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16 ママ
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「媽媽~……」
胸元に何かが埋まっているような感覚と、触られている感覚に目を覚ました。
「!? ちょ、ちょっとあんた、何してんのよっ!!」
目を開けると、すぐそこに王太子の顔があった。しがみついて離れないそれを、無理矢理手で押し返すが、ビクともしない。
「むにゃむにゃ……」
「ちょっと、やめてよーー! 誰か、菖蒲、来てーー!!」
私が叫ぶと、部屋のすぐ外に控えていたのであろう、菖蒲とあの宦官が入ってきた。
「青妃、いかがなされましたか」
「たすけて、こいつが胸に引っ付いて離れないの!」
私の訴えを聞いた二人は、目を見合わせたあと「どうぞ、ごゆっくり」とだけ言ってまた外へ帰っていった。
「えぇ~……」
そこまで言って、自分もようやく目が覚めてきた。どうやら私も多分に寝ぼけていたらしい。
夫が妻に、わざわざ会いに来ているのだ。ほぼ初対面とはいえ、"そのために"訪れているのだから、彼らが止めるはずがなかった。
しかしそんなことを言ったって、自分のことをブスと罵った相手に無条件に身体を許すようなことはしたくない。もう、自分の意思を殺して他人の言いなりになることはやめると決めたのだから。
「ぐぐ……離れて、よぉ!……ん?」
押し返してもビクともしない王太子の顔を掴んで上を向かせるも、反応がない。どうやらまだ眠っているようだった。ほっぺたを摘んでぐいぐい引っ張って見ても、ぐにゃぐにゃと口が変形するだけだ。
「嘘でしょぉ、起きないの?」
こんなに騒がれてもつねられても目が覚めないなんて、どこかおかしいんじゃないのか。生物としての危機感が足りなさすぎる。
押し返し続けるのも、なかなかに力がいる。私は奴を引き剥がすことを諦め、身体の力を抜いた。
(意味わかんないけど、人とくっついて寝るなんて久しぶり……あったかい)
その体温の温かさを感じたら、何故かまた涙が出てきてしまった。皓月様のことはもう忘れると、そう思ったはずなのに、身体が覚えてしまっていたのだと悲しくなった。
あの温もりは偽物だったのに。
今となっては、裏切られた記憶でしかないのに。
自分の意志とは関係なく湧き出てくる涙を、ただその流れの赴くままに溢れさせ続けた。これが枯れきったら、この悲しみも消えてなくなるかな、などと淡い希望を抱きながら。
胸元に何かが埋まっているような感覚と、触られている感覚に目を覚ました。
「!? ちょ、ちょっとあんた、何してんのよっ!!」
目を開けると、すぐそこに王太子の顔があった。しがみついて離れないそれを、無理矢理手で押し返すが、ビクともしない。
「むにゃむにゃ……」
「ちょっと、やめてよーー! 誰か、菖蒲、来てーー!!」
私が叫ぶと、部屋のすぐ外に控えていたのであろう、菖蒲とあの宦官が入ってきた。
「青妃、いかがなされましたか」
「たすけて、こいつが胸に引っ付いて離れないの!」
私の訴えを聞いた二人は、目を見合わせたあと「どうぞ、ごゆっくり」とだけ言ってまた外へ帰っていった。
「えぇ~……」
そこまで言って、自分もようやく目が覚めてきた。どうやら私も多分に寝ぼけていたらしい。
夫が妻に、わざわざ会いに来ているのだ。ほぼ初対面とはいえ、"そのために"訪れているのだから、彼らが止めるはずがなかった。
しかしそんなことを言ったって、自分のことをブスと罵った相手に無条件に身体を許すようなことはしたくない。もう、自分の意思を殺して他人の言いなりになることはやめると決めたのだから。
「ぐぐ……離れて、よぉ!……ん?」
押し返してもビクともしない王太子の顔を掴んで上を向かせるも、反応がない。どうやらまだ眠っているようだった。ほっぺたを摘んでぐいぐい引っ張って見ても、ぐにゃぐにゃと口が変形するだけだ。
「嘘でしょぉ、起きないの?」
こんなに騒がれてもつねられても目が覚めないなんて、どこかおかしいんじゃないのか。生物としての危機感が足りなさすぎる。
押し返し続けるのも、なかなかに力がいる。私は奴を引き剥がすことを諦め、身体の力を抜いた。
(意味わかんないけど、人とくっついて寝るなんて久しぶり……あったかい)
その体温の温かさを感じたら、何故かまた涙が出てきてしまった。皓月様のことはもう忘れると、そう思ったはずなのに、身体が覚えてしまっていたのだと悲しくなった。
あの温もりは偽物だったのに。
今となっては、裏切られた記憶でしかないのに。
自分の意志とは関係なく湧き出てくる涙を、ただその流れの赴くままに溢れさせ続けた。これが枯れきったら、この悲しみも消えてなくなるかな、などと淡い希望を抱きながら。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
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