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第62話 娯楽施設
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踊り終えた二人は石段を駆け下りると、キシャナはシェーナの手を引っ張って商業地区の娯楽施設に足を運んだ。
全体的に人の行き交うのが多い商業地区だが、ここは特に冒険者の数が圧倒的だ。
「シェーナはここに訪れるのは初めてだよね?」
「ああ、賑やかな場所だね。お祭り会場みたいだよ」
「勇者一行のメンバーでウィルって人が施設全体を取り仕切っているんだよ」
「ウィルって……あのウィル・ヘルストのことか」
勇者一行のメンバー、ウィル・ヘルストは実力と名声を兼ね備えた剣士と評判の人物だ。
数十体のデーモンの群れを薙ぎ倒し、ドラゴンを一刀両断した武勇伝は一般的に考えれば眉唾物だが、勇者一行のウィル・ヘルストならあり得ないことはない。
「娯楽施設って、要するに賭場か。俺はギャンブルをやらない主義だから縁はなさそうだな」
「実は……そうでもないんだ。ここの目玉イベント『闘技場』で上位入賞すれば、豪華特典に厳選された高級食材百kg贈呈されるんだよ!」
キシャナがシェーナに娯楽施設を案内したのは何となく察しが付いた。
シェーナが『闘技場』に参加して高給食材を手に入れさせるためだ。
やんわり断ろうとするシェーナを制して、キシャナは綺麗な土下座をして頼み込む。
「どうか食材のために参加をお願いします! 神様、仏様、シェーナ様!」
「ちょっ……こんな公衆の面前で土下座はやめろ」
「参加してくれたら、今日はシェーナのために一肌脱ぐよ」
「脱いでも参加はしないよ。そういう面前の大会に出場したら、俺の素性がハシェル国に伝わるかもしれない。あまり波風が立つようなことはしたくない」
下手に自分の名が知れ渡れば、ハシェル国に強制送還されるかもしれない。
そうなれば、お咎めがウラバルト家に及んでしまうことは必至だ。
シェーナは心を鬼にして参加はしないつもりだ。
「……ごめん。シェーナの迷惑を考えないで無茶なことをお願いしたな」
「分かってくれたらいいんだよ。それに高級食材よりキシャナとこうして一緒にいる方が俺は幸せだよ」
周囲の目がシェーナとキシャナに集まり、ダークエルフをいたぶる女騎士と噂になってはたまったものではない。
キシャナをゆっくり立ち上がらせると、説得に応じてくれて助かった。
この場から立ち去ろうとした時に、荒くれの冒険者がシェーナ達に絡んできた。
「そこのお二人さん。お困りなら俺が相談に乗るぜぇ?」
「いえ、解決しましたのでお気遣いなく……行こう、キシャナ」
シェーナはキシャナの手を引っ張ると、それを逃さずに荒くれの冒険者は立ち塞がる。
「それならよぉ。酒の相手をしてくれねぇかな? そのままベッドの相手をしてくれても一向に構わないぜ」
下卑た顔で話をする荒くれ者の冒険者を無視すると、激昂して腰の鞘から剣を抜く。
シェーナは荒くれ者の冒険者の鳩尾に拳打を放つと、斬りかかろうとした剣は主人の手から離れて床に落ちる。
「まだ続けるか?」
拳を構えて見下ろすシェーナを荒くれ者の冒険者は恐れをなして、その場から引き下がった。
シェーナの背後で心配そうに見守るキシャナは恐怖で震えていた。
「ほら、もう大丈夫だ。さっさと行くぞ」
「……うん。助けてくれてありがとう」
震える身体を抑えるために、シェーナはキシャナの手を差し伸べる。
目立った行動を取ってしまったことに反省して、二人は娯楽施設の出入口から退散しようとした時、一人の剣士に呼び止められた。
全体的に人の行き交うのが多い商業地区だが、ここは特に冒険者の数が圧倒的だ。
「シェーナはここに訪れるのは初めてだよね?」
「ああ、賑やかな場所だね。お祭り会場みたいだよ」
「勇者一行のメンバーでウィルって人が施設全体を取り仕切っているんだよ」
「ウィルって……あのウィル・ヘルストのことか」
勇者一行のメンバー、ウィル・ヘルストは実力と名声を兼ね備えた剣士と評判の人物だ。
数十体のデーモンの群れを薙ぎ倒し、ドラゴンを一刀両断した武勇伝は一般的に考えれば眉唾物だが、勇者一行のウィル・ヘルストならあり得ないことはない。
「娯楽施設って、要するに賭場か。俺はギャンブルをやらない主義だから縁はなさそうだな」
「実は……そうでもないんだ。ここの目玉イベント『闘技場』で上位入賞すれば、豪華特典に厳選された高級食材百kg贈呈されるんだよ!」
キシャナがシェーナに娯楽施設を案内したのは何となく察しが付いた。
シェーナが『闘技場』に参加して高給食材を手に入れさせるためだ。
やんわり断ろうとするシェーナを制して、キシャナは綺麗な土下座をして頼み込む。
「どうか食材のために参加をお願いします! 神様、仏様、シェーナ様!」
「ちょっ……こんな公衆の面前で土下座はやめろ」
「参加してくれたら、今日はシェーナのために一肌脱ぐよ」
「脱いでも参加はしないよ。そういう面前の大会に出場したら、俺の素性がハシェル国に伝わるかもしれない。あまり波風が立つようなことはしたくない」
下手に自分の名が知れ渡れば、ハシェル国に強制送還されるかもしれない。
そうなれば、お咎めがウラバルト家に及んでしまうことは必至だ。
シェーナは心を鬼にして参加はしないつもりだ。
「……ごめん。シェーナの迷惑を考えないで無茶なことをお願いしたな」
「分かってくれたらいいんだよ。それに高級食材よりキシャナとこうして一緒にいる方が俺は幸せだよ」
周囲の目がシェーナとキシャナに集まり、ダークエルフをいたぶる女騎士と噂になってはたまったものではない。
キシャナをゆっくり立ち上がらせると、説得に応じてくれて助かった。
この場から立ち去ろうとした時に、荒くれの冒険者がシェーナ達に絡んできた。
「そこのお二人さん。お困りなら俺が相談に乗るぜぇ?」
「いえ、解決しましたのでお気遣いなく……行こう、キシャナ」
シェーナはキシャナの手を引っ張ると、それを逃さずに荒くれの冒険者は立ち塞がる。
「それならよぉ。酒の相手をしてくれねぇかな? そのままベッドの相手をしてくれても一向に構わないぜ」
下卑た顔で話をする荒くれ者の冒険者を無視すると、激昂して腰の鞘から剣を抜く。
シェーナは荒くれ者の冒険者の鳩尾に拳打を放つと、斬りかかろうとした剣は主人の手から離れて床に落ちる。
「まだ続けるか?」
拳を構えて見下ろすシェーナを荒くれ者の冒険者は恐れをなして、その場から引き下がった。
シェーナの背後で心配そうに見守るキシャナは恐怖で震えていた。
「ほら、もう大丈夫だ。さっさと行くぞ」
「……うん。助けてくれてありがとう」
震える身体を抑えるために、シェーナはキシャナの手を差し伸べる。
目立った行動を取ってしまったことに反省して、二人は娯楽施設の出入口から退散しようとした時、一人の剣士に呼び止められた。
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