション取れるのは大したもんさ」
地味っ娘メガネのポジションを取ったところで、何の得があるのかと、雪見は思った。
「僕の部屋は二階なんだ。さ、行こう」
タケルは雪見を自室に案内した。六畳ほどの広さだが、収納スペースもしっかり確保されており、部屋は割とすっきりとしている。雪見が想像していたような男子部屋とはだいぶ違った。
「部屋、綺麗にしてるんだね」
「ま、まぁね」
実は昨晩、雪見が来ることを想定して、必死で片付けをしていたのだが、タケルは恥ずかしくてそんなことは言えなかった。
「さっそく作ろうか。この設計図を雪見ちゃんにあげる」
タケルはプラスチックソードの設計図を開いて雪見に渡した。
「凄い! 私、ケレンさんが言ってたことが分かったような気がする。剣とは巡り合わせって、本当にそうだよね。タケルくんと二人で歩いて、模型屋のお婆さんたちと出会ったり、材料を買ったり……」
「ケレンさんがそんなことを言ってたのか。忘れてたけど、あの人、異世界から来たんだよな」
異世界の武器や防具にタケルは興味があった。材料はどうやって仕入れて、どんな道具を使って加工するのか。いつか、自分の目で見てみたいとさえ思っていた。
「それじゃ、僕は刃の形にプラ板を切っていくから、雪見ちゃんは柄の部分を作って」
「うん。分かった!」
二人は黙々と作っていた。家へ来る前に寄ったコンビニでジュースとお菓子も買っていたが、二人の手はほとんど作業で動いていた。雪見は剣道で竹刀の扱いにはなれており、その要領で自分に手の形に合った柄へと仕上げていく。
「こんな感じでどうかな……」
「上出来だよ。僕の方も順調に進んでる。ずっと同じ姿勢でいるのは良くないし、少し休憩しよう」
二人は菓子を広げて、お喋りをしながらジュースを飲んだ。
「雪見ちゃん。あれから体調はどう?」
「良くなったよ。だけど、まだ少し胸がムズムズする。神山先生と会う前日の夜、お風呂で生成魔法の練習をし過ぎたせいかな」
「驚いた。そんなことをしてたのか。でも、魔法を使えるなんて、本当に不思議だよなぁ。まさか、雪見ちゃんも異世界から来たとか?」
「無い無い。私にそんな裏設定は無いよー」
ケルベロスを召喚しているという、とんでもない裏設定があることを、雪見本人は知らない。タケルは複雑な気持ちで笑い返した。
「あの驚いた顔! 僕に異性の友達なんか一生できないと、勝手に決めつけていたんだろうさ。ざまー見ろだよ」
妹の態度に、タケルはむしろご満悦のようだったが、雪見は違った。
「たぶん、私が芋過ぎて驚いてたんだよ。妹さんの方がオシャレにも詳しそうだし……」
「何言ってんのさ。黒髪メガネ女子ってだけで、雪見ちゃんはすでに勝ち組なんだ。クラスでこのポジション取れるのは大したもんさ」
地味っ娘メガネのポジションを取ったところで、何の得があるのかと、雪見は思った。
「僕の部屋は二階なんだ。さ、行こう」
タケルは雪見を自室に案内した。六畳ほどの広さだが、収納スペースもしっかり確保されており、部屋は割とすっきりとしている。雪見が想像していたような男子部屋とはだいぶ違った。
「部屋、綺麗にしてるんだね」
「ま、まぁね」
実は昨晩、雪見が来ることを想定して、必死で片付けをしていたのだが、タケルは恥ずかしくてそんなことは言えなかった。
「さっそく作ろうか。この設計図を雪見ちゃんにあげる」
タケルはプラスチックソードの設計図を開いて雪見に渡した。
「凄い! 私、ケレンさんが言ってたことが分かったような気がする。剣とは巡り合わせって、本当にそうだよね。タケルくんと二人で歩いて、模型屋のお婆さんたちと出会ったり、材料を買ったり……」
「ケレンさんがそんなことを言ってたのか。忘れてたけど、あの人、異世界から来たんだよな」
異世界の武器や防具にタケルは興味があった。材料はどうやって仕入れて、どんな道具を使って加工するのか。いつか、自分の目で見てみたいとさえ思っていた。
「それじゃ、僕は刃の形にプラ板を切っていくから、雪見ちゃんは柄の部分を作って」
「うん。分かった!」
二人は黙々と作っていた。家へ来る前に寄ったコンビニでジュースとお菓子も買っていたが、二人の手はほとんど作業で動いていた。雪見は剣道で竹刀の扱いにはなれており、その要領で自分に手の形に合った柄へと仕上げていく。
「こんな感じでどうかな……」
「上出来だよ。僕の方も順調に進んでる。ずっと同じ姿勢でいるのは良くないし、少し休憩しよう」
二人は菓子を広げて、お喋りをしながらジュースを飲んだ。
「雪見ちゃん。あれから体調はどう?」
「良くなったよ。だけど、まだ少し胸がムズムズする。神山先生と会う前日の夜、お風呂で生成魔法の練習をし過ぎたせいかな」
「驚いた。そんなことをしてたのか。でも、魔法を使えるなんて、本当に不思議だよなぁ。まさか、雪見ちゃんも異世界から来たとか?」
「無い無い。私にそんな裏設定は無いよー」
ケルベロスを召喚しているという、とんでもない裏設定があることを、雪見本人は知らない。タケルは複雑な気持ちで笑い返した。
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