光輝く世界で別れて出逢う~世界樹の子どもたち~

なぁ恋

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本編

黄金の竜アウローレンス③

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赤く色付いた私の祝福の花は、崩れることなく私の手の中に在った。

自身は蚊帳の外で聞いた話。
ユグとアウローレンス殿下の会話の真実に鳥肌が立つ。

真実ならば、それはどう正されるのか正直想像も出来ない。

祖の話は真実で、恐らく今世の王族姉妹は始まりの者たちの輪廻者。
。とアウローレンス殿下は疑い、とユグは固定した。

世界樹ユグドラシル。私の祖が見ていた世界は、この全世界から考えればちっぽけな一つ国のこと。

竜の血脈の王家になってから数百年。
本当に不思議なほど周りの国からの干渉がなかった。
ほとんどの民はこの国で生まれ死んで行くのだ。
他の国が在るのは知っている。けれどもどの国も我が国に入ってくることも出て行く者も居ない。
良く考えればそれは異常ではないか?


ユーラシフラン王国。

「私たちは本当に竜に愛されて居るのか?」

疑問符が口を付く。

「違うだろう。愛して居るなら魔森など出来ないさ」

マムが溜め息と共に言い切った。

「今聞いた竜の真実は、魔森は竜に穢された結果出来たものだ。あれで愛しているなんて思える筈がない。
強いて言うならばを愛していたってことだろう?
王女を盾に竜は脅され国を護ったに過ぎない。
本当に守りたかったのは王女で、その王女は身勝手な想いの果てに死んだんだ。
もしかしたら愛だって憎しみに変わってしまって、その結果が魔森なのかもしれないな」

愛は優しいものだと否定したい。
だけど、マムの言う通りなのかもしれない。

「人の想いなど……その者にしか分からないよ」

隣に座るウィクルムが静かに呟いた。

「そうだね。」

そう答えるしかなくて、虚しい気持ちに蓋をしたくて、手に持っていた花を口に含む。

あ。
赤色に染まった祝福の花だと思い出したけれどももう飲み込んだ後だった。

あれ?
ピリッと舌先が痺れて、何だろう。とても感じた。

それを見ていたウィクルムが、目を見開いて驚いて居た。

「いや……多分大丈夫、だと思うのだけれど?」

あれ?
を感じたの?

食花するようになって、は解ってるつもりだった。
味がなければやっぱり嫌だと思うもの。だから、花の甘さが私にとって食べたと言う満足感になっていたんだと思い至る。それでも、苦いなんて5歳までに食べたものでもそんなもの口にすることなんてなくて……

「あぁ。“妙薬は口に苦し”」

そう言って風邪をひいた時、薬を処方してくれた薬師さんが言っていたのを思い出した。
長引く風邪を心配したお祖母様が手配してくださったのだ。
そんな懐かしい苦味。

隣に座るウィクルムの視線が痛い。
ウィクルムは決心したように凛々しい顔になると、自分の花を出して立ち上がり、殿下の側まで行くと叫んだ。

「おい! 僕にもその魔力を寄越せ」

え?

「何だ?」
「赤色の花。あれをヴァロアさまが食べてしまった。今更遅いが、毒味だ!」

その言葉で一斉に視線が集まる。

「あ、や……。考え事をしていて、無意識に食べてしまったんだ」
「それで? 体に異常があったのか?」
癒し手らしく訊くマム。
「否……ただ、“苦味”を感じたんだ……」
ごにょごにょ声がしりつぼむ。
「苦味?」
「ああ。ほら、私は花しか食べれないだろう? この花は甘いんだ。食花するようになって“甘い”しか知らないんだよ。それで、赤色の花を食べてしまって、味が、苦かったんだ……久方ぶりに、甘いのと違う味を感じて驚いただけで、どこも変じゃない。と、思う」

多分。
お腹の辺りがポカポカして来たけれど、痛くはないからなんとも無いはずだ。

「“竜の魔力”を込めたのだろう?」
ユグが冷静に殿下に訊ねる。
「そうだ。疑問が解消したから試したんだ。
“エドガー”の祝福の花は金色だった。だが……二度目に現れた時に赤色になっていたんだ。その理由につい先程思い至って、ヴァロアの花で試したんだ」

“金色”が“赤色”に変わった理由。

「竜の魔力に反応した結果なのだと思う。だから、エドガーの娘であるヴァロアはその血脈でも在るのだから食したとて、悪い影響は無いと思う……思うが……」

細められたオッドアイが私を射抜く。

「騎士にしては間抜けているな」
「ーーーーーくそぅっ」

悔しい。

「それでも、何があるか判らないのは怖い。だから僕もそれを取り込む!」

ウィクルムが必死に花を差し出すが、答えたのはユグ。

「それは無理だ。
お前との出逢いは偶然だった。だが、……この際話すが長子ではない流れの私の子孫なんだ。だから正直に話すが、ウィクルムは確かに私の血脈だが、竜の血脈は無い。だから取り込むことは出来ないよ」

ユグが神妙な顔をして確認するように話す。

「良いじゃないか健気で」

ユグの静止を聞かず、殿下がウィクルムの花に掌を翳した。が、花は瞬時に形を失くした。

「まあ、予想通りだな」

殿下はにやりと微笑んで自身の赤色の花を出すと口に含んだ。
その様子を苦々しく見ていたウィクルムの言葉が最早少年のそれでは無くなっている。

「くそっ 本当に、ヴァロアさまは大丈夫なのか?? お前みたいな者の魔力を取り込むなど危険でしかない! 
なんて許せない!」

あれ?
後半変な風に取れなくもない言い方をしたぞ。

「何だ。ただのヤキモチか? はっ お子様は可愛いな」

ああああああ。煽るなぁーーー……

拳を握るウィクルムが自身の花を口に含むと、瞬時に大人の躰に変化した。

「誰がお子様だ」

うわぁーーー……

「こら。そこの、これからどうするかが大切なんじゃないか?」

ああ。女神様! 聖女様! マム様々!
その言葉を聞いて静かになった二人に心底ほっとする。

アンスと視線が合い二人で苦笑いした。



これは昼食時の話。
食事を終えたのはマムと花を食べる者たち。
話に胸焼けを起こした男性二人は食欲をなくしたのだった。

それはさて置き、行動を起こさないとならないと竜の輪廻者に会いに行くことになった。
私たち全員で。
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