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キング

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メルボルンへさらば

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仮入港が延長されたことで、ひみつりにではあるが、乗組員に志願したいという現地の人間の何名かにコンタクトがとれ、艦長としては、良い人材を得られるチャンスをよろこぶことしかできなかった。 けれども、いつも最悪を想定してつねに準備にはおこたらないのが船とそのミッションを守るものの義務である。 

無論、総督府の視察団が乗船しても、あら探しされても良い状況にし、念のため、いつでも港から出港できるよう、手はずは取ってあった。 でも、幸運の女神はまた微笑んでくれた。 総督府の視察団のナンバーツー(といっても人数もたった数名)は、昔、イギリスであった、海軍士官。 

彼は私を目前にして、総督本人へ近々正式な外交ルートを通して連絡や英国本土からの指示はまだ来ていないから[「本来なら...」と前おきし、従来の対応では、我が船は留め置かれる可能性は大きいと警鐘をならしつつ]出港を阻む理由を見当たらないと視察団長に助言、団長もうなずき、視察はことなくを得た。 我々はそれをもち、すぐさま(新たな仲間十名ほどを含め)出港した。
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