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第23話 暗黒騎士③
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ルトルスの並外れた体力とキシャナの的確な解毒で峠は越えることができた。
キシャナは一階で朝食の仕度を始めて、シェーナはルトルスの傍で読書をしながら看病についている。
毒が回って弱っていたのにも関わらず、シェーナと互角以上の膂力と剣捌はガフェーナの恐ろしさを一端に触れた感じであった。勇者一行と死闘を繰り広げた武勇は本当だろう。
窓から陽が差し込むとルトルスは目を覚まして、シェーナを睨みつける。
「……どうして私は生きている?」
「目が覚めたか。朝食の準備をしているから待ってろよ」
「答えろ! 私は貴様を殺そうとしたガフェーナの暗黒騎士だぞ」
「元暗黒騎士だろ? 事情は知らないが、ここは中立国家プライデンだ。多種多様な人種が平和で暮らしている場所で剣を振るった争い事はしたくない」
ハシェル国の騎士と言う立場なら敵国の将を討ち果たして武勲を立てようと考えたが、今はキシャナを守ると誓った騎士だ。ここでルトルスが引き下がらずに対峙することになれば、キシャナだけでもリィーシャか行政地区にいる衛兵の元へ逃がす。シェーナの実力でルトルスに勝てるとは思えず、時間稼ぎさえできればいい。
ルトルスは身体を起こして立ち上がるが、ふらついてシェーナの胸に飛び込んで気丈に振る舞う。
「私は勇者の連中に刃を向けた騎士だ。しかもここは勇者が興した国……死ぬ覚悟はできている」
「最初から殺すつもりなら、毒が回っているあんたを助けたりはしないよ」
「私は誇り高きガフェーナの暗黒騎士だ。生き恥をさらすぐらいなら、死んだ方がましだ! くっ……殺せ!」
悲痛な叫びが店中を駆け巡ると、キシャナが二階へとやってくる。
シェーナはルトルスの頬をはたくと、胸倉を掴んで怒りを露にする。
「あんたは死ぬのを恐れて……希望を抱いてこの地を踏んだんじゃないのか! 私も騎士の端くれだから、剣を交えて絶対に死ぬ訳にはいかないと言う気迫が伝わってきたよ」
「お前に私の何が分かると言うのだ! 君主に裏切られて、姉を生け贄にされたこの私を……」
ルトルスは咳き込んで苦しみ出すと、キシャナが薬草を煎じた液体を飲ませてベッドに運んで寝かせる。
「彼女はまだ完全に毒が身体から消えてはいない。安静にさせておかないと駄目だよ!」
「すまない」
「シェーナの朝食は出来上がったから、持ってくるよ」
病人相手に感情的になってしまったことを反省する。
キシャナもシェーナの気持ちは理解しているつもりで、それ以上は何も言わずに階下に戻っていく。
ルトルスは咳も止んで落ち着きを取り戻すと、うわ言を呟く。
「カルラ姉さん……」
姉の名前を告げる彼女は先程の暗黒騎士の面影は消え失せて、まるで怯えた少女のように助けを求めるような感じだ。
一体、ガフェーナで何があったのだろうか。
その答えを知るためにも、ルトルスの回復を待って事情を聞き出したいところだ。
キシャナは一階で朝食の仕度を始めて、シェーナはルトルスの傍で読書をしながら看病についている。
毒が回って弱っていたのにも関わらず、シェーナと互角以上の膂力と剣捌はガフェーナの恐ろしさを一端に触れた感じであった。勇者一行と死闘を繰り広げた武勇は本当だろう。
窓から陽が差し込むとルトルスは目を覚まして、シェーナを睨みつける。
「……どうして私は生きている?」
「目が覚めたか。朝食の準備をしているから待ってろよ」
「答えろ! 私は貴様を殺そうとしたガフェーナの暗黒騎士だぞ」
「元暗黒騎士だろ? 事情は知らないが、ここは中立国家プライデンだ。多種多様な人種が平和で暮らしている場所で剣を振るった争い事はしたくない」
ハシェル国の騎士と言う立場なら敵国の将を討ち果たして武勲を立てようと考えたが、今はキシャナを守ると誓った騎士だ。ここでルトルスが引き下がらずに対峙することになれば、キシャナだけでもリィーシャか行政地区にいる衛兵の元へ逃がす。シェーナの実力でルトルスに勝てるとは思えず、時間稼ぎさえできればいい。
ルトルスは身体を起こして立ち上がるが、ふらついてシェーナの胸に飛び込んで気丈に振る舞う。
「私は勇者の連中に刃を向けた騎士だ。しかもここは勇者が興した国……死ぬ覚悟はできている」
「最初から殺すつもりなら、毒が回っているあんたを助けたりはしないよ」
「私は誇り高きガフェーナの暗黒騎士だ。生き恥をさらすぐらいなら、死んだ方がましだ! くっ……殺せ!」
悲痛な叫びが店中を駆け巡ると、キシャナが二階へとやってくる。
シェーナはルトルスの頬をはたくと、胸倉を掴んで怒りを露にする。
「あんたは死ぬのを恐れて……希望を抱いてこの地を踏んだんじゃないのか! 私も騎士の端くれだから、剣を交えて絶対に死ぬ訳にはいかないと言う気迫が伝わってきたよ」
「お前に私の何が分かると言うのだ! 君主に裏切られて、姉を生け贄にされたこの私を……」
ルトルスは咳き込んで苦しみ出すと、キシャナが薬草を煎じた液体を飲ませてベッドに運んで寝かせる。
「彼女はまだ完全に毒が身体から消えてはいない。安静にさせておかないと駄目だよ!」
「すまない」
「シェーナの朝食は出来上がったから、持ってくるよ」
病人相手に感情的になってしまったことを反省する。
キシャナもシェーナの気持ちは理解しているつもりで、それ以上は何も言わずに階下に戻っていく。
ルトルスは咳も止んで落ち着きを取り戻すと、うわ言を呟く。
「カルラ姉さん……」
姉の名前を告げる彼女は先程の暗黒騎士の面影は消え失せて、まるで怯えた少女のように助けを求めるような感じだ。
一体、ガフェーナで何があったのだろうか。
その答えを知るためにも、ルトルスの回復を待って事情を聞き出したいところだ。
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