光輝く世界で別れて出逢う~世界樹の子どもたち~

なぁ恋

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本編

妖精ヴァロア

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目の前に在る現実に、鼓動が跳ねる。

お父様は、一月、食事も取らなかった。

あぁ、信じられない。
もしやと思いながら、白骨に歩み寄る。
その髑髏の、白い骨に、擦れた跡があった。それは、まるで、歯を立て身を剥いだような……

うっ 気分が悪くなり、吐き気を催す。
けれど、胃からは何も出てこなかった。
夜の食花が出来なかったし、今までどんなに吐きそうでも当たり前だけれど、吐けた試しがない。

そんな明後日の方向の考えに、落ち着いて、現実が炎に照らされて浮かび上がる。
だけど、それも直視したくなくて「お腹空いたなぁ」と、呟いた。

すると、宙に金色の花が現れて、私の手に収まる。
本当に、少しでも思うだけで簡単に現れる花。

何故殿下にも、色違いの花が現れるのか?
だけど、目にした花と、それを食した殿下を見るに、殿下の食事の謎は、私と同じなのだと推測できた。

そして、花に願って、一気に成長した殿下。
想像したよりも、美丈夫であったが、恐ろしさの方が勝った。

女としての恐怖に再び体が震え、自身を抱え、その場にしゃがみ込む。

結局は堂々巡りの考えに至るのだが、殿下は……もしかして……

手に持ったままの金色の花をクルクルと指で回す。
ふと、赤子のミイラを見上げる。

私は生まれた。
もしかして、双子だったのだろうか?
だから、難産で、片割れはそのまま亡くなったのか……
切なくなり、立ち上がり、手に持つ金色の花を、そっと、赤子のミイラに重ね置く。

ミイラに触れた途端、金色の花が一層煌めきを増し、消えるのではなく、ミイラに吸収されて行く。

双子だと言う証なのか、金色の花は受け入れたのだ。

それは救いだった。
ミイラに指先で触れる。
一緒に育ったなら、どんなに楽しかったろう?

触れた途端、あの、殿下から逃げた時の金色の光がミイラを包んだ。
そして、宙に浮かび上がり、え? ええ??

ふっくらとした肉付きの光り輝く小さな生き物が伸びをした。
その背中には、六本のはねが忙しなく動いていた。

大きく欠伸をして、私と目が合う。

「……貴女は、ヴァロア?」

問われ、頷く。

「やっと会えたぁ!!」

小さな生き物が私に飛び付いて来た。

そして、ミイラの在った場所には何も無くなっていた。

「ごめんねぇ、まさかこんなことになるなんて思ってもなかったの」

静かな羽ばたきは、金粉を振り落としながら宙を移動する。

「あなたは?」

「私もヴァロアよ! のヴァロア!」

「え? 精霊を口説き落としたヴァロア?!」
 
その言葉に、妖精ヴァロアは顔を顰める。

「違うわ。やっぱり美化して伝えるもんじゃないわね。私は攫われて、あちらが必死になって口説いて来たのよ」

え。嘘でしょ?
ぽかーん。と、口を開けてた私に、妖精ヴァロアは語って聞かせる。



「昔々、それはそれは、優しくて誰よりも美しい少女がいたの。
ある目的を持った精霊がその娘を攫ったのね。

精霊の森で、長い間監禁されたの。
何の加護も拒否した娘は、普通に歳を重ねたわ。
それで、もう完全に老婆になった時に、ざまぁみろ。って、死んだ。って、思ったのよ……普通はそうじゃない?
目が覚めたら、若返ってたのね。
信じられないわよね!」

クルクルと宙を飛びながら、本当に腹立たしい! と、叫ぶ。

「そしてさ、自分を受け入れないなら、何度でも、生と死を繰り返させる。と、脅して来たのよ!信じられないわよね! 
それで、仕方なしに嫁入りしたの。それが真実よ!」


そんな話、お祖母様が聞いたら卒倒するわよ。いいえ、あの世まで聞こえているかも。もう倒れてるわねぇ。

「それでね、それでね、が、やっちゃったのよ。」

私の手の平にふわりと降りてきて、頭を下げる。

「本当に考え無しで困るのよ! 今も困ってるの。だから、助けるから、助けて欲しいの!」

助けるから、助けて欲しい。
それは?

「ヴァロアは竜の王子に困ってるんでしょ?それに、彼が誰だか解っている筈よね?」

空色の瞳が私を真っ直ぐに見る。
これは、もう、誤魔化しても、見抜かれてそう。

「お父様」

言ってしまった。

「そう。エドガーよ。ヴィクトルは生まれ変わるからって、出逢う為に転生したの」

ベットに横たわる骨。
ヴィクトル、お母様の亡骸。

「しかも、転生先を指名してきた。何故王子なのか解る?」

首を横に振ると、

「権力と自身に力があるから。ヴィクトルを見つけた時、望む望まない関係なく、奪ってでも自分のものにする為に……ドン引きよね」

飾らない言葉で批難する。

「ほんと、精霊の血がそうさせたのだろうけどね。で、実は転生先は選べるようで、選べないの」

妖精ヴァロアは必死で話す。

「自分と同じ血の流れでないとダメなのよ」

ん? と、首を傾げる。
だって、王家だよ?

「疑問に思うわよね。実はね、お祖父様の方に混じってたのよ、王家の血が。でもね、そんなんで転生しちゃったから、あの人、濃いのよ。魂が精霊と竜でミックスされちゃったし、だから、ほら、さっき、花に願って成長しちゃったでしょう?? あれ、かなり不味いの」

小さい妖精ヴァロアは、あせあせと慌てふためきながら訴える。

「だから、先祖返りも先祖返りしすぎちゃうかもなの」

要するに、

「竜になってしまう。とか?」

そう! と、よく解りました。て、拍手を送られた。

て、ええええええ!
どうするの???


 









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