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ある一族
リルナ
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準備と言っても、道具の買い出しくらいだ。
リルナに声をかけ、ショップに向かう。適当に物を買い足し、出発した。
リルナ曰く、凶暴な魔物がうろついている遺跡は、『闇龍遺跡』と『月龍遺跡』らしい。
まずは、闇龍遺跡へ向かう。
「遺跡、か」
「思えば、各地にあったな」
その道中で、遺跡のことについてレイズたちは喋っていた。
町の外では、暗雲界特有の空気にやられそうになるため、龍力を纏っている。
それに、レイズとレイラは周囲を照らす役割もある。無駄な力の放出ではない。
リルナは、最後尾をつまらなそうについて来ている。
光沢のある、黒い裾長のコートに、紅いミニスカート。
絶対領域と言うヤツだろうか。ひざ上ソックスとの間に見える太ももが見えている。
戦闘に向いている格好とは言えないが、城内で会った時と、彼女は服装を変えるようなことはしなかった。
父親に同行を言い渡された時は、割と素直に従っていたが、城内でレイズたちが声をかけたときは、舌打ちが聞こえてきた。
ただ、一族が管理している神聖な場所。そこの魔物退治となれば、リルナ側にもメリットは大きい。
だから、我慢して付いてきているのだろう。
レイズたちはリルナを気にしつつも、会話を続けている。
沈黙を作りたくないのもあるが、喋っていると、気が紛れるのだ。
「……遺跡については、色々言われていることがあります。もともとは龍の本拠地だったとか、戦後、人間が龍の怒りを鎮めようとして建てたとか……」
「そういや、ダルトにも雷龍遺跡があったな」
レイズたちは、マリナに出会った頃を思い出す。
様々なことが短期間に起こり、濃い日々を過ごしていた自分たちにとって、それは相当昔のことに思える。
たた、シンプルな時間的に言えば、割と最近なのだ。
「フリーズルート辺りには氷龍遺跡とかありそうだ。他にもあるだろうな」
地域の特徴から、氷龍に関する遺跡は、フリーズルートにあるだろう、と推察するバージル。
遺跡の内部。日常生活において、全く関わることがない場所である。
興味も別にないが、話題のために、レイズは口を開く。
「……中に入ったことは?」
「俺はないな……」
「私もです。雷龍遺跡も、入り口まででしたし……」
遺跡の中。
興味はあるが、わざわざ入る必要もなさそうなのは事実だ。
「遺跡も、完璧に管理されている訳ではありませんし、勝手に入ろうと思えば入れるでしょうけど……」
事実、マリナは『そこ』で盗賊と出会った。
龍に関する遺跡内。金目の物がある可能性はあるが、その価値は龍力者、かつ、その属性でなければ意味がないだろう。
即ち、そこに盗みに入るのは、割に合わないと思うが。
「……内部の情報って回ってこねぇよな。奥があるかも分からないし、そのフロアだけかも分からない」
「そう、ですね……国としても、遺跡内部に立ち入ることは推奨していません。が、絶対的に禁止している訳でもありません。ただ、騎士団や自警団が巡回もしていますし、(侵入)リスクは高いかな、と……」
そもそも、龍と人間との歴史の件で、『そういう場所』に手を出すのはご法度である。
地域的な伝統行事や管理上の出入りは国としても認めている。が、セーフラインはそこだ。
盗み目的など問題外であるし、観光だろうが、特例は現状ない。
「ふ~ん……」
遺跡の話が終わってしまい、レイズはリルナを見る。
暗雲界で生活しているだけあって、町の外でも生身だ。龍力に頼っている様子はない。
相変わらず無愛想で、言葉を発することはほとんどない。
こちらも仲良しこよしをする気はないが、リゼルの仲間である以上、どうしても気になる。
「アルナ……だったよな」
「……なに?」
話しかけられて苛立っているのか、ぶっきらぼうさが声にこもっている。
だが、彼は気にしない。それ以上に気になることがあるからだ。
「リゼルを……兄貴見て、どう思う?」
「レイズ……?」
バージルはレイズの方へ振り向いた。
(……気になるか)
幼少期に、リゼルとリルナがどのくらい一緒に居たかは分からない。
彼との歳の差を想像するに、物心つく前のことかもしれない。
だが、親から認められていなくとも、兄がいることは理解しているはずだ。
そんな兄が、衰えて帰ってきた。この変わりようを見て、どう感じているのだろう。
「……別に」
「別にって……」
親の時とは違い、レイズは激高しない。
共に過ごした時間も分からないし、そもそもリルナは反抗期なお年頃。
『家族』であるが、『親』とは立場が異なる。
「……月龍以外は……みんなクソだから」
目を反らし、見下したように言うリルナ。
「クソ、かよ……」
バージルは心の中で毒づいた。
親の教育の賜物だな、と。
「…………」
バージルと同様に、レイズも少なからずそれを感じた。
この妹に、リゼルとの絆うんぬんは期待できない。さっさと済ませて、龍魂を貰おう。
(属性が全てか?おい……)
月龍以外は、クソ。
龍魂を表面でしか見ていない。そんな連中に頼らないといけないのは、少し悔しい。
「レイズ?大丈夫か?」
「あぁ……何でもない」
「だがよ……」
「良いんだ」
レイズは早々に話を切り上げ、先を進んでいく。
「そうか……」
バージルはそれを見ることしかできない。
(月の家系……ね)
月龍に拘る理由は分かっている。
生まれながらにして月龍を宿していること。これで彼らは成り上がってきたのだ。最初だけならまだ分からないが、彼の家を見る限りそれが長いこと続いていたのだろう。それだけ続けば、周囲もそれを期待する。
だからといって、それ以外をクソと教育するのは間違っている。
ここでリルナにそれ説いても、馬の耳に念仏。
仕事だけに集中しよう、とバージルも歩みを進めるのだった。
リルナに声をかけ、ショップに向かう。適当に物を買い足し、出発した。
リルナ曰く、凶暴な魔物がうろついている遺跡は、『闇龍遺跡』と『月龍遺跡』らしい。
まずは、闇龍遺跡へ向かう。
「遺跡、か」
「思えば、各地にあったな」
その道中で、遺跡のことについてレイズたちは喋っていた。
町の外では、暗雲界特有の空気にやられそうになるため、龍力を纏っている。
それに、レイズとレイラは周囲を照らす役割もある。無駄な力の放出ではない。
リルナは、最後尾をつまらなそうについて来ている。
光沢のある、黒い裾長のコートに、紅いミニスカート。
絶対領域と言うヤツだろうか。ひざ上ソックスとの間に見える太ももが見えている。
戦闘に向いている格好とは言えないが、城内で会った時と、彼女は服装を変えるようなことはしなかった。
父親に同行を言い渡された時は、割と素直に従っていたが、城内でレイズたちが声をかけたときは、舌打ちが聞こえてきた。
ただ、一族が管理している神聖な場所。そこの魔物退治となれば、リルナ側にもメリットは大きい。
だから、我慢して付いてきているのだろう。
レイズたちはリルナを気にしつつも、会話を続けている。
沈黙を作りたくないのもあるが、喋っていると、気が紛れるのだ。
「……遺跡については、色々言われていることがあります。もともとは龍の本拠地だったとか、戦後、人間が龍の怒りを鎮めようとして建てたとか……」
「そういや、ダルトにも雷龍遺跡があったな」
レイズたちは、マリナに出会った頃を思い出す。
様々なことが短期間に起こり、濃い日々を過ごしていた自分たちにとって、それは相当昔のことに思える。
たた、シンプルな時間的に言えば、割と最近なのだ。
「フリーズルート辺りには氷龍遺跡とかありそうだ。他にもあるだろうな」
地域の特徴から、氷龍に関する遺跡は、フリーズルートにあるだろう、と推察するバージル。
遺跡の内部。日常生活において、全く関わることがない場所である。
興味も別にないが、話題のために、レイズは口を開く。
「……中に入ったことは?」
「俺はないな……」
「私もです。雷龍遺跡も、入り口まででしたし……」
遺跡の中。
興味はあるが、わざわざ入る必要もなさそうなのは事実だ。
「遺跡も、完璧に管理されている訳ではありませんし、勝手に入ろうと思えば入れるでしょうけど……」
事実、マリナは『そこ』で盗賊と出会った。
龍に関する遺跡内。金目の物がある可能性はあるが、その価値は龍力者、かつ、その属性でなければ意味がないだろう。
即ち、そこに盗みに入るのは、割に合わないと思うが。
「……内部の情報って回ってこねぇよな。奥があるかも分からないし、そのフロアだけかも分からない」
「そう、ですね……国としても、遺跡内部に立ち入ることは推奨していません。が、絶対的に禁止している訳でもありません。ただ、騎士団や自警団が巡回もしていますし、(侵入)リスクは高いかな、と……」
そもそも、龍と人間との歴史の件で、『そういう場所』に手を出すのはご法度である。
地域的な伝統行事や管理上の出入りは国としても認めている。が、セーフラインはそこだ。
盗み目的など問題外であるし、観光だろうが、特例は現状ない。
「ふ~ん……」
遺跡の話が終わってしまい、レイズはリルナを見る。
暗雲界で生活しているだけあって、町の外でも生身だ。龍力に頼っている様子はない。
相変わらず無愛想で、言葉を発することはほとんどない。
こちらも仲良しこよしをする気はないが、リゼルの仲間である以上、どうしても気になる。
「アルナ……だったよな」
「……なに?」
話しかけられて苛立っているのか、ぶっきらぼうさが声にこもっている。
だが、彼は気にしない。それ以上に気になることがあるからだ。
「リゼルを……兄貴見て、どう思う?」
「レイズ……?」
バージルはレイズの方へ振り向いた。
(……気になるか)
幼少期に、リゼルとリルナがどのくらい一緒に居たかは分からない。
彼との歳の差を想像するに、物心つく前のことかもしれない。
だが、親から認められていなくとも、兄がいることは理解しているはずだ。
そんな兄が、衰えて帰ってきた。この変わりようを見て、どう感じているのだろう。
「……別に」
「別にって……」
親の時とは違い、レイズは激高しない。
共に過ごした時間も分からないし、そもそもリルナは反抗期なお年頃。
『家族』であるが、『親』とは立場が異なる。
「……月龍以外は……みんなクソだから」
目を反らし、見下したように言うリルナ。
「クソ、かよ……」
バージルは心の中で毒づいた。
親の教育の賜物だな、と。
「…………」
バージルと同様に、レイズも少なからずそれを感じた。
この妹に、リゼルとの絆うんぬんは期待できない。さっさと済ませて、龍魂を貰おう。
(属性が全てか?おい……)
月龍以外は、クソ。
龍魂を表面でしか見ていない。そんな連中に頼らないといけないのは、少し悔しい。
「レイズ?大丈夫か?」
「あぁ……何でもない」
「だがよ……」
「良いんだ」
レイズは早々に話を切り上げ、先を進んでいく。
「そうか……」
バージルはそれを見ることしかできない。
(月の家系……ね)
月龍に拘る理由は分かっている。
生まれながらにして月龍を宿していること。これで彼らは成り上がってきたのだ。最初だけならまだ分からないが、彼の家を見る限りそれが長いこと続いていたのだろう。それだけ続けば、周囲もそれを期待する。
だからといって、それ以外をクソと教育するのは間違っている。
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仕事だけに集中しよう、とバージルも歩みを進めるのだった。
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