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四聖龍
三人目
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「全員揃うまで、少々お待ちください……」
力のないアナウンス。静かな部屋に、進行役の声が響く。
来ているのか、バックレたのか。
だが、ここでバックレるにしても、四聖龍の立場が危うくなるだけだ。
現に、他の二人はここまで来ている。態度は横柄さがあるが、来たのだ。
時計と出入口を交代で眺めているマリナ。
時は刻まれ、定刻となる。
「時間ね……」
集合時間になった。が、三人目は現れない。
相変わらず騎士団サイドの人間は立ったままなのに、四聖龍は椅子に座り、腕を組んでいる。
廊下を眺めていた進行役。
諦めたのか、用意されていた資料を手に取る。
「……先に資料をお配りします」
そして、その資料を配り始めた。彼の雰囲気から、待つ気持ちはあるらしいが、もう時間だ。
騎士団メンバー、四聖龍に配られる。表紙には『極秘』と書かれてある。
「会議終了後には、回収します。頭に入れておいてください」
「…………」
レイズたちは、立ったままその資料に目を通す。
こんなの、短時間で覚えられるわけがない。
嘘だろ、と思ったが、一応覚える努力はする。
分かる範囲での、敵の情報。レイ、フリア、スゼイについて。
ただ、詳細は分かっていない。姿形と、龍の属性。力の程度くらいだ。
そして、最近の問題点である、犯罪者が行方不明になっていることについて。
騎士団としての方針や、四聖龍に協力を要請した経緯などが書かれてある。
この資料を読んで初めて知ったが、行方不明になっている犯罪者は、皆『あの日』以降に龍力を得た者たちだけだった。
騎士団が捉え、牢獄にいた者、騎士団が追跡中だった者など、行方が分からなくなったケースは様々だった。
「…………」
時間は過ぎる。
五分、十分。
手元に資料があるため、暇つぶしのツールとして助かってはいるが、三人目は何をしているのだろうか。
始めないということは、本部内にいることは騎士団として把握しているのか。
よく分からないまま、時間だけが過ぎていく。
四聖龍も資料を読み終わり、暇そうにしている。
(場が持たないな……限界だ)
ただ待たされているほど退屈な時間はない。
レイズたちも、三人目に期待はできないと考え始めたころだ。
ギギ、と会議室の扉が開いた。
一斉に姿勢を直す。四聖龍は、同時に顔を扉へ向けた。
「失礼するわ」
コツ、とハイヒールを鳴らしながら、女が入ってきた。
20代後半くらいの、金髪の女。長い髪を後ろで纏めている。
全身黒い衣装で、出るとこは出ており、締まるところは締まっていて、スタイルが良い。どこぞのモデルのようだった。
と言うか……
「シャレムさん!?」
レイラはつい声を上げてしまう。
彼女は、モデルのシャレムだった。
「え……あの時の……?」
オシャレに興味が薄いレイズですら、彼女を知っている。
『騎士団の衣装が使えない』との理由で服を買いに行った店で、レディースのポスターに写っていた女だ。
名前までは興味なく知らなかったが、彼女が。
だが、性格は良くないらしい。遅刻したことを悪びれる様子もなく、つかつかと用意された椅子に向かう。
「ッたく、情けないわね。それでも騎士団なの?」
「大変申し訳ございません……」
「なよなよしない!!」
「はいぃ!!」
進行役はなぜか怒られている。
四聖龍の三人目が世界に知られる(性格の悪い)モデルだったとは。
力のないアナウンス。静かな部屋に、進行役の声が響く。
来ているのか、バックレたのか。
だが、ここでバックレるにしても、四聖龍の立場が危うくなるだけだ。
現に、他の二人はここまで来ている。態度は横柄さがあるが、来たのだ。
時計と出入口を交代で眺めているマリナ。
時は刻まれ、定刻となる。
「時間ね……」
集合時間になった。が、三人目は現れない。
相変わらず騎士団サイドの人間は立ったままなのに、四聖龍は椅子に座り、腕を組んでいる。
廊下を眺めていた進行役。
諦めたのか、用意されていた資料を手に取る。
「……先に資料をお配りします」
そして、その資料を配り始めた。彼の雰囲気から、待つ気持ちはあるらしいが、もう時間だ。
騎士団メンバー、四聖龍に配られる。表紙には『極秘』と書かれてある。
「会議終了後には、回収します。頭に入れておいてください」
「…………」
レイズたちは、立ったままその資料に目を通す。
こんなの、短時間で覚えられるわけがない。
嘘だろ、と思ったが、一応覚える努力はする。
分かる範囲での、敵の情報。レイ、フリア、スゼイについて。
ただ、詳細は分かっていない。姿形と、龍の属性。力の程度くらいだ。
そして、最近の問題点である、犯罪者が行方不明になっていることについて。
騎士団としての方針や、四聖龍に協力を要請した経緯などが書かれてある。
この資料を読んで初めて知ったが、行方不明になっている犯罪者は、皆『あの日』以降に龍力を得た者たちだけだった。
騎士団が捉え、牢獄にいた者、騎士団が追跡中だった者など、行方が分からなくなったケースは様々だった。
「…………」
時間は過ぎる。
五分、十分。
手元に資料があるため、暇つぶしのツールとして助かってはいるが、三人目は何をしているのだろうか。
始めないということは、本部内にいることは騎士団として把握しているのか。
よく分からないまま、時間だけが過ぎていく。
四聖龍も資料を読み終わり、暇そうにしている。
(場が持たないな……限界だ)
ただ待たされているほど退屈な時間はない。
レイズたちも、三人目に期待はできないと考え始めたころだ。
ギギ、と会議室の扉が開いた。
一斉に姿勢を直す。四聖龍は、同時に顔を扉へ向けた。
「失礼するわ」
コツ、とハイヒールを鳴らしながら、女が入ってきた。
20代後半くらいの、金髪の女。長い髪を後ろで纏めている。
全身黒い衣装で、出るとこは出ており、締まるところは締まっていて、スタイルが良い。どこぞのモデルのようだった。
と言うか……
「シャレムさん!?」
レイラはつい声を上げてしまう。
彼女は、モデルのシャレムだった。
「え……あの時の……?」
オシャレに興味が薄いレイズですら、彼女を知っている。
『騎士団の衣装が使えない』との理由で服を買いに行った店で、レディースのポスターに写っていた女だ。
名前までは興味なく知らなかったが、彼女が。
だが、性格は良くないらしい。遅刻したことを悪びれる様子もなく、つかつかと用意された椅子に向かう。
「ッたく、情けないわね。それでも騎士団なの?」
「大変申し訳ございません……」
「なよなよしない!!」
「はいぃ!!」
進行役はなぜか怒られている。
四聖龍の三人目が世界に知られる(性格の悪い)モデルだったとは。
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※本作は小説家になろうでも投稿しています。
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