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第七章 氷雪の試練と友情
第百四十話 絶叫
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「もぉー! またラースとボムちゃんに巻き込まれちゃったよー!」
ゴンドラを前に頬を膨らませて文句を言うソモルンだが、元々は怪獣兄弟を指名した仕事だったはず。心の中で若干失礼なことを言ってしまったと思うが、巻き込まれたのは俺の方である。
「怪獣兄弟の仕事だろ。頑張って仕事をしないと、次はドラゴンチョップかもしれないぞ。その場合、俺とボムは死ぬけどな」
「じゃあ早く終わらせるぞ! 何をすればいい?」
「そ、そうだね。早く終わらせよう!」
怪獣兄弟が納得したところで、二人にしかできない仕事をやってもらおう。
「ソモルンはいつもの雲でゴンドラの発着所を作ってもらう。着地のときに衝撃を吸収してもらいたいからね」
「衝撃……? ああー、なるほどねー!」
「ソモルン、分かったのか? 俺にも教えてくれ!」
勘が鋭いソモルンはすぐに分かったみたいだが、ボムはまだ分かっていないようでソモルンに詳しく聞いていた。
「えっと……何て言うか……」
「その前に、ボムにはゴンドラボーイをやってもらおうと思っているんだ」
「ゴンドラボーイって何をするんだ?」
「まず、このハンドベルを持ってくれ。急ごしらえにしてはなかなかの出来だぞ。魔力を流さないと鐘がならないようになっている」
ハンドベルが新しい玩具に思えたのか、両手でいじくり回しているボムには、エレベーターガールのようなことをやってもらうつもりだ。エレベーターのようなボタンはないから、発進と到着を知らせるために鐘を鳴らしてもらう。そのため、振動で鳴らないように魔力を流して使う物を急いで作った。
「到着のときはカランと一回だけ鳴らして、発進のときはカランカランと二回鳴らしてくれ。それからゴンドラに乗るときの注意事項として、降りるときはしっかり掴まって落ちないようにな!」
「それだけでいいのか? 動力がどうのってプルーム様が言ってただろ?」
「動力は俺が重力魔術を使って担当するから大丈夫だ。ボムはカルラたちと一緒にゴンドラを楽しんでくれ!」
「……本当か? なんか怪しいぞ。楽すぎて素直に喜べないんだが……」
ようやく勘が働き始めたようだが、どうやら時間切れである。待ちきれないプルーム様が催促しに向かって来ているのだ。
「おい。まだか?」
「もう出発できます! ですが、一度に全員は無理なので、二回に分かれて乗ってください。ソモルン、雲出して!」
「任せて!」
結局ボムの疑問に対する答えを流して準備を進めていく。俺は滑車から垂れ下がっているであろうゴンドラのロープに、体を支えて置ける座面と足場を創造魔術で作り、さらに足場の下に重りを固定した。この重りに重力魔術をかけて加重していくことで、ボムよりも重くしていくつもりである。
「ボム、雲の上にゴンドラを乗せてくれ。あとガルーダは先にプモルンを連れて穴の中を探って来てくれ」
「任せろ。その代わりに俺にも乗らせてくれよ!」
「次の便に乗ってくれ」
「分かった。じゃあ行ってくる」
ゴンドラが設置された縦穴は今いる場所より下にも穴が開いており、先が見えないほど深く暗い闇に覆われていた。そこの探索をガルーダとプモルンにお願いし、俺たちはゴンドラの運行に集中する。
「では、一組目はプルーム様とグロームにチビッ子三人組ですね。ボムの後に続いて乗り込んでください」
ゴンドラの横には扉がつけられており、楽に乗り降りができるようになっている。そしてこの扉があることで一番助かったのは、俺たち一行の中で最も足が短い巨デブの熊さんである。ちなみに、他のチビッ子たちは抱えられているから除外されている。
「……ボムも乗るのか?」
「はい。俺はゴンドラボーイという職を得ました!」
珍しくプルーム様が不安そうに尋ねていたが、不安に思う気持ちは分からないでもない。本来の役割は重さを活かした動力だったはず。そのボムが同乗している上に、動力は俺だけという予想とは真逆の状態だったからだろう。
調教師以来の新たな職を得てやる気満々のボムとは対照的に、プルーム様の表情は不安一色となっていた。当然だが、グロームの表情も不安一色である。元気なのは大好きな父ちゃんと一緒に思い出を作れるチビッ子たちと、不安の原因である巨デブの熊さんだけだった。
『父ちゃんと一緒に乗れるの楽しみー! 初めて一緒に攻略する十大ダンジョンだから、いっぱい思い出作るのー! ねっ!』
「そうだな、そうだな! いっぱい作ろうな!」
ちなみに、いつでもどこでも一緒のはずのソモルンは、必要のない雲の操作を理由にして留守番を選んだ。
「ボムちゃんいってらっしゃーい!」
「行ってくるなー! ソモルンも雲を頼んだぞー!」
「ぐっ……!」
純粋に応援するボムの言葉を受け胸を押さえるソモルン。よこしまな気持ちを抱いたミニ怪獣の良心が反応したからかもしれない。しかし、胸が痛んでもゴンドラに乗るつもりはないようだ。
「それでは発進しまーす!」
ゴンドラの扉を閉めたことを確認し声をかけると、ボムは満面の笑みでハンドベルをカランカランと二回鳴らした。
ーー重力魔術《重岩》ーー
足の下につけた重りに負荷をかけていく。すると、ギシッと滑車から音が鳴り少しずつゴンドラが持ち上がっていく。
「「「おぉぉぉぉぉー!」」」
楽しみにしていたボムと不安そうにしていたプルーム様とグロームの二人が、同時に驚き声を発していた。もちろん俺も驚いていたが、俺は深く暗い闇に向かって行くことになる不安の方が勝っていた。
『すごーい! 壁がキラキラしてるよー!』
「うむ……、上の方は明るいようだな。その光が反射しているようじゃ。もしかしたら、宝石が埋まっているのかもな」
「下から順にガルーダとプモルンが調べているみたいですので、見落としはないと思いますよ!」
縦穴は響く構造となっているようでボムたちの会話がよく聞こえる。そのおかげで、一人でもそこそこ楽しめる作業となっていた。
◇
ーーカラーン。
ボムたちの会話に耳を澄ませていたり、探索から戻ってきたガルーダと話したりしていると到着の鐘が鳴った。負荷は維持しないといけないため、創造魔術で造った槍を壁に突き刺して掴まることで体を固定する。次の便の目印にもなってちょうどいいという考えもあった。
『楽しかったのー!』
「父ちゃんも楽しかったぞ!」
『父ちゃんはまたお仕事でしょ? いってらっしゃい! チュッ!』
「こ……これが……いってらっしゃいのキスか! 良いものだ!」
『えへへ~。カトレアたちに聞いたの!』
ーーカランカラーン。
カルラにいってらっしゃいのキスをされて喜ぶボムの声が聞こえてきたかと思えば、発進の合図の鐘の音が鳴り響いた。きっとカルラに見送られながら、ゆっくり降りて発進すると思っているのだろう。
降りてくるときの注意事項をしっかり覚えていてくれていることを期待して、俺も足でロープを挟むように固定してしがみつく。そして次の瞬間、重力魔術を解除した。結果は言わずもがな。
「行ってくるからなーーぁぁぁああぁぁぁ……!」
「『と、父ちゃん……!』」
すまん。でも俺も振り落とされそうになるほどの急上昇を体験することになるんだ。お互い様ということで許して欲しい。
降下ではなく落下という方法で降りてくる手段をとったことを心の中で謝罪しつつ、ロープに必死にしがみついていた。
「ラァァァスゥゥゥゥーーー! ウッ……グッ!」
ボムの叫び声の後にボフッという音が鳴り、ボムのうめき声が聞こえて来た直後、急上昇が止まり少し落ちて完全に上昇が止まった。反動で揺れていたが、場所は出発地点に戻って来ていた。
「ハハハッ! く……苦しい……!」
「一瞬だけど空を飛んでいたわ! さすが我が主だわー!」
元々こうなることを予想していたソモルンが地面をバシバシ叩きながら腹を抱えて笑い、ソモルンに教えてもらっていたであろう残留組も各々笑っていた。そして笑われている巨デブの熊さんは、怪獣の口の中から俺を睨んでいる。
「……おい。何か言いたいことがあるんじゃないのか?」
「こ、これが一番早いと思ったんだ。重力魔術は難しいから大変なんだ。できれば片道だけがよかったんだよ。あ……あと、説明しようと思ったけど時間がなかったんだ。……すまん!」
「結局動力扱いじゃないか! それからソモルン! 次はソモルンも連れて行くからな!」
「そ、そんな! じゃあセルは……?」
ソモルンを道連れにするボムの発言にセルを速攻で巻き込むソモルン。だがしかし、次は神獣三体とボムが乗り込むため定員オーバーである。俺も残念だと思うが、悪運が強いセルは禊ぎをすることなく主君を笑うことができるのだった。
「じゃあ次行きますよー!」
一組目よりもゴンドラ内にみっちりと巨体が多く収まっているため、モフモフ度が高く一部の人たちにとっては最高の贈り物になること間違いなしだ。この状況に名前をつけるとしたら『モフモフバスケット』だろう。
このゴンドラの真ん中に乗りたい。もちろん、カルラを抱いて。
ーーカランカラーン。
落下が待っていると知っているせいか、さっきよりも元気がないように感じられる鐘の音が鳴り響く。今回は一組目よりも重いせいで、重力魔術の負荷も強めにかけなければびくともしなかった。それでも一回目に突き刺した槍が見え、まもなく鐘の音が二回聞こえ、無事に到着したことが覗えた。
三回目は俺も一緒に乗るため重力魔術を動力にするのは難しい。そこで槍の柄に磁力魔術を強めにかけておく。ただ、これだけだと金属を身につけている俺やボムが引っ張られるような気がするため、結界魔術で魔術を遮断しておくことに。
この仕掛けをしているうちに落下の合図が鳴らされ、二度目の急上昇と落下が開始されるのだった。今回はボムの叫び声にソモルンの叫び声が重なっていて、悲鳴のハーモニーが奏でられていた。
「お疲れ」
「「はぁ……はぁ……はぁ……」」
「次……次で終わりか……?」
「そうだ。セルさん、乗ってください」
「はぁぁい!」
今の今まで爆笑していたセルはいつと通りボムチョップを喰らい、お叱りの言葉を優しい主君から受けている。その間に重力魔術をかけていた重りに磁力魔術をかけていく。
「それじゃあ、しっかり掴まっていてくれよ!」
ーー結界魔術《城壁》ーー
ーー磁力魔術《引力》ーー
ゴンドラに結界を張り磁力魔術を発動する。このとき初めてミスに気づいたのだが、時すでに遅し。急激に引き合う重りと槍のせいで、俺たちも打ち上げられるかのような速度で上昇していたのだ。
俺が犯したミスは、槍と重りの両方に強めに魔術を掛けたこと。重りを増やして金属にしておくか、弱めに磁力魔術をかけて置けば良かったのだが、お互いが引き合えばおデブさんを乗せても大丈夫だと安易に考えてしまったのが今回のミスに繋がってしまった。
そもそも普段から磁力魔術自体あまり使わないのに、適当な考えで使ってしまったことも問題だった。今回のことは反省すべきだと肝に銘じよう。
反省しているうちにカルラたちの元に到着し、なんとか無事に合流を果たした。ボムたちにミスを謝って回ったのだが、ボムからすれば落下するよりは全然いいと言われ、特に怒られることもなかったのだ。それどころか、セルやソモルンも動力の都合でのことでミスだとは思わなかったと言っていた。
三人が三人とも「そうだったのか?」みたいな感じだったことが救いとなったが、反省すべき点であったことは間違いないので反省と改善は必ず行う。
「おい! 次に行くぞ。もう少ししたら昼飯じゃ」
反省点を考えながら休憩していたところ、プルーム様から出発を告げられる。どうやら小腹が空いてきたようで、そろそろ昼飯にしてもいいんじゃないかという提案でもあるようだ。
「もう少し広いところで昼飯にしましょう。ここは通路ですからね」
「うむ……それなら少し急ぐか」
当然だが、誰も反対意見を出すこともなく賛成である。全員が小腹が空いてきたということもあるからかもしれないが、急ぐほどお腹が空いてきた大魔王様に我慢させるわけにはいかないと、チビッ子たち以外の全員が思っているからだろう。チビッ子たちは俺たちとは違って、優しさから我慢させたくないと思ってるかもしれないが……。
プルーム様の意見に従い、全員が広い場所を探しながら歩を進めていく。といっても、一本道のダンジョンの通路に小部屋がないかと確認するくらいである。この際、隠し部屋でもいいと思っているときに事件は起こった。
「んっ? 何だこれ?」
ーーカチッ。
フェンリルが壁にあった出っ張りを押した。ただそれだけのこと。しかしここはダンジョンで、ダンジョンで不思議なスイッチとは十中八九で罠である。
「セルさん、ストップ!」
「グェッ……!」
俺は急いでセルのスカーフを掴み、壁にナイフを突き刺してまでして急停止した。そのおかげで、俺とセルだけが罠にかからずに済んだ。
じゃあ他の者たちはどうなったかって?
フェンリルが押したスイッチ周辺の壁が消え、代わりに現れた下に向かって斜めに開いた横穴に叩き落とされていった。【神魔眼】で確認したところ、下からフェンリル、グローム、ヘリオス、ニールとバロン、ガルーダ、プルーム様とカルラ、ソモルンときて、一番上に蓋のようにボムさんが押し潰していた。
ちなみに、フェンリルからガルーダのプルーム様よりも下の者たちは、とある事情によって口が裂けても重いと言えないのである。それに加え、全員が楽な姿勢で穴にいるわけではない。だが、これだけは言える。
このままではフェンリルが圧死する。
自業自得とは言え、ボムが一番上になってしまったことほど不幸なことはないだろう。さらに言えば、せめてもう少しだけ広い穴であれば隙間からなんとかなったかもしれないが、穴の広さはボムの体とほぼ同じですっぽりはまっていた。
「ボム! 早く上がれ!」
プルーム様がボムに上がるよう指示を出す。と言うのも、ボムの体と同じということはプルーム様にとっては広いのだ。しかもプルーム様は仰向けの状態である。
さすがのプルーム様も片手にカルラを抱いたままでは何もできないようだ。ボムから出口までそこそこの距離があるというのも、脱出を困難にしている理由の一つだろう。
そしてプルーム様の指示に対するボムの答えはというと……。
「無理ですー! 手足の踏ん張りが利きません! ひっくり返った亀状態と言いますか、生まれたての赤ん坊状態と言いますか……とにかく手足が空を切るばかりです!」
「ふざけるなぁぁぁぁー!」
「ふざけていませぇぇぇん!」
プルーム様の怒号とボムの絶叫が横穴に鳴り響くのだった。
ゴンドラを前に頬を膨らませて文句を言うソモルンだが、元々は怪獣兄弟を指名した仕事だったはず。心の中で若干失礼なことを言ってしまったと思うが、巻き込まれたのは俺の方である。
「怪獣兄弟の仕事だろ。頑張って仕事をしないと、次はドラゴンチョップかもしれないぞ。その場合、俺とボムは死ぬけどな」
「じゃあ早く終わらせるぞ! 何をすればいい?」
「そ、そうだね。早く終わらせよう!」
怪獣兄弟が納得したところで、二人にしかできない仕事をやってもらおう。
「ソモルンはいつもの雲でゴンドラの発着所を作ってもらう。着地のときに衝撃を吸収してもらいたいからね」
「衝撃……? ああー、なるほどねー!」
「ソモルン、分かったのか? 俺にも教えてくれ!」
勘が鋭いソモルンはすぐに分かったみたいだが、ボムはまだ分かっていないようでソモルンに詳しく聞いていた。
「えっと……何て言うか……」
「その前に、ボムにはゴンドラボーイをやってもらおうと思っているんだ」
「ゴンドラボーイって何をするんだ?」
「まず、このハンドベルを持ってくれ。急ごしらえにしてはなかなかの出来だぞ。魔力を流さないと鐘がならないようになっている」
ハンドベルが新しい玩具に思えたのか、両手でいじくり回しているボムには、エレベーターガールのようなことをやってもらうつもりだ。エレベーターのようなボタンはないから、発進と到着を知らせるために鐘を鳴らしてもらう。そのため、振動で鳴らないように魔力を流して使う物を急いで作った。
「到着のときはカランと一回だけ鳴らして、発進のときはカランカランと二回鳴らしてくれ。それからゴンドラに乗るときの注意事項として、降りるときはしっかり掴まって落ちないようにな!」
「それだけでいいのか? 動力がどうのってプルーム様が言ってただろ?」
「動力は俺が重力魔術を使って担当するから大丈夫だ。ボムはカルラたちと一緒にゴンドラを楽しんでくれ!」
「……本当か? なんか怪しいぞ。楽すぎて素直に喜べないんだが……」
ようやく勘が働き始めたようだが、どうやら時間切れである。待ちきれないプルーム様が催促しに向かって来ているのだ。
「おい。まだか?」
「もう出発できます! ですが、一度に全員は無理なので、二回に分かれて乗ってください。ソモルン、雲出して!」
「任せて!」
結局ボムの疑問に対する答えを流して準備を進めていく。俺は滑車から垂れ下がっているであろうゴンドラのロープに、体を支えて置ける座面と足場を創造魔術で作り、さらに足場の下に重りを固定した。この重りに重力魔術をかけて加重していくことで、ボムよりも重くしていくつもりである。
「ボム、雲の上にゴンドラを乗せてくれ。あとガルーダは先にプモルンを連れて穴の中を探って来てくれ」
「任せろ。その代わりに俺にも乗らせてくれよ!」
「次の便に乗ってくれ」
「分かった。じゃあ行ってくる」
ゴンドラが設置された縦穴は今いる場所より下にも穴が開いており、先が見えないほど深く暗い闇に覆われていた。そこの探索をガルーダとプモルンにお願いし、俺たちはゴンドラの運行に集中する。
「では、一組目はプルーム様とグロームにチビッ子三人組ですね。ボムの後に続いて乗り込んでください」
ゴンドラの横には扉がつけられており、楽に乗り降りができるようになっている。そしてこの扉があることで一番助かったのは、俺たち一行の中で最も足が短い巨デブの熊さんである。ちなみに、他のチビッ子たちは抱えられているから除外されている。
「……ボムも乗るのか?」
「はい。俺はゴンドラボーイという職を得ました!」
珍しくプルーム様が不安そうに尋ねていたが、不安に思う気持ちは分からないでもない。本来の役割は重さを活かした動力だったはず。そのボムが同乗している上に、動力は俺だけという予想とは真逆の状態だったからだろう。
調教師以来の新たな職を得てやる気満々のボムとは対照的に、プルーム様の表情は不安一色となっていた。当然だが、グロームの表情も不安一色である。元気なのは大好きな父ちゃんと一緒に思い出を作れるチビッ子たちと、不安の原因である巨デブの熊さんだけだった。
『父ちゃんと一緒に乗れるの楽しみー! 初めて一緒に攻略する十大ダンジョンだから、いっぱい思い出作るのー! ねっ!』
「そうだな、そうだな! いっぱい作ろうな!」
ちなみに、いつでもどこでも一緒のはずのソモルンは、必要のない雲の操作を理由にして留守番を選んだ。
「ボムちゃんいってらっしゃーい!」
「行ってくるなー! ソモルンも雲を頼んだぞー!」
「ぐっ……!」
純粋に応援するボムの言葉を受け胸を押さえるソモルン。よこしまな気持ちを抱いたミニ怪獣の良心が反応したからかもしれない。しかし、胸が痛んでもゴンドラに乗るつもりはないようだ。
「それでは発進しまーす!」
ゴンドラの扉を閉めたことを確認し声をかけると、ボムは満面の笑みでハンドベルをカランカランと二回鳴らした。
ーー重力魔術《重岩》ーー
足の下につけた重りに負荷をかけていく。すると、ギシッと滑車から音が鳴り少しずつゴンドラが持ち上がっていく。
「「「おぉぉぉぉぉー!」」」
楽しみにしていたボムと不安そうにしていたプルーム様とグロームの二人が、同時に驚き声を発していた。もちろん俺も驚いていたが、俺は深く暗い闇に向かって行くことになる不安の方が勝っていた。
『すごーい! 壁がキラキラしてるよー!』
「うむ……、上の方は明るいようだな。その光が反射しているようじゃ。もしかしたら、宝石が埋まっているのかもな」
「下から順にガルーダとプモルンが調べているみたいですので、見落としはないと思いますよ!」
縦穴は響く構造となっているようでボムたちの会話がよく聞こえる。そのおかげで、一人でもそこそこ楽しめる作業となっていた。
◇
ーーカラーン。
ボムたちの会話に耳を澄ませていたり、探索から戻ってきたガルーダと話したりしていると到着の鐘が鳴った。負荷は維持しないといけないため、創造魔術で造った槍を壁に突き刺して掴まることで体を固定する。次の便の目印にもなってちょうどいいという考えもあった。
『楽しかったのー!』
「父ちゃんも楽しかったぞ!」
『父ちゃんはまたお仕事でしょ? いってらっしゃい! チュッ!』
「こ……これが……いってらっしゃいのキスか! 良いものだ!」
『えへへ~。カトレアたちに聞いたの!』
ーーカランカラーン。
カルラにいってらっしゃいのキスをされて喜ぶボムの声が聞こえてきたかと思えば、発進の合図の鐘の音が鳴り響いた。きっとカルラに見送られながら、ゆっくり降りて発進すると思っているのだろう。
降りてくるときの注意事項をしっかり覚えていてくれていることを期待して、俺も足でロープを挟むように固定してしがみつく。そして次の瞬間、重力魔術を解除した。結果は言わずもがな。
「行ってくるからなーーぁぁぁああぁぁぁ……!」
「『と、父ちゃん……!』」
すまん。でも俺も振り落とされそうになるほどの急上昇を体験することになるんだ。お互い様ということで許して欲しい。
降下ではなく落下という方法で降りてくる手段をとったことを心の中で謝罪しつつ、ロープに必死にしがみついていた。
「ラァァァスゥゥゥゥーーー! ウッ……グッ!」
ボムの叫び声の後にボフッという音が鳴り、ボムのうめき声が聞こえて来た直後、急上昇が止まり少し落ちて完全に上昇が止まった。反動で揺れていたが、場所は出発地点に戻って来ていた。
「ハハハッ! く……苦しい……!」
「一瞬だけど空を飛んでいたわ! さすが我が主だわー!」
元々こうなることを予想していたソモルンが地面をバシバシ叩きながら腹を抱えて笑い、ソモルンに教えてもらっていたであろう残留組も各々笑っていた。そして笑われている巨デブの熊さんは、怪獣の口の中から俺を睨んでいる。
「……おい。何か言いたいことがあるんじゃないのか?」
「こ、これが一番早いと思ったんだ。重力魔術は難しいから大変なんだ。できれば片道だけがよかったんだよ。あ……あと、説明しようと思ったけど時間がなかったんだ。……すまん!」
「結局動力扱いじゃないか! それからソモルン! 次はソモルンも連れて行くからな!」
「そ、そんな! じゃあセルは……?」
ソモルンを道連れにするボムの発言にセルを速攻で巻き込むソモルン。だがしかし、次は神獣三体とボムが乗り込むため定員オーバーである。俺も残念だと思うが、悪運が強いセルは禊ぎをすることなく主君を笑うことができるのだった。
「じゃあ次行きますよー!」
一組目よりもゴンドラ内にみっちりと巨体が多く収まっているため、モフモフ度が高く一部の人たちにとっては最高の贈り物になること間違いなしだ。この状況に名前をつけるとしたら『モフモフバスケット』だろう。
このゴンドラの真ん中に乗りたい。もちろん、カルラを抱いて。
ーーカランカラーン。
落下が待っていると知っているせいか、さっきよりも元気がないように感じられる鐘の音が鳴り響く。今回は一組目よりも重いせいで、重力魔術の負荷も強めにかけなければびくともしなかった。それでも一回目に突き刺した槍が見え、まもなく鐘の音が二回聞こえ、無事に到着したことが覗えた。
三回目は俺も一緒に乗るため重力魔術を動力にするのは難しい。そこで槍の柄に磁力魔術を強めにかけておく。ただ、これだけだと金属を身につけている俺やボムが引っ張られるような気がするため、結界魔術で魔術を遮断しておくことに。
この仕掛けをしているうちに落下の合図が鳴らされ、二度目の急上昇と落下が開始されるのだった。今回はボムの叫び声にソモルンの叫び声が重なっていて、悲鳴のハーモニーが奏でられていた。
「お疲れ」
「「はぁ……はぁ……はぁ……」」
「次……次で終わりか……?」
「そうだ。セルさん、乗ってください」
「はぁぁい!」
今の今まで爆笑していたセルはいつと通りボムチョップを喰らい、お叱りの言葉を優しい主君から受けている。その間に重力魔術をかけていた重りに磁力魔術をかけていく。
「それじゃあ、しっかり掴まっていてくれよ!」
ーー結界魔術《城壁》ーー
ーー磁力魔術《引力》ーー
ゴンドラに結界を張り磁力魔術を発動する。このとき初めてミスに気づいたのだが、時すでに遅し。急激に引き合う重りと槍のせいで、俺たちも打ち上げられるかのような速度で上昇していたのだ。
俺が犯したミスは、槍と重りの両方に強めに魔術を掛けたこと。重りを増やして金属にしておくか、弱めに磁力魔術をかけて置けば良かったのだが、お互いが引き合えばおデブさんを乗せても大丈夫だと安易に考えてしまったのが今回のミスに繋がってしまった。
そもそも普段から磁力魔術自体あまり使わないのに、適当な考えで使ってしまったことも問題だった。今回のことは反省すべきだと肝に銘じよう。
反省しているうちにカルラたちの元に到着し、なんとか無事に合流を果たした。ボムたちにミスを謝って回ったのだが、ボムからすれば落下するよりは全然いいと言われ、特に怒られることもなかったのだ。それどころか、セルやソモルンも動力の都合でのことでミスだとは思わなかったと言っていた。
三人が三人とも「そうだったのか?」みたいな感じだったことが救いとなったが、反省すべき点であったことは間違いないので反省と改善は必ず行う。
「おい! 次に行くぞ。もう少ししたら昼飯じゃ」
反省点を考えながら休憩していたところ、プルーム様から出発を告げられる。どうやら小腹が空いてきたようで、そろそろ昼飯にしてもいいんじゃないかという提案でもあるようだ。
「もう少し広いところで昼飯にしましょう。ここは通路ですからね」
「うむ……それなら少し急ぐか」
当然だが、誰も反対意見を出すこともなく賛成である。全員が小腹が空いてきたということもあるからかもしれないが、急ぐほどお腹が空いてきた大魔王様に我慢させるわけにはいかないと、チビッ子たち以外の全員が思っているからだろう。チビッ子たちは俺たちとは違って、優しさから我慢させたくないと思ってるかもしれないが……。
プルーム様の意見に従い、全員が広い場所を探しながら歩を進めていく。といっても、一本道のダンジョンの通路に小部屋がないかと確認するくらいである。この際、隠し部屋でもいいと思っているときに事件は起こった。
「んっ? 何だこれ?」
ーーカチッ。
フェンリルが壁にあった出っ張りを押した。ただそれだけのこと。しかしここはダンジョンで、ダンジョンで不思議なスイッチとは十中八九で罠である。
「セルさん、ストップ!」
「グェッ……!」
俺は急いでセルのスカーフを掴み、壁にナイフを突き刺してまでして急停止した。そのおかげで、俺とセルだけが罠にかからずに済んだ。
じゃあ他の者たちはどうなったかって?
フェンリルが押したスイッチ周辺の壁が消え、代わりに現れた下に向かって斜めに開いた横穴に叩き落とされていった。【神魔眼】で確認したところ、下からフェンリル、グローム、ヘリオス、ニールとバロン、ガルーダ、プルーム様とカルラ、ソモルンときて、一番上に蓋のようにボムさんが押し潰していた。
ちなみに、フェンリルからガルーダのプルーム様よりも下の者たちは、とある事情によって口が裂けても重いと言えないのである。それに加え、全員が楽な姿勢で穴にいるわけではない。だが、これだけは言える。
このままではフェンリルが圧死する。
自業自得とは言え、ボムが一番上になってしまったことほど不幸なことはないだろう。さらに言えば、せめてもう少しだけ広い穴であれば隙間からなんとかなったかもしれないが、穴の広さはボムの体とほぼ同じですっぽりはまっていた。
「ボム! 早く上がれ!」
プルーム様がボムに上がるよう指示を出す。と言うのも、ボムの体と同じということはプルーム様にとっては広いのだ。しかもプルーム様は仰向けの状態である。
さすがのプルーム様も片手にカルラを抱いたままでは何もできないようだ。ボムから出口までそこそこの距離があるというのも、脱出を困難にしている理由の一つだろう。
そしてプルーム様の指示に対するボムの答えはというと……。
「無理ですー! 手足の踏ん張りが利きません! ひっくり返った亀状態と言いますか、生まれたての赤ん坊状態と言いますか……とにかく手足が空を切るばかりです!」
「ふざけるなぁぁぁぁー!」
「ふざけていませぇぇぇん!」
プルーム様の怒号とボムの絶叫が横穴に鳴り響くのだった。
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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
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「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
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転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
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目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
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9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
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突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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