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崩壊龍
変化
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永遠に続くと思われた深い闇の底から、奇跡的に生還したリゼル。
だが、今の状況は中々厳しいものだった。その理由は、すぐに変わることになる。
「目覚めて、本当に良かったです。が、まずは、これを……」
レイラは、辛そうに手鏡を渡してきた。
その行動に意味が分からずも、とりあえずそれを覗くリゼル。
「これが……僕か……?」
その手鏡を見て、本気で驚いた。
顔が全体的に痩せ、、髪は残っているが、毛先の色がやや抜け、灰色になっている。根本はまだ黒い色素が残っているが、髪の毛一本一本、黒から灰色へとグラデーションががっている。
手鏡を置き、布団を剥ぎ、身体を確認する。その身体も、以前より細くなっている気がする。
「お辛い、でしょうけど……」
先程、涙を流すほどに喜んでいた人間とは思えない表情だ。
それだけに目覚めが喜ばしかったが、あの一件の予後は本当によろしくない。
リゼルは、手を握ったり広げたりしてみる。
(ち……)
痛みはないが、力が入りにくい。握力が落ちているのか。
筋肉については、廃用で説明がつくかもしれないが、髪の色落ちはどういうことだろうか。
「そのことなのですが……」
自分の身体の変化の戸惑っていると、レイラが言いにくそうに声を上げる。
「知っているのか?」
「いえ。詳細は分かりません。ただ……」
レイラは、彼が『タブー』を犯した後から、先日の戦闘及び、その後起こったこと、そして、報告会での四聖龍の反応について話した。
「そう、か……」
悩むように彼は手を額に当て、顔を隠した。
その声は、ほとんどため息と同時で、様々な感情が混じっているように思えた。
一時の感情で、魂を龍に売るような真似をした。
その結果、イングヴァーを守ることはできたが、代わりに自分が攫われた。
そして、紆余曲折あり、自分の肉体で彼女に剣を向けた。
『タブー』を犯した戦闘直後から意識はなかったが、時折感じていた気がする『光』はやはりレイラのものだったのか。
(バカだ……僕は……)
レイラを守るため、常に考え、常に最善を尽くしてきたつもりだった。
当然、選択した未来に後悔はない。と思っていた。が、それは違った。
『タブー』を犯せばどうなるか、聞いていたはずなのに、あの瞬間は、そのリスクよりも、力を欲した。
その結果が、コレだ。
精神が戻ったのは良かったが、その代償は、闇龍の欠如。
「龍魂ですが、『あの日』の影響で、当てがありません……」
「……だろうな」
「それに、あなたの承諾も必要です。それに、団のことも……」
試験でも家族の龍を引き継ぐ際も、必要な工程は同じ。今回のケースでも、例外はない。
龍魂付与に対する説明と同意。それの承認が必要である。
そして、騎士団員としての進退。
今回の件で、彼は精神・身体、そして、魂・龍魂へ甚大なダメージを受けた。
選択の結果とは言え、今現在危険な状態になっていることに変わりはない。
だから、今一度確認する必要がある。
騎士団を辞めるか・続けるか。
レイラがこの場で確認しなければならないのは、この二点だ。
「それについては、無論だ。騎士団も、辞めない」
「……ありがとうございます。また、共に戦えるのですね」
「当然だ。お前が剣を置かない限り、な……」
「ふふ……」
素直に嬉しいが、彼の状態は芳しくない。
レイラは笑みを作るが、ぎこちない。
「……あなたの変化については、はぐらかされた形です。何か理由があっての事でしょうが……」
「……あぁ。だろうな。あいつや、四聖龍が無意味に隠すとは思えない」
「だと思いたいです」
「確証がなかったのか、『残酷な現実』が待っているから、か……」
「…………」
四聖龍の反応から想像する限り、後者な気がする。前者も、若干ながらありそうであるが。
リゼルは、自分の変化とその未来を予測している。
(永くない、か……)
レイラには、まだ言えない。
話を聞く前と聞いた後だと、身体への変化が重たい物だと理解できた。
それに、自分の身体だ。体力が減ったからなのか、そうではないのかくらい、受容ができれば、すぐに分かる。
リゼルは、密かに覚悟を決めるのだった。
だが、今の状況は中々厳しいものだった。その理由は、すぐに変わることになる。
「目覚めて、本当に良かったです。が、まずは、これを……」
レイラは、辛そうに手鏡を渡してきた。
その行動に意味が分からずも、とりあえずそれを覗くリゼル。
「これが……僕か……?」
その手鏡を見て、本気で驚いた。
顔が全体的に痩せ、、髪は残っているが、毛先の色がやや抜け、灰色になっている。根本はまだ黒い色素が残っているが、髪の毛一本一本、黒から灰色へとグラデーションががっている。
手鏡を置き、布団を剥ぎ、身体を確認する。その身体も、以前より細くなっている気がする。
「お辛い、でしょうけど……」
先程、涙を流すほどに喜んでいた人間とは思えない表情だ。
それだけに目覚めが喜ばしかったが、あの一件の予後は本当によろしくない。
リゼルは、手を握ったり広げたりしてみる。
(ち……)
痛みはないが、力が入りにくい。握力が落ちているのか。
筋肉については、廃用で説明がつくかもしれないが、髪の色落ちはどういうことだろうか。
「そのことなのですが……」
自分の身体の変化の戸惑っていると、レイラが言いにくそうに声を上げる。
「知っているのか?」
「いえ。詳細は分かりません。ただ……」
レイラは、彼が『タブー』を犯した後から、先日の戦闘及び、その後起こったこと、そして、報告会での四聖龍の反応について話した。
「そう、か……」
悩むように彼は手を額に当て、顔を隠した。
その声は、ほとんどため息と同時で、様々な感情が混じっているように思えた。
一時の感情で、魂を龍に売るような真似をした。
その結果、イングヴァーを守ることはできたが、代わりに自分が攫われた。
そして、紆余曲折あり、自分の肉体で彼女に剣を向けた。
『タブー』を犯した戦闘直後から意識はなかったが、時折感じていた気がする『光』はやはりレイラのものだったのか。
(バカだ……僕は……)
レイラを守るため、常に考え、常に最善を尽くしてきたつもりだった。
当然、選択した未来に後悔はない。と思っていた。が、それは違った。
『タブー』を犯せばどうなるか、聞いていたはずなのに、あの瞬間は、そのリスクよりも、力を欲した。
その結果が、コレだ。
精神が戻ったのは良かったが、その代償は、闇龍の欠如。
「龍魂ですが、『あの日』の影響で、当てがありません……」
「……だろうな」
「それに、あなたの承諾も必要です。それに、団のことも……」
試験でも家族の龍を引き継ぐ際も、必要な工程は同じ。今回のケースでも、例外はない。
龍魂付与に対する説明と同意。それの承認が必要である。
そして、騎士団員としての進退。
今回の件で、彼は精神・身体、そして、魂・龍魂へ甚大なダメージを受けた。
選択の結果とは言え、今現在危険な状態になっていることに変わりはない。
だから、今一度確認する必要がある。
騎士団を辞めるか・続けるか。
レイラがこの場で確認しなければならないのは、この二点だ。
「それについては、無論だ。騎士団も、辞めない」
「……ありがとうございます。また、共に戦えるのですね」
「当然だ。お前が剣を置かない限り、な……」
「ふふ……」
素直に嬉しいが、彼の状態は芳しくない。
レイラは笑みを作るが、ぎこちない。
「……あなたの変化については、はぐらかされた形です。何か理由があっての事でしょうが……」
「……あぁ。だろうな。あいつや、四聖龍が無意味に隠すとは思えない」
「だと思いたいです」
「確証がなかったのか、『残酷な現実』が待っているから、か……」
「…………」
四聖龍の反応から想像する限り、後者な気がする。前者も、若干ながらありそうであるが。
リゼルは、自分の変化とその未来を予測している。
(永くない、か……)
レイラには、まだ言えない。
話を聞く前と聞いた後だと、身体への変化が重たい物だと理解できた。
それに、自分の身体だ。体力が減ったからなのか、そうではないのかくらい、受容ができれば、すぐに分かる。
リゼルは、密かに覚悟を決めるのだった。
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