Seventh Trick Over Night

瀬模 拓也

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おキリ様

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「ねえ、知ってる?おキリ様って」

「何それ?」

学校の休み時間。



女子達が数人集まると噂話が始まる。



「学校・・・って言うかこの階の守り神なんだって。悪いモノを切ってくれるらしいよ」

「じゃー、私の悪い点も切ってどっかやって欲しいな」

くすくすと笑い声がもれる。

「でも何か色々決まり事があるらしいよ」

一・おキリ様は各階の守り神

一・学校が平和なのはおキリ様のおかげ

一おキリ様はその階を支配出来る

一・おキリ様がいると悪いモノは切られる

一・おキリ様の姿を見てはいけない

一・夜はおキリ様の時間

「くっだらねぇ!」

一人の男子が会話に割って入る。



輪を乱されて女子達は不機嫌になる。

「ちょっと!勝手に入ってこないでよ」

「おキリ様なんている訳ないだろ」

「いるよ。本当に。おキリ様は」

もう一人男子がおずおずと割って入る。

「委員長。お前かよ。変な話したの!」

「卒業した姉ちゃんから聞いたんだ。おキリ様がいるって」

後ずさりながら委員長がはなす。

「じゃあ確かめてみれば良いだろ!?」

「だ・・・ダメだよ!夜はおキリ様の時間だから・・・・・悪いモノだと思われて切られちゃうよ」

「ホンとくだらねぇ・・・・・へへっ。そうだ」

意味深な笑いを浮かべる男子を女子達は不思議そうに見ていた。











































「へへ。任務遂行中」

夜。誰もいなくなった校舎で一人、男子は笑いをこらえていた。

「意外と簡単だったな」

教室の用具入れに隠れて数時間。



見回りの教員も気付く事無く帰ってしまったようだ。





「あとはこのまま朝まで隠れてっと」

皆が集まった所で盛大に登場してやる。



それでおキリ様なんていないと証明できる。

「イージーゲーム過ぎるな。どうせだから委員長のヘンテコ眼鏡でも投げて・・・」

チョキン チョキン

「?」

ふいに鳴り響いた金属音に顔を上げる。

チョキン チョキン

音がどんどん近付いてくる。

チョキン チョキン

まさか本当におキリ様が-?

「そんな訳無い!!」

それを確かめる為に残っていたのだ。

チョキン チョキン

用具入れから勢いよく飛び出す。



「あ・・・・・う・・・・・」

喉から絞るような声しかあがらない。







それは確かにいた。

チョキン チョキン

黒い霧のかたまり。



その中に赤く光る目が一つ。



霧の中から飛び出していた無数の手にはハサミが握られていて空を切っている。

チョキン チョキン

「お・・・キリ・・・様・・・・?」

赤い目と目が合う。





おキリ様の姿を見てはいけない。悪いモノと間違われて切られてしまうから。

「うっ・・・わあぁぁぁ!!」

はじかれた様に走り出す。

チョキン チョキン

すぐ後ろでハサミの音がする。

「なんなんだよ!この廊下!!」

廊下に仕掛けられているだろう防犯装置が作動しない。



それどころか廊下の端が見えない。



どこまでも長い通路が目の前に広がる。

チョキン チョキン




おキリ様は各階を支配できる。

「死にたくない・・・・死にたくない・・・!!」

振り払う事の出来ない音が耳の後ろから聞こえる。

チョキン チョキン

「!!」

ふいに廊下が途切れ階段が姿をあらわした。

嘘だろ・・・・・

階段の下が見えない。





どこまでも暗い闇が広がっていた。

チョキン チョキン

落ちれば怪我ではすまないかも知れない。

チョキン チョキン

「・・・・そうだ!」

おキリ様は各階の守り神。



ならばこの階から逃げ出せれば追ってはこれない筈。

チョキン チョキン

「すぐ後ろで音がした。」

くっそー!イチかバチかだ!!

チョキン チョキン

男子は広がる闇に飛び込んでいった。

































































































「へへ・・・・・」

見慣れた階下の廊下が広がる。

体中が痛むがハサミの音は聞こえない。



やはり別の階までは追ってこれないようだ。

「ザマーみろ」

これでゲームクリアだ。





ザララララ

聞き慣れない金属音が廊下に響く。











おキリ様は各階の守り神。

ザラララララ

学校が平和なのはおキリ様がいるから。

ザララララ

おキリ様はー

ザラララララ

ー各階にいる。

「!?」

真っ赤な目がこちらを見下ろしていた。
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