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第17話 錬金術師
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シェーナは湯船から出ると、足早に着替えて脱衣所の外でリィーシャを待つ。
失礼なのは重々承知だが、やはり女性と入浴は慣れないものだ。
遅れてリィーシャが脱衣所から火照った顔で出てきた。
「また一緒に入ろうね。店の開店は大変だろうけど、できることがあれば何でも協力するよ」
「ありがとうございます。すみません、やはり女性と一緒に入浴や着替えは慣れないもので……」
「気にしなくていいよ。事情は分かっているつもりだからね」
リィーシャはシェーナを気遣って特に気にしている様子はなかった。
丁度二人が会話していると、男女の何組かが脱衣所に入っていくと、シェーナは鉢合わせなくてよかったとほっとする。
リィーシャは行政地区に用事があるらしいので、シェーナは一人でキシャナが眠っている自室へと戻っていった。
玄関扉を開けると、すでにキシャナは起床して朝食の仕度をしていた。
「おかえり。どこ行ってたんだよ?」
「すまん、庭先で剣の素振りをしてたらリィーシャさんに誘われて温泉に浸かってた」
「ほぉ……女騎士様はリィーシャさんのようなタイプの女性が好みだったのか」
「誤解だ!? 俺はそんなつもりじゃないぞ」
キシャナを置いてリィーシャと温泉に浸かったのは悪かったが、何もやましいことはしていないとシェーナは慌てて反論する。
頬を膨らませて拗ねた仕草をするキシャナは次第に笑いをこらえられなくなる。
「シェーナがそんなつもりはないことぐらい知ってるよ。まあ少しぐらいその気があって丁度いいとは思うよ」
「お前なぁ……」
シェーナは呆れてテーブルの席につくと、キシャナは朝食を並べていく。
二人は卓を囲んで談笑すると、今日の仕事に取り掛かるために商業地区へと向かった。
キシャナとは店前で別れると、シェーナは錬金術師の工房へと足を運ぶ。
活気がある商人達の人垣を通り抜けると、鍛冶屋や裁縫屋の店構えが目に飛び込んで冒険者が装備の修理や新調したりする姿が見受けられる。
キシャナに工房の場所を教えてもらうと、ドーム状の建物に煙突から黒煙が立ち込めている。
シェーナは入口を見つけて中に入ると、エルフの少女が釜をかき混ぜている姿があった。
「いらっしゃいませ。錬金の依頼でしたら、少々お待ち下さい」
エルフの少女は釜から液体をガラス瓶にすくい上げで蓋をする。
ガラス瓶を棚に置くと、エルフの少女は手拭いで汗を拭いてシェーナに応対する。
「お待たせしました。ご用件を伺います」
「実は以前に氷を作る箱を目にしまして、食材を保存できる程度の涼しい箱を作れたりできますか?」
「ああ、お姉さんはリィーシャさんの知り合いか。あれは特注品だから製作に時間とお金がかかります。一週間と金貨百枚あれば、すぐにでも作りますよ?」
想像はしていたが、やはり高価な品物だ。
金貨百枚はシェーナが身に着けていた魔法鎧を売るしかない。
「わかりました。金貨百枚は用意しますので、お願いします」
「……承知しました。代金は後ほど徴収に参ります。こちらの紙に住所を記入して下さい」
エルフの少女がペンをシェーナに渡すと、指先が少し触れた。
すると以前キシャナと出会った時と同じく奇妙な感覚が二人を襲う。
それが何なのかはお互いに理解すると、最初にシェーナは驚いた声を張り上げる。
「あなたは……樫山円さんなのか!」
「……これは驚いた。クラスメイトだった男子高校生が美人な女性になって現れるとはね」
エルフの少女は口調を変えてシェーナを睨みつけた。
失礼なのは重々承知だが、やはり女性と入浴は慣れないものだ。
遅れてリィーシャが脱衣所から火照った顔で出てきた。
「また一緒に入ろうね。店の開店は大変だろうけど、できることがあれば何でも協力するよ」
「ありがとうございます。すみません、やはり女性と一緒に入浴や着替えは慣れないもので……」
「気にしなくていいよ。事情は分かっているつもりだからね」
リィーシャはシェーナを気遣って特に気にしている様子はなかった。
丁度二人が会話していると、男女の何組かが脱衣所に入っていくと、シェーナは鉢合わせなくてよかったとほっとする。
リィーシャは行政地区に用事があるらしいので、シェーナは一人でキシャナが眠っている自室へと戻っていった。
玄関扉を開けると、すでにキシャナは起床して朝食の仕度をしていた。
「おかえり。どこ行ってたんだよ?」
「すまん、庭先で剣の素振りをしてたらリィーシャさんに誘われて温泉に浸かってた」
「ほぉ……女騎士様はリィーシャさんのようなタイプの女性が好みだったのか」
「誤解だ!? 俺はそんなつもりじゃないぞ」
キシャナを置いてリィーシャと温泉に浸かったのは悪かったが、何もやましいことはしていないとシェーナは慌てて反論する。
頬を膨らませて拗ねた仕草をするキシャナは次第に笑いをこらえられなくなる。
「シェーナがそんなつもりはないことぐらい知ってるよ。まあ少しぐらいその気があって丁度いいとは思うよ」
「お前なぁ……」
シェーナは呆れてテーブルの席につくと、キシャナは朝食を並べていく。
二人は卓を囲んで談笑すると、今日の仕事に取り掛かるために商業地区へと向かった。
キシャナとは店前で別れると、シェーナは錬金術師の工房へと足を運ぶ。
活気がある商人達の人垣を通り抜けると、鍛冶屋や裁縫屋の店構えが目に飛び込んで冒険者が装備の修理や新調したりする姿が見受けられる。
キシャナに工房の場所を教えてもらうと、ドーム状の建物に煙突から黒煙が立ち込めている。
シェーナは入口を見つけて中に入ると、エルフの少女が釜をかき混ぜている姿があった。
「いらっしゃいませ。錬金の依頼でしたら、少々お待ち下さい」
エルフの少女は釜から液体をガラス瓶にすくい上げで蓋をする。
ガラス瓶を棚に置くと、エルフの少女は手拭いで汗を拭いてシェーナに応対する。
「お待たせしました。ご用件を伺います」
「実は以前に氷を作る箱を目にしまして、食材を保存できる程度の涼しい箱を作れたりできますか?」
「ああ、お姉さんはリィーシャさんの知り合いか。あれは特注品だから製作に時間とお金がかかります。一週間と金貨百枚あれば、すぐにでも作りますよ?」
想像はしていたが、やはり高価な品物だ。
金貨百枚はシェーナが身に着けていた魔法鎧を売るしかない。
「わかりました。金貨百枚は用意しますので、お願いします」
「……承知しました。代金は後ほど徴収に参ります。こちらの紙に住所を記入して下さい」
エルフの少女がペンをシェーナに渡すと、指先が少し触れた。
すると以前キシャナと出会った時と同じく奇妙な感覚が二人を襲う。
それが何なのかはお互いに理解すると、最初にシェーナは驚いた声を張り上げる。
「あなたは……樫山円さんなのか!」
「……これは驚いた。クラスメイトだった男子高校生が美人な女性になって現れるとはね」
エルフの少女は口調を変えてシェーナを睨みつけた。
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