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ある日曜日のことだった。いつものように、キャッチボールの相手をして、マンションに戻ろうとした時、跳一は
「おじさん、今度の土日もいい?」
と訊かれた。
「そうだねぇ、今のところ出掛ける予定もないから、したくなったら呼びにおいで。朝の十時頃がいいかな」
と返事をした。
「ありがとう。それじゃ、また今度ね」
航太は元気な声で返事をした。
金曜日の夜、跳一は九時過ぎに帰宅した。
明日は航太のキャッチボールの相手をしてあげる日だなあ、と考えながら部屋の鍵を開けようとしたら、
「ちょっと、ちょっと、鷹山さん、大変ですよ」
と、斎藤よし子が駆け寄ってきた。
「どうしたのですか?」
「航太君が交通事故で亡くなったのですってよ」
「えーっ、そんなバカな……」
突然のことに跳一は驚き、放心状態になった。
学校から帰ってくる時、車の運転手がハンドル操作を誤り、帰宅途中の子どもたちの列に突っ込み、航太が直撃され、頭を強く打って即死したとのことだった。
通夜が翌日行われることになった。跳一も手伝うことにした。本来なら、跳一がキャッチボールの相手をしてあげる日だったのに、まさか航太の通夜になるとは、とても信じられない気分だった。
航太の母親から
「鷹山さん、航太のキャッチボールの相手、本当にありがとうございました」
と、涙ながら礼を言われた。
さらに
「航太は鷹山さんがキャッチボールの相手をしてくれる日をとても楽しみしていました。金曜日もそんなことを言いながら、学校に行きました。帰って来る時も待ち遠しい気持ちだったと思います。鷹山さん……、本当にありがとうございました……」
と、跳一の手を握り締めて号泣した。
跳一の目からも涙がこぼれ落ち、止まらなくなった。
その近くで、斎藤よし子が冷めた目でこの様子を見ていた。
通夜が始まると、跳一は、弔問に訪れて受付を済ませた者を席に案内する係を務めることになった。
航太の学校の教師や同じクラスの子ども達もやってきた。
その中の一人が跳一の顔を覚えていて、
「鷹山さん。航太の奴、鷹山さんとキャッチボールするのを楽しみにしていましたよ。それなのに、あいつ、可哀想ですよね」
と泣きながら航太の下校前の様子を跳一に語った。
このことも跳一に改めて涙を誘った。
「おじさん、今度の土日もいい?」
と訊かれた。
「そうだねぇ、今のところ出掛ける予定もないから、したくなったら呼びにおいで。朝の十時頃がいいかな」
と返事をした。
「ありがとう。それじゃ、また今度ね」
航太は元気な声で返事をした。
金曜日の夜、跳一は九時過ぎに帰宅した。
明日は航太のキャッチボールの相手をしてあげる日だなあ、と考えながら部屋の鍵を開けようとしたら、
「ちょっと、ちょっと、鷹山さん、大変ですよ」
と、斎藤よし子が駆け寄ってきた。
「どうしたのですか?」
「航太君が交通事故で亡くなったのですってよ」
「えーっ、そんなバカな……」
突然のことに跳一は驚き、放心状態になった。
学校から帰ってくる時、車の運転手がハンドル操作を誤り、帰宅途中の子どもたちの列に突っ込み、航太が直撃され、頭を強く打って即死したとのことだった。
通夜が翌日行われることになった。跳一も手伝うことにした。本来なら、跳一がキャッチボールの相手をしてあげる日だったのに、まさか航太の通夜になるとは、とても信じられない気分だった。
航太の母親から
「鷹山さん、航太のキャッチボールの相手、本当にありがとうございました」
と、涙ながら礼を言われた。
さらに
「航太は鷹山さんがキャッチボールの相手をしてくれる日をとても楽しみしていました。金曜日もそんなことを言いながら、学校に行きました。帰って来る時も待ち遠しい気持ちだったと思います。鷹山さん……、本当にありがとうございました……」
と、跳一の手を握り締めて号泣した。
跳一の目からも涙がこぼれ落ち、止まらなくなった。
その近くで、斎藤よし子が冷めた目でこの様子を見ていた。
通夜が始まると、跳一は、弔問に訪れて受付を済ませた者を席に案内する係を務めることになった。
航太の学校の教師や同じクラスの子ども達もやってきた。
その中の一人が跳一の顔を覚えていて、
「鷹山さん。航太の奴、鷹山さんとキャッチボールするのを楽しみにしていましたよ。それなのに、あいつ、可哀想ですよね」
と泣きながら航太の下校前の様子を跳一に語った。
このことも跳一に改めて涙を誘った。
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