光輝く世界で別れて出逢う~世界樹の子どもたち~

なぁ恋

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本編

僕は貴女のもの貴女は僕のもの

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嘘でしょう??
何かの呪い??

私に関わった10歳児はもれなく大人になるって呪い??

目の前に現れた本当に本当に素敵な男性。
その人は今私が名付けたウィクルムで全裸です!

色々パニクって訳が判らない状態に陥って、何故かウィクルムに、手を噛まれていた。

「ったぁ!」

嘘でしょお??
けれど、直ぐに施された金色の花での癒しに、本当にぴたりと痛みは消えた。
それを満足気に見つめるウィクルム。

「僕は貴女のものです。貴女は僕のものだ。あんな男の痕など根本から消してやりました」

今の言葉。最初から最後まで聞こえなかったことには出来ないでしょうか?

そして、ロアとユグがニコニコしながら私たちを見てる。

「初恋が実って良かったね!」

「ウィクルムはお買い得だぞ。何せ、記憶、能力、それら全ては私譲りだ。言うなれば、私の子どもみたいなものだ」

はぁ?

「それじゃこの子も親戚みたいなものじゃない!」

惚けていてウィクルムとユグの会話は頭に入ってなかった、改めて説明されて驚愕する。

死にかけてたウィクルムは助けられたユグドラシルに影響されたってこと。高位精霊がその身に宿ればそれは有り得ないことじゃないと理解する。

更に大量の祝福の花に願いを込めてしまったので、必要以上にその結果が現れたのだろうと言うことだった。

必要以上に。とは、大人びてしまったこと。
本人も10歳と言う実年齢に違和感を持って変化した今の体の年齢に精神も比例していると。

全てはこのユグのせいかと、引っ捕まえて頬をぐいーっと伸ばしてやる。

「いた。いたたたた!」

「あはははは!」

ロアは愉快に室内を飛び回ってる。

はぁ……。
ひとしきり伸ばしきって離してやる。

「もう、いいわよ」

痛みの取れた右手の平を見ると、やっぱりどう見ても歯型が残っている。違いは判らないけど。

「そもそもマーキングってなによ!」

「自分のものである印だよ」

その手を取られ、ウィクルムを見上げる。

「そうなの。あながち間違ってないわよ。殿下は私の婚約者様になったから」

ウィクルムが止まる。

「―――……へえ」

その瞳の中に何か光るものが見えた。

「けど、今は僕のものだ」

と、その傷跡に唇を落とされる。

「似て非なるものだよ。そうだね。手だけではなく、全身に僕のものである証を付けてもいい」

ゾクッ として取られた手を引っ込める。

「怖がらないで。優しくするよ?」

恐怖でしかないわっ!

「ヴァロア。からね。絶対諦めないと思うよ」

ロアから聞いた世界樹ユグドラシルとヴァロアの馴れ初め。

目の前の彼がその影響を受けたと言うなら、それはユグの言葉通りなのだろう。
もう、溜め息しか出ない口は閉じた。

けれど、改めて考えて、やっぱり。

「けれどね、相手は王族。やっぱり無かったことには出来ないと思うのよ。だって、正式な通知も来てしまっているもの」

これのこと? と、ユグがシワシワになった用紙を持って来た。

「そう。これって魔力の篭った正式な契約書ではないかしら? 私は魔力は有っても魔力的能力はないから判らないのだけれど、この書面を持った時、指先から力の抜ける感覚があって、勝手に私の名が書き出されたから」

広げて見せる。
下の方に順に国王陛下、アウローレンス殿下、私の名でサインが書かれてあった。

「そうだね。確かにヴァロア様のレベルでは破棄出来ない代物だね。“魔力契約書”だ。封を開けることで、ヴァロア様の魔力を引き出しサインさせられている。破棄しようものならその身が滅びる程の呪いが施されているしね」

ウィクルムの言葉に背筋が伸びる。
くしゃくしゃになってますけど?!

「まあ、僕には関係ない」

と、用紙を掴むと頭上に掲げ、その端からボッ と火がつく。一瞬で消し炭に変わったそこに、虫のような蛇のような存在が現れ、それを瞬時に掴んだウィクルムが不敵に笑う。

「はっ! 飼い主の元に帰るといい」

ふっ と、それは姿を消した。

「呪詛返しか」

「え?」

「ああ、持ち主に返した。呪いごとね」

ええええええええええええ!?

「嘘でしょう?? 不敬罪で極刑になるじゃない!」

「大丈夫だ。僕が護るから」

「私たちもいる」

そう言う問題じゃないから!

「これは国王陛下からの契約書です! それを返すなんて、国に例えるなら戦になります!」

「ならば、受けて立つだけだよ」

にっこりとウィクルムが言う。
はぁー――……見とれる程に良い男。だけど! 

だけども!

「取り敢えず、何か身に付けてくれないかな?」

見えちゃいけないものが見えてますよー。
 
「これでいい??」

ロアが金色の花をウィクルムに降らせると、その花は形を変え、ウィクルムは衣服を着ていた。

金色の花って、万能ですか?

兎にも角にも、宣戦布告のような形になってしまった呪詛返しの結果が恐ろしい。

「ヴァロア様は知らないのかもしれないね。考えたこともないかな? 人間と、竜と、精霊。人間で言う身分に例えるなら、精霊が頂点なんだよ。精霊の、さらに頂点に居るのは、世界樹ユグドラシル。ここまで言えば安心出来た?」

そっか。
すとん。と、肩が軽くなる。
何だろう。
一度に沢山、色んなことが起こり過ぎて不安定になってた心が落ち着いた。

目の前に居るウィクルムは、人懐こい笑顔を浮かべて私を引っ張り起こしてくれた。
そのまま、ぽすんとその腕の中に抱き締められた。

「貴女は僕のものだ」

耳元で囁かれる。柔らかい口調なのに力強く、どこまでも甘く甘く心に浸透して行く。

おずおずと、背中に腕を回す。

「貴方は私のもの?」

そうして、頭上から降り注ぐ金の粉に包まれて、安堵と疲れからか、ゆっくりと意識を手放したのだった。





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