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第一章 神託騎士への転生
第六話 騎士、新大陸に上陸する
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翌朝。何故か暑くて目が覚める。
毛布のように俺の体を覆う虎柄のモフモフが目に飛び込んできた。
そう。ドラドが俺に抱きついているのだ。ドラドに抱き枕にされている状態は、俺にとっては至福のひとときである。まだ少し眠いけど、このままモフモフを目一杯堪能しようではないか!
モフモフ……、フワフワ……。
「……何してんだ?」
「……」
「起きてるのは知ってるんだぞ」
……チクせう! 手を動かしすぎた!
「お……おはよう!」
「……おはよう」
あぁ……。モフモフが離れていく……。
――ピーー! ピーー!
「ん? なんか鳴ってる?」
ヘッドセットをつけて神スマホを開くと、まもなく目的地に到着すると表示されていた。
「準備! 準備してーー! もう着くって!」
「ホントか! でも、結局試射出来なかったな……」
「大陸にも魔物がいるんでしょ? そのときまで我慢しよう!?」
「……そうだな」
渋々頷くドラドがミニミを背負おうとしている。
「待った! 《カーゴ》って言ってみて!」
「ん? 《カーゴ》……何も起こらないぞ?」
「いや、ヘッドセット起動してから……」
恥ずかしそうに目を逸らすドラドは、左手でイヤーカフを触って起動する。
「《カーゴ》」
ドラドの目の前に大型搬送台車が現れた。スーパーのバックヤードとかにある柵付きの台車である。
「何だこれ?」
「コンテナを持ってない人でも使える初期機能の一つだよ。個人で使えるし、時間制限付きだけど自動で動くよ。普段使わない大型銃器はここに預けば、荷物が少なく済むでしょ? 特に機関銃」
「……私物も置いていいのか?」
「こっちの世界のものはまだ置いたことがないから分からないな」
「そうか。ここに例の機関銃は置いてくれないのか?」
「……無理かな。本体だけじゃ動かないからね!」
「残念だ……」
このままではまた屈してしまう。女性陣にも伝えに行こうと促して話を逸らす。
ティエラはダネルMGLを《カーゴ》に入れ、カグヤはメインの武器を二つとも入れていた。いいの? と思ったけど、身軽の方が偵察がしやすいと言われてしまった。
本当に賢い子だ。そして目をこする姿が可愛い。
みんなが準備している間に俺も装備を身につける。
まずはP90TRにドットサイトとフラッシュライトとサプレッサーをつけて、HK45Tにはドットサイトとサプレッサーをつけてホルダーに戻す。
次に、ボディーアーマーの上から振動ブレードを背負うための背面収納具を装着。両腕を通して胸の前で留め、ズレないか体を動かして確認する。
前面のベルト部分に神スマホ用の硬質収納具を固定して、その中に神スマホを収納する。
続いて、腰に共有ポーチを二つと個別ポーチを一つの合計三つのポーチをつけて、右太腿にレッグホルダーを装着。
ナックルガード付きのタクティカルグローブとロングブーツを身につけたら、最後に派手な外套を身につけて完成だ。
もちろん、左手首には魔法円盾を装着している。普段はそこまで大きくないから左手も自由がきき、銃の操作に苦労せずに済む。
ちなみに派手な外套で嬉しいところは、フードがないからブレードを抜くときに邪魔にならないところ。それからブレードが触れても平気なくらい丈夫で、汚れにくいところだ。
色を見て真っ先に思ったことが洗濯のことだったから、汚れにくいところはかなり嬉しい。
今回の装備を改めて見直してみると、悔しいけど外套含め結構好きな部類だと気づいた。
アバターリストに登録して、自動で装備できるように設定する。
さすがに寝ているときくらいはゆったりした服を着て寝たいからね。モフモフも感じることができないし……。
◇
《カーゴ》を使ったことで比較的身軽になった従魔を伴ってデッキに上がる。
デッキの上で簡単な朝食を済ませながら遠くに見える大地を見る。
「あれか……。スマホのマップによると、今見えている場所には国がないらしいね」
「あぁ……。あそこか。竜種に喧嘩売って更地にされた国だ!」
「違うわよ! 例の聖騎士が喧嘩売りに行って逃げたんだけど、逃げ道にその国があったせいでなくなったのよ!」
「マジか……。とばっちりじゃん」
「しかも竜を邪竜と言って討伐対象にしたらしいわ! 家で寝てただけなのに討伐されることになって、追い払ったら本当の邪竜とか……。酷い話よ!」
「その竜も被害者なのか……。聖騎士が悪いって分かってるのに、何で誰も責めないわけ?」
「……魔王を討伐した生き証人だからじゃない?」
「なるほどね……。手柄を奪われたのか。それで、あそこは今はどんなとこなの?」
「知らん」「知らないわ」
俺も知らないし、カグヤは島から出たことないらしいから同じく知らない。……マップに載せてくれればいいのに。
「とりあえず上陸してみよう!」
「「「おぉーーー!」」」
◇
船を着けられそうなところを探して上陸し、船を《ガレージ》に収納する。
「それにしてもさすがにタクティカルベストに銃を装備すると、甲殻風鎧にしてまで偽装した意味がなくなるな」
「もう返さないぞ!」
「返せなんて言わないから安心して」
ドラドは好奇心重視で選んだ装備だから、身につけたばかりだというのにとても気に入っているようだ。その他の武器は「本能が拒否している!」と言うほどである。
「それで、歩くのか?」
「そうだね。まだどんな場所で何があるか分からないからね!」
「船を仕舞うときにいろいろな乗り物が見えたけど……」
神スマホの画面を見てたんだな。ナノマシン登録をしてないと画面を見ることも、神スマホに触ることもできないらしいけど、ドラドはどちらもできるから興味津々なのだ。
これで操作もできたら俺の手から奪われているだろう。彼らが使えなくてよかったと思う。
「森を抜けて乗れそうなら出そうかな」
「じゃあ早く行くぞ!」
俺はP90TRを、ドラドはスラッグ弾を込めたM870を、ティエラはMP7A2を、カグヤはHK45Tをそれぞれ構えて森に侵入していく。
歩けば歩くほど、自動探索マップが周辺地図を作成していく。
サングラスの左上に四角いマップが表示され、その下に班員アイコンが並び、左下に自分のアイコンがある。
右上にメイン武器枠があり、その下にサブ武器で右下が消耗品枠だ。
中央にはクロスヘアがあり、照準補助もしてくれる設定にしてある。ゲームじゃないから、生存率を上げるために使えるものは全て使っていく。
その四角いマップに映る青色の光点を見て、俺は一人で感動していた。
青は班員の位置なんだけど、ボッチだった俺にとって初めての青色光点なのだ。すごい嬉しい。
――ダンッ!
感動に浸っていると突如発砲音が聞こえ、無理矢理現実に引き戻される。
「なんか出た?」
「この赤い光が敵なんだろ?」
「正確に言えば害意を向けている相手だね」
「違うのか?」
「襲おうと思ったけど直前でやめたという者も赤くなるよ。警戒してくれという表示だよ」
「なるほど! でも今のは魔物だから大丈夫だ!」
散弾銃の射程は長くないけど、そんなに近くにいたかな? アラート音が聞こえなかっただけか?
と思っていると、ドラドが赤い光点に向かって駆けだしていく。
――お前が行くんかい!
そりゃあ鳴らんわ。ただの狩りだもん。できれば美味しいものを狩ってきて料理してほしい。
「ただいま!」
「おかえり。獲物はどうしたの?」
「二つともゴブリンだったぞ。臭くて汚いし魔核も小さいから置いてきた」
「そうか。じゃあ先に進もうか。早く進みたいから、もう狩りに行かないでね」
「……善処する!」
「行く気じゃないか!」
それからもドラドが射撃訓練と言って狩りに出掛けていく。しかもティエラやカグヤも連れて。こうなると俺も行かないと効率が悪くなる。
ドラドがモフモフじゃなかったら強制的に止めていたかもしれないが、彼はドストライクなモフモフだから何でも許してしまう。
「ディエスも訓練した方がいいと思うぞ!」
ついに俺を共犯にしようと動き出したな。
「そうだな! 一緒に訓練しようかな!」
モフモフからの熱視線に勝てるはずもなく、俺は自ら共犯になる道を選んだ。
ゲームとは違う命のやり取りを経験しておかなければ、いざというときに隙ができてしまう。さらに、養父さんたちに習っていた武術がどれほど使えるのかも確認しなければ。
赤い光点に近づき、P90TRを構える。
望遠機能で標的を確認し、自動照準機能が起動したクロスヘアが白から赤へと変わりサングラスに表示される。
ドットサイトを覗き、光点とクロスヘアが重なった瞬間引き金を引く。
――タンッ!
という、サプレッサーによって比較的静かな銃声がなり、ゴブリンの頭を撃ち抜いた。
訓練もあってセミオートにしていたけど、人間と変わらない強度のゴブリンには不意をつけば一発で十分らしい。
……スラッグ弾は不要だろうよ。Five-seveNを使いなさいよ。
でも、「おれが魔物を倒したぞ!」と喜んでいるモフモフを悲しませることは俺には出来ない。
だって……あのしっかり者のティエラまで喜んでいるんだよ!? どうしたというんだ!? 理由を聞きたいけど、地雷のような気がしてならないから聞けずにいる。
それにしてもゴブリンを殺しても特に何も思わないのは、サイコパス神が創った体のせいかな? こちらの世界基準になっているのなら普通だもんな。
これが人間なら違うのかな? とも思うが、人間に襲われているときに感想なんて抱いている暇はないだろう。
ちなみに、死体は森の中なら放置でいいらしい。誰が食べるか分からないが、森の中なら誰かしら処分してくれるからだ。
街道近くで放置すると罪に問われることがあるから気をつける必要がある。特にドラド。
「おーい! 森の外だぞ!」
車を出せって事かな? でも少し先に町があるのは気づいているよね? 歩いて数分の距離だよ?
「……あそこに町があるから歩いて行こうか!」
ドラドの目から光が消えた。耳も垂れ肩を落としている。全身で悲しみを表現しているけど、目と鼻の先に町があるんだから仕方がないんだ。
「……また今度ね」
「…………残念だ」
毛布のように俺の体を覆う虎柄のモフモフが目に飛び込んできた。
そう。ドラドが俺に抱きついているのだ。ドラドに抱き枕にされている状態は、俺にとっては至福のひとときである。まだ少し眠いけど、このままモフモフを目一杯堪能しようではないか!
モフモフ……、フワフワ……。
「……何してんだ?」
「……」
「起きてるのは知ってるんだぞ」
……チクせう! 手を動かしすぎた!
「お……おはよう!」
「……おはよう」
あぁ……。モフモフが離れていく……。
――ピーー! ピーー!
「ん? なんか鳴ってる?」
ヘッドセットをつけて神スマホを開くと、まもなく目的地に到着すると表示されていた。
「準備! 準備してーー! もう着くって!」
「ホントか! でも、結局試射出来なかったな……」
「大陸にも魔物がいるんでしょ? そのときまで我慢しよう!?」
「……そうだな」
渋々頷くドラドがミニミを背負おうとしている。
「待った! 《カーゴ》って言ってみて!」
「ん? 《カーゴ》……何も起こらないぞ?」
「いや、ヘッドセット起動してから……」
恥ずかしそうに目を逸らすドラドは、左手でイヤーカフを触って起動する。
「《カーゴ》」
ドラドの目の前に大型搬送台車が現れた。スーパーのバックヤードとかにある柵付きの台車である。
「何だこれ?」
「コンテナを持ってない人でも使える初期機能の一つだよ。個人で使えるし、時間制限付きだけど自動で動くよ。普段使わない大型銃器はここに預けば、荷物が少なく済むでしょ? 特に機関銃」
「……私物も置いていいのか?」
「こっちの世界のものはまだ置いたことがないから分からないな」
「そうか。ここに例の機関銃は置いてくれないのか?」
「……無理かな。本体だけじゃ動かないからね!」
「残念だ……」
このままではまた屈してしまう。女性陣にも伝えに行こうと促して話を逸らす。
ティエラはダネルMGLを《カーゴ》に入れ、カグヤはメインの武器を二つとも入れていた。いいの? と思ったけど、身軽の方が偵察がしやすいと言われてしまった。
本当に賢い子だ。そして目をこする姿が可愛い。
みんなが準備している間に俺も装備を身につける。
まずはP90TRにドットサイトとフラッシュライトとサプレッサーをつけて、HK45Tにはドットサイトとサプレッサーをつけてホルダーに戻す。
次に、ボディーアーマーの上から振動ブレードを背負うための背面収納具を装着。両腕を通して胸の前で留め、ズレないか体を動かして確認する。
前面のベルト部分に神スマホ用の硬質収納具を固定して、その中に神スマホを収納する。
続いて、腰に共有ポーチを二つと個別ポーチを一つの合計三つのポーチをつけて、右太腿にレッグホルダーを装着。
ナックルガード付きのタクティカルグローブとロングブーツを身につけたら、最後に派手な外套を身につけて完成だ。
もちろん、左手首には魔法円盾を装着している。普段はそこまで大きくないから左手も自由がきき、銃の操作に苦労せずに済む。
ちなみに派手な外套で嬉しいところは、フードがないからブレードを抜くときに邪魔にならないところ。それからブレードが触れても平気なくらい丈夫で、汚れにくいところだ。
色を見て真っ先に思ったことが洗濯のことだったから、汚れにくいところはかなり嬉しい。
今回の装備を改めて見直してみると、悔しいけど外套含め結構好きな部類だと気づいた。
アバターリストに登録して、自動で装備できるように設定する。
さすがに寝ているときくらいはゆったりした服を着て寝たいからね。モフモフも感じることができないし……。
◇
《カーゴ》を使ったことで比較的身軽になった従魔を伴ってデッキに上がる。
デッキの上で簡単な朝食を済ませながら遠くに見える大地を見る。
「あれか……。スマホのマップによると、今見えている場所には国がないらしいね」
「あぁ……。あそこか。竜種に喧嘩売って更地にされた国だ!」
「違うわよ! 例の聖騎士が喧嘩売りに行って逃げたんだけど、逃げ道にその国があったせいでなくなったのよ!」
「マジか……。とばっちりじゃん」
「しかも竜を邪竜と言って討伐対象にしたらしいわ! 家で寝てただけなのに討伐されることになって、追い払ったら本当の邪竜とか……。酷い話よ!」
「その竜も被害者なのか……。聖騎士が悪いって分かってるのに、何で誰も責めないわけ?」
「……魔王を討伐した生き証人だからじゃない?」
「なるほどね……。手柄を奪われたのか。それで、あそこは今はどんなとこなの?」
「知らん」「知らないわ」
俺も知らないし、カグヤは島から出たことないらしいから同じく知らない。……マップに載せてくれればいいのに。
「とりあえず上陸してみよう!」
「「「おぉーーー!」」」
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船を着けられそうなところを探して上陸し、船を《ガレージ》に収納する。
「それにしてもさすがにタクティカルベストに銃を装備すると、甲殻風鎧にしてまで偽装した意味がなくなるな」
「もう返さないぞ!」
「返せなんて言わないから安心して」
ドラドは好奇心重視で選んだ装備だから、身につけたばかりだというのにとても気に入っているようだ。その他の武器は「本能が拒否している!」と言うほどである。
「それで、歩くのか?」
「そうだね。まだどんな場所で何があるか分からないからね!」
「船を仕舞うときにいろいろな乗り物が見えたけど……」
神スマホの画面を見てたんだな。ナノマシン登録をしてないと画面を見ることも、神スマホに触ることもできないらしいけど、ドラドはどちらもできるから興味津々なのだ。
これで操作もできたら俺の手から奪われているだろう。彼らが使えなくてよかったと思う。
「森を抜けて乗れそうなら出そうかな」
「じゃあ早く行くぞ!」
俺はP90TRを、ドラドはスラッグ弾を込めたM870を、ティエラはMP7A2を、カグヤはHK45Tをそれぞれ構えて森に侵入していく。
歩けば歩くほど、自動探索マップが周辺地図を作成していく。
サングラスの左上に四角いマップが表示され、その下に班員アイコンが並び、左下に自分のアイコンがある。
右上にメイン武器枠があり、その下にサブ武器で右下が消耗品枠だ。
中央にはクロスヘアがあり、照準補助もしてくれる設定にしてある。ゲームじゃないから、生存率を上げるために使えるものは全て使っていく。
その四角いマップに映る青色の光点を見て、俺は一人で感動していた。
青は班員の位置なんだけど、ボッチだった俺にとって初めての青色光点なのだ。すごい嬉しい。
――ダンッ!
感動に浸っていると突如発砲音が聞こえ、無理矢理現実に引き戻される。
「なんか出た?」
「この赤い光が敵なんだろ?」
「正確に言えば害意を向けている相手だね」
「違うのか?」
「襲おうと思ったけど直前でやめたという者も赤くなるよ。警戒してくれという表示だよ」
「なるほど! でも今のは魔物だから大丈夫だ!」
散弾銃の射程は長くないけど、そんなに近くにいたかな? アラート音が聞こえなかっただけか?
と思っていると、ドラドが赤い光点に向かって駆けだしていく。
――お前が行くんかい!
そりゃあ鳴らんわ。ただの狩りだもん。できれば美味しいものを狩ってきて料理してほしい。
「ただいま!」
「おかえり。獲物はどうしたの?」
「二つともゴブリンだったぞ。臭くて汚いし魔核も小さいから置いてきた」
「そうか。じゃあ先に進もうか。早く進みたいから、もう狩りに行かないでね」
「……善処する!」
「行く気じゃないか!」
それからもドラドが射撃訓練と言って狩りに出掛けていく。しかもティエラやカグヤも連れて。こうなると俺も行かないと効率が悪くなる。
ドラドがモフモフじゃなかったら強制的に止めていたかもしれないが、彼はドストライクなモフモフだから何でも許してしまう。
「ディエスも訓練した方がいいと思うぞ!」
ついに俺を共犯にしようと動き出したな。
「そうだな! 一緒に訓練しようかな!」
モフモフからの熱視線に勝てるはずもなく、俺は自ら共犯になる道を選んだ。
ゲームとは違う命のやり取りを経験しておかなければ、いざというときに隙ができてしまう。さらに、養父さんたちに習っていた武術がどれほど使えるのかも確認しなければ。
赤い光点に近づき、P90TRを構える。
望遠機能で標的を確認し、自動照準機能が起動したクロスヘアが白から赤へと変わりサングラスに表示される。
ドットサイトを覗き、光点とクロスヘアが重なった瞬間引き金を引く。
――タンッ!
という、サプレッサーによって比較的静かな銃声がなり、ゴブリンの頭を撃ち抜いた。
訓練もあってセミオートにしていたけど、人間と変わらない強度のゴブリンには不意をつけば一発で十分らしい。
……スラッグ弾は不要だろうよ。Five-seveNを使いなさいよ。
でも、「おれが魔物を倒したぞ!」と喜んでいるモフモフを悲しませることは俺には出来ない。
だって……あのしっかり者のティエラまで喜んでいるんだよ!? どうしたというんだ!? 理由を聞きたいけど、地雷のような気がしてならないから聞けずにいる。
それにしてもゴブリンを殺しても特に何も思わないのは、サイコパス神が創った体のせいかな? こちらの世界基準になっているのなら普通だもんな。
これが人間なら違うのかな? とも思うが、人間に襲われているときに感想なんて抱いている暇はないだろう。
ちなみに、死体は森の中なら放置でいいらしい。誰が食べるか分からないが、森の中なら誰かしら処分してくれるからだ。
街道近くで放置すると罪に問われることがあるから気をつける必要がある。特にドラド。
「おーい! 森の外だぞ!」
車を出せって事かな? でも少し先に町があるのは気づいているよね? 歩いて数分の距離だよ?
「……あそこに町があるから歩いて行こうか!」
ドラドの目から光が消えた。耳も垂れ肩を落としている。全身で悲しみを表現しているけど、目と鼻の先に町があるんだから仕方がないんだ。
「……また今度ね」
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