龍魂

ぐらんじーた

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ある一族

お宅訪問

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町の奥の方へ歩みを進めるレイズたち。
進むにつれ、城のような大きな建物が見えてくる。

「はえ~!でっけぇ!」

レイズは口を開け、間抜けな顔でそれを見上げる。

「レイグランズ城よりは小さいけど……この町の規模で、これはでかいな」

バージルは、王都のそれと見比べる。
レイグランズ城よりは小さいが、ここは王都ではない。それに、他の町との繋がりもない。そんな状況で、ここまでの建造物を作れるのは、凄い資金力と技術だ。

「……そこに、むかってくれ」
「リゼル!?」
「まじか?」
「ッ……」

驚くレイズとバージルの背後で、厳しい顔をするレイラ。
とうとうここまで来てしまったか。

「……リゼルは、ヨルムンヘルのトップの血を引いています」
「え?それって……」

リゼルの「そこへ向かえ」の言葉と、彼女の「ヨルムンヘルトップの血を引く」との言葉。
眼前に見えるは、町のシンボルであろう城。

「あそこが、リゼルの実家です」

レイズとバージルは唾を一度のみ込む。
リゼルが、ここのトップの血を引いている。トップの、息子?

驚きながらも歩いていると、レイズたちは、その家の入口に到着した。
レイズたちの何倍もあろう高さと、頑丈な門。扉は木造だが、容易に突破できるとは思わせない重厚さだ。
城よりも広範囲を囲っていることから、庭も広いだろう。

「はなしはあとだ……はいってくれ」
「入ってくれ、っつってもな……」

気軽に入れるレベルを軽く超えている。

「どうすりゃいい……?」

バージルは門に手を当て、押したり引いたりしてみるが、無駄だ。動きはするが、鍵がかかっており、引っかかる。
レイズたちが困っていると、レイラが何かを見つけた。

「ボタンがありますね」

掌より一回り大きいパネル。
その下に、ボタンがある。呼び出し用のそれだろうか。

「……それだ」
「はい」

リゼルに言われ、レイラはそのボタンを押した。
数秒経過した後、音がした。中と繋がったのだろう。

「……どちら様でしょうか?」

初老の男を彷彿とさせる声。

(いまのこえは……)

リゼルは過去の記憶を探る。
聞き覚えがある気がする。とても穏やかで、懐かしい声。

繋がった、と喜ぶ半面、どう言えば中に入れるか全く考えていなかった。
慌ててしまうレイラ。

「えっと……!私は、リゼルの友人で……!!」

『レイラ=シュフール』という、現王の名前がここで通じるとは思えない。
かと言って、「龍魂をください」は色々すっ飛ばしている。
つい、リゼルの名前を出してしまった。

「…………」
「え、と……」
「……そこでお待ちください」

しばらくの沈黙の後、声の主はそう言い、通信が切られた。

「緊張してきました……」
「なんか、俺もだ……トイレ行きたい」

バージルは、何の意図もなくそう言った。だが、それは過去の傷口を自分で掘り返す行為であった。

「……漏らすなよ」
「!」

レイズに静かに突っ込まれ、バージルは彼を見る。
彼はいつの間にか、数歩距離を取っているところだった。

「……そのことは、忘れろ」

フリーズルートで、咄嗟についた嘘。それがまだ尾を引いている。

そんな下らないやり取りを繰り広げていると、門が開き、明かりが漏れた。
一人の初老の男が、ランプを持って歩いてくる。白い髪に、口の上の白い髭。
彼の親にしては歳がいっている。祖父だろうか。

「……!」

レイズたちは整列し直し、背筋を伸ばす。
初老の男は、何も言わずにレイズたちの前に立つ。そして、ランプで一人一人顔を確認してく。
その間、初老の男はもちろん、誰も喋ることはなかった。

「…………」

レイズたちを照らし終わる。男は黙っているし、表情も崩さない。
自分たちにできるのは、「どうなる……?」と、緊張しながら事を見守るだけだ。

男は、最後にリゼルを照らした。

「……取っていただいても?」
「…………」

男の質問に、リゼルは黙ったまま頷く。そして、フードをゆっくりと脱いだ。
その後、男はランプでその顔を照らす。

白髪交じりで痩せており、普通であれば、誰もリゼル本人だと気付かない。
そう。普通なら。

男の手が止まる。目が大きく見開かれ、言葉にならない声が喉の奥から漏れた。

「……!!」

年老いて見える『彼』が誰か理解したのか、男の手が震え始める。
それを見て、リゼルは眩しそうに目を細め、言った。

「……ひさしぶりだな。ふぉい」
「リゼル……坊ちゃま……!?」
「だから、そのいいかたはやめろと……」
「あぁ、リゼル坊ちゃま……!」

フォイと言うこの男とリゼルは知り合いらしい。
すぐに門が開き、中に通された。

「どうぞ、こちらへ」
「……ありがとうございます」
「……うっす」
「あざます……」

レイズとバージルは緊張でうまく声が出ない。先ほどの軽口が嘘のようだ。

とにかく、中へ入ることができて安心した。
第一段階突破である。
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