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崩壊龍
身体は彼
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闇色のドス黒いオーラが、再度強くなった。
それは、ユラユラ揺らめき、炎のように常時姿を変えている。
その底知れぬ闇に、心が砕けそうになる。
そこまで来て、やっと連絡を思い出したレイラ。
「騎士団の皆さんは撤退を!!」
離れた位置で様子を窺っていた団員に指示する。
王を置いて退散するなど普通はあり得ないが、団長命令であるし、本人もそれを望んでいる。
「了解。ご武運を……」
団員たちは、気配を消して場を後にする。彼らができる仕事は、ここまでとなる。
ただ、完全に撤退している訳ではない。当然、戦闘には参加しないが、いつでも救出できるような連携を構築していく。
(全員、撤退。次は……)
その後、通信端末にも手を伸ばす。
「レイラです……リゼルが……リゼルが現れました」
「なんだって!?」
バージルの声だ。他の三人からは反応がない。
向こうも戦闘中のようで、轟音が聞こえる。忙しい中、何とか応答している感じだ。
「……ですが、状況は最悪です。応戦せざるを得ません」
こちらの声の感じと、応戦という言葉。
そうか、と察したような感じのバージル。
「気を付けろ!報告はこっちでやっとく!」
「……お願いします」
自分サイドの方が早く片付く、と戦況を読んだのか、バージルは報告を買って出る。
念のため、通信を切ったふりをし、ゼルに視線を移す。
「用意は良いかぁ?」
「待っててくれたのですね」
「……肩慣らしに不意打ちはねぇだろう?」
「……そうですか」
なるほど。
ある程度拮抗した戦いをお望みか。
(やりにくいですね……)
先ほどの犯罪者とは違い、相手はリゼルだ。
犯罪者相手なら乱暴に龍力を使えるが、リゼル相手だとそうはいかない。
殺さず、戦闘の意志を削げるレベルの微妙な龍力。
足を少し開き、レイラは龍力を解放する。
光のオーラが彼女の身体を満たす。
まだ『フル・ドラゴン・ソウル』は使えない。常時その状態で戦えるほど、慣れていない。
だから、剣を交え、力を量る必要がある。ここぞというときに使い、勝負を決める。
「来なさい!!」
「言われなくても!!」
ゼルは跳んだ。
剣には、闇色のオーラが纏われている。
剣は一本なのに、龍の爪がダブって見え、三本の刃となる。
「龍爪ッ!!」
「ぐっ……!」
ゼルの一刀。レイラは渾身の龍力で受ける。
手が痺れ、龍圧が身体を押しつぶそうとする。が、耐えられる。
「ほぅ……!!」
ニヤリと唇を緩めるゼル。余裕の笑み。だが、それはレイラも同じだ。
想像していたよりは、力を感じない。
「……この程度ですか?」
下肢に力を込め、身体全体で押すように力を込める。
刃が滑り、闇の爪による攻撃を押し返した。リゼルの筋量は良くも悪くも多くない。
スゼイのような馬鹿力を持ち合わせていないのが助かる所だ。
「!」
そのままの勢いで剣を振り払い、ゼルを弾き飛ばす。
ゼルは空中で一回転し、器用に着地した。
「思ったより頑丈だな」
「……おかげさまで」
「は……?」
ゼルが間抜けな声を出すのも無理はない。
リゼルとは、何百回と剣を交えている。その中で、受ける術も身につけている。
細かなクセや龍力の圧はリゼルのそれではないものの、肉体は間違いなくリゼルのものだ。そのため、彼の身体の使い方が抜け切れていない。
そんな動き+お試しの一撃。その攻撃力は知れている。受けるくらい、朝飯前だ。
「…………」
変な沈黙。見つめあうレイラとゼル。
ふ~、と息を吹き、頭をガリガリとかいたゼル。
舌を打ち、目線を外した。
「ち……調子狂う」
「!」
「だが、それも終わりだ。ぶっ潰してやるよ」
それは、ユラユラ揺らめき、炎のように常時姿を変えている。
その底知れぬ闇に、心が砕けそうになる。
そこまで来て、やっと連絡を思い出したレイラ。
「騎士団の皆さんは撤退を!!」
離れた位置で様子を窺っていた団員に指示する。
王を置いて退散するなど普通はあり得ないが、団長命令であるし、本人もそれを望んでいる。
「了解。ご武運を……」
団員たちは、気配を消して場を後にする。彼らができる仕事は、ここまでとなる。
ただ、完全に撤退している訳ではない。当然、戦闘には参加しないが、いつでも救出できるような連携を構築していく。
(全員、撤退。次は……)
その後、通信端末にも手を伸ばす。
「レイラです……リゼルが……リゼルが現れました」
「なんだって!?」
バージルの声だ。他の三人からは反応がない。
向こうも戦闘中のようで、轟音が聞こえる。忙しい中、何とか応答している感じだ。
「……ですが、状況は最悪です。応戦せざるを得ません」
こちらの声の感じと、応戦という言葉。
そうか、と察したような感じのバージル。
「気を付けろ!報告はこっちでやっとく!」
「……お願いします」
自分サイドの方が早く片付く、と戦況を読んだのか、バージルは報告を買って出る。
念のため、通信を切ったふりをし、ゼルに視線を移す。
「用意は良いかぁ?」
「待っててくれたのですね」
「……肩慣らしに不意打ちはねぇだろう?」
「……そうですか」
なるほど。
ある程度拮抗した戦いをお望みか。
(やりにくいですね……)
先ほどの犯罪者とは違い、相手はリゼルだ。
犯罪者相手なら乱暴に龍力を使えるが、リゼル相手だとそうはいかない。
殺さず、戦闘の意志を削げるレベルの微妙な龍力。
足を少し開き、レイラは龍力を解放する。
光のオーラが彼女の身体を満たす。
まだ『フル・ドラゴン・ソウル』は使えない。常時その状態で戦えるほど、慣れていない。
だから、剣を交え、力を量る必要がある。ここぞというときに使い、勝負を決める。
「来なさい!!」
「言われなくても!!」
ゼルは跳んだ。
剣には、闇色のオーラが纏われている。
剣は一本なのに、龍の爪がダブって見え、三本の刃となる。
「龍爪ッ!!」
「ぐっ……!」
ゼルの一刀。レイラは渾身の龍力で受ける。
手が痺れ、龍圧が身体を押しつぶそうとする。が、耐えられる。
「ほぅ……!!」
ニヤリと唇を緩めるゼル。余裕の笑み。だが、それはレイラも同じだ。
想像していたよりは、力を感じない。
「……この程度ですか?」
下肢に力を込め、身体全体で押すように力を込める。
刃が滑り、闇の爪による攻撃を押し返した。リゼルの筋量は良くも悪くも多くない。
スゼイのような馬鹿力を持ち合わせていないのが助かる所だ。
「!」
そのままの勢いで剣を振り払い、ゼルを弾き飛ばす。
ゼルは空中で一回転し、器用に着地した。
「思ったより頑丈だな」
「……おかげさまで」
「は……?」
ゼルが間抜けな声を出すのも無理はない。
リゼルとは、何百回と剣を交えている。その中で、受ける術も身につけている。
細かなクセや龍力の圧はリゼルのそれではないものの、肉体は間違いなくリゼルのものだ。そのため、彼の身体の使い方が抜け切れていない。
そんな動き+お試しの一撃。その攻撃力は知れている。受けるくらい、朝飯前だ。
「…………」
変な沈黙。見つめあうレイラとゼル。
ふ~、と息を吹き、頭をガリガリとかいたゼル。
舌を打ち、目線を外した。
「ち……調子狂う」
「!」
「だが、それも終わりだ。ぶっ潰してやるよ」
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