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第79話 好感度の数値化
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受付の順番が回ってくると、受付嬢に必要な書類を提出して申請が通るまで二人は椅子に腰を掛けて待機する。
「こうして二人で話していると、周囲からどんな風に見られていると思います?」
「……さあな。そんなこと意識して考えていなかったから」
「シェーナさんは美人ですから、人目を惹いて目立っていますよ。男性の視線は勿論ですが女性からも目に留まって、一緒にいる女性は羨ましいなと」
「人の心を盗み聞きするのは感心しないぞ。それにペトラも美人だろ」
ペトラが神様と言う立場上、シェーナは心を読めることに別段驚かなった。
シェーナの性別や容姿について他者から見れば贅沢な悩みかもしれないが、本人にとっては苦労の連続だった。特に思春期を迎える頃は女性らしい肉体と容姿が備わっていくことに動揺して、神様を恨んだりした時期もあった。
その神様が目の前に現れると、罵声や怒りをぶつけても心に虚しさしか残らなかった。
ペトラが懸命に尽くそうと努力しているのはシェーナやキシャナに伝わっているので、今できることは現状を受け入れるしかない。
「他人の心を読むのは神様の特権ですよ。いざ願い事を叶えようとした時に相手の考えが分からないと、困るじゃありませんか。シェーナさんやキシャナさんの心も私は理解しているつもりですし、私に対するお怒りの気持ちは分かります」
「……なるべく他人の心は読まないようにしてくれ。人は誰しも聞かれたくない秘密を胸に閉まっている」
神界では仕事上の都合で仕方ないかもしれないが、地上にいる間はシェーナやキシャナの支援が目的であって、その間に他人の心を盗み聞きされるのは気分が悪い。
「分かりました。そういうことでしたら控えるようにします。シェーナさんのために好感度を数値化したグラフを用意していたのですが、それも破棄します」
「好感度を数値化?」
「ええ、シェーナさんに対する好感度を数値化したグラフです。こういう分析は神界の事務作業で得意なんですよ」
まるで恋愛ゲームみたいだなとシェーナは思う。
自分の好感度について興味はないと言ったら嘘になるが、覗いてみたい気持ちはある。
「そのグラフってすぐに見れる物なの?」
「ここでは目立つので、シェーナさんの自室でモニターしますよ」
「……後で誰もいなくなった食堂でこっそり頼むよ」
「了解しました。二人だけの秘密ですね」
悩んだ末に、シェーナは自身の好感度を確かめることにした。
それを参考に今後から人の接し方を考える良い機会かもしれない。
「シェーナさんって堅物の女性かと思いましたが、意外とノリがいいですね」
「前世を引きずっている堅物のオッサンだよ」
「すみません。嫌な事を思い出させて……」
「そこは笑って流してくれ。うっかり女神様」
「ははっ、そんな風に呼ばれたのは生まれて初めてですよ。否定できないのが辛いですね」
シェーナの口元が綻びると、それに釣られてペトラは笑みを浮かべる。
緊張も良い感じで解れたようなので、これなら大丈夫だろう。
受付嬢がペトラの名前を呼び出すと、書類を広げて待ち構える。
シェーナはペトラの背中を押して、書類の審査に臨んだ。
「こうして二人で話していると、周囲からどんな風に見られていると思います?」
「……さあな。そんなこと意識して考えていなかったから」
「シェーナさんは美人ですから、人目を惹いて目立っていますよ。男性の視線は勿論ですが女性からも目に留まって、一緒にいる女性は羨ましいなと」
「人の心を盗み聞きするのは感心しないぞ。それにペトラも美人だろ」
ペトラが神様と言う立場上、シェーナは心を読めることに別段驚かなった。
シェーナの性別や容姿について他者から見れば贅沢な悩みかもしれないが、本人にとっては苦労の連続だった。特に思春期を迎える頃は女性らしい肉体と容姿が備わっていくことに動揺して、神様を恨んだりした時期もあった。
その神様が目の前に現れると、罵声や怒りをぶつけても心に虚しさしか残らなかった。
ペトラが懸命に尽くそうと努力しているのはシェーナやキシャナに伝わっているので、今できることは現状を受け入れるしかない。
「他人の心を読むのは神様の特権ですよ。いざ願い事を叶えようとした時に相手の考えが分からないと、困るじゃありませんか。シェーナさんやキシャナさんの心も私は理解しているつもりですし、私に対するお怒りの気持ちは分かります」
「……なるべく他人の心は読まないようにしてくれ。人は誰しも聞かれたくない秘密を胸に閉まっている」
神界では仕事上の都合で仕方ないかもしれないが、地上にいる間はシェーナやキシャナの支援が目的であって、その間に他人の心を盗み聞きされるのは気分が悪い。
「分かりました。そういうことでしたら控えるようにします。シェーナさんのために好感度を数値化したグラフを用意していたのですが、それも破棄します」
「好感度を数値化?」
「ええ、シェーナさんに対する好感度を数値化したグラフです。こういう分析は神界の事務作業で得意なんですよ」
まるで恋愛ゲームみたいだなとシェーナは思う。
自分の好感度について興味はないと言ったら嘘になるが、覗いてみたい気持ちはある。
「そのグラフってすぐに見れる物なの?」
「ここでは目立つので、シェーナさんの自室でモニターしますよ」
「……後で誰もいなくなった食堂でこっそり頼むよ」
「了解しました。二人だけの秘密ですね」
悩んだ末に、シェーナは自身の好感度を確かめることにした。
それを参考に今後から人の接し方を考える良い機会かもしれない。
「シェーナさんって堅物の女性かと思いましたが、意外とノリがいいですね」
「前世を引きずっている堅物のオッサンだよ」
「すみません。嫌な事を思い出させて……」
「そこは笑って流してくれ。うっかり女神様」
「ははっ、そんな風に呼ばれたのは生まれて初めてですよ。否定できないのが辛いですね」
シェーナの口元が綻びると、それに釣られてペトラは笑みを浮かべる。
緊張も良い感じで解れたようなので、これなら大丈夫だろう。
受付嬢がペトラの名前を呼び出すと、書類を広げて待ち構える。
シェーナはペトラの背中を押して、書類の審査に臨んだ。
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