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<やまねこのふえ>のお話
番外編 <レン>
しおりを挟むきのう、また2番目の兄が来た。
ついこの前だって、いちばん上の兄と一緒に来て、
伴奏用の低音パターンを作曲させられたばかりだったけど、今度はひとりだ。
夕方、ものすごい勢いでやってきて、
ある曲想を話してくれた。
いや、まくし立てたっていうのが正しい。
ところどころバイオリンで、メロディーを奏でて、
これを書けというんだ。
2番目の兄は、プロのバイオリン奏者なので、伝え方は的確だ。
そうは言っても、トゥルリー、
たたタタン、クルクルクルティーヤッ!とか言いながら指揮をして、
ところどころにバイオリンが入る。
半分は、もう、ぼくの想像だよね。
それでも、
少し書いては、兄に見せると、
「そうそう!」
と、言ってくれるので、まあ、いいか。
一晩、書かされ続けて、
3楽章ぶんのオーケストラ曲になった。
これ…、たぶんニノくんの話だ。
きっと、無事、終わったんだな、と安心した。
兄も、終わる頃には、疲れ果てて、
ぼくのベッドを勝手に使って、寝ちゃったんだ。
ああもう、いつも、これなんだから、
困るなぁ。
ぼく、朝早くから出かけなきゃならないのに…。
兄は、ゆすっても起きないだろうし、
ぼくが帰ってくる頃には、もう、さっさと外国の森に旅立っているんだろうな。
2番目の兄は、困っているときには、それとなく助けてくれるし、
感覚がするどい。
ぼくが、今スランプなのも、
ほんとうは前に来たときに、すでに感じてたのかも。
だから、来てくれたんだよね。
やり方が、粋なんだよな。
かっこいいんだ、とにかく。
ぼくらが子うさぎだったころ、
いちばん上の兄が機嫌のいいときによく歌っていた鼻歌のメロディーを、
この2番目の兄が、森のオルガンで再現して、友だちに披露したことがあった。
いつのまにか、いろんな動物たちも集まってたけど。
あのメロディーは、いかにもいちばん上の兄らしくて、
幸せをおすそわけしてくれるように感じるものだったから、
2番目の兄は、だれか聴かせたかった子でもいたんじゃないかな。
ぼくは、それまでは落書きみたいにメロディーを書いたりしていたけど、
あのオルガンを聴いたら、わくわくアイデアが出てきて、あのメロディーをモチーフに合奏曲を書けたんだ。
オルガンを弾いてた2番目の兄と、それを聴いている友だちをイメージして…、
初めて、作曲と言えるものだった。
そうだ、
いつか、この兄のための曲を書きたいな。
彼の持ち味は、ちょっと強引なところ。
力技で、聴いているものを連れていくところがあるけど、
ちゃんとエスコートしてくれる。
わざと怖がらせたりもする。
でも、かならず、格別な体験をさせてくれるんだ。
彼が主役の曲…、
ああ、意欲が湧いてきたな!
さて、兄がもってきたこの曲は、
2つのふえのためのコンチェルト「やまねこのふえ」と題名をつけよう。
いつかミュージカルにアレンジしてもいいな。
まだ、これからブラッシュアップしないとダメだけど…、
うん、いい曲になりそうだ。
おわり♪
***
ながらく、「うさぎの楽器やさん」をご覧くださり、ありがとうございました(^^)/
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