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第96話 エルフの里 四人目?
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グラナはルトルスとペトラに白い目で見られると、シェーナは気分一新するために行列ができている一団を指差した。
「あなたの運命を占います。健康、仕事、恋愛に悩んでいるそこのあなた! 私が解決して差し上げます」
シェーナは仰々しい立札を読み上げると、並んでいる客層は女性が多い。
前世で占いの類は女性に需要が多かったが、これは異世界でも同様のようだ。
「占いでしたら、私の同期で運命を司る女神に頼みましょうか? 都合の悪い運命は調整もできるので便利ですよ」
ペトラはさらりと恐ろしいことを言うが、それはやめておくよと丁寧に断る。
仮に本職の女神に占ってもらって、挫折するような出来事を告げらたりしたら立ち直れそうもないし、安易に運命をいじったりしたら、その分は代償を要求されるかもしれない。
「記念に占っていこう。行列になるぐらいだから、きっと的中率も高いのだろう」
シェーナは皆を列に並ばせると、乗り気じゃなかったペトラも渋々了承する。
ルトルスに至っては占いが初めての経験らしいので、シェーナは軽く占いについて説明をすると、「そんなことが可能なのか」と驚きの声を上げた。
占い師の力量によって様々だが、これだけ盛況なら期待できそうだ。
シェーナは何気なくどんな占いを聞くのか参考までに訊ねた。
「楽しみだなぁ。皆はどんな事を占う?」
「色々悩むが、仕事についてかな。シェーナ達と一緒に料理を作っていけるかどうか」
「私は恋愛ですかね。職場の上司や先輩は論外なんで、素敵な出会いがあるかどうか知りたいです」
「明日の天気でも占ってもらおうかな」
ルトルスは仕事、ペトラは恋愛、グラナは占いに興味はなさそうだ。
「先輩、明日は晴れます。神界で確認取れましたので、よかったですね」
「……そんな冷ややかな眼で報告しなくてもいいだろ。それに、お前の恋愛占いも中二病拗らせた元剣士の女神に惚れる男を見つけるなんて無理だ」
「同人誌をサンドイッチにする先輩の意見なんて参考になりませんよ」
ペトラは杖を召喚すると、神界に明日の天気を聞き出したようだ。
会場で暴れたペトラを好きになる男は苦労するだろうなと思うし、サンドイッチにするグラナも女性関係には苦労するだろうなとシェーナは思う。
「まあまあ、グラナも悪気はなかったと思うし、ルトルスもペトラもそろそろ機嫌を直して」
「シェーナさんはサンドイッチを容認するのですか! まさかシェーナさんもサンドイッチを実行して……」
「ば……馬鹿!? そんな訳ないだろ! さっき買った漫画はファンタジー漫画だよ」
ペトラがシェーナに疑いの目を向けると、シェーナは先程買った漫画を広げて証明する。
仲裁に入ろうとした結果、まさかの飛び火。
「遊んでないで、次は私達の番だぞ」
ルトルスは冷静に順番が回ってきたことを知らせると、占い師がいる館に通される。
館内はロウソクを灯しているが薄暗く、まだ外は陽が出ているのにカーテンを閉め切っている。お香のような物を焚いており、それらしい雰囲気を醸し出している。
「ようこそ。麗しいお嬢様が四人もいらっしゃるとは光栄です。順番に占って差し上げましょう」
占い師はとんがり帽子と黒ドレスを着込んだ魔女のような風貌で、長耳で褐色肌が特徴的な女ダークエルフが、シェーナ達を出迎えてくれた。
そういえば、キシャナも初めて出会った時に占い師をやっていた。
ダークエルフは占い師を生業にする何かがあるのかと思いながら、シェーナから占ってもらうことにする。
占い師はシェーナをじっと見つめると、何かブツブツと呪文のような事を唱える。
「聡明なお嬢様ですね。恋愛は男性や女性からも惹かれて縁がある。仕事も仲間に恵まれて順調に財を貯えるでしょう。ですが、一つだけ気になる点がございます。お嬢様は人には言えない秘密を隠している。あなたを含めて……四人だ。エルフとダークエルフがお嬢様と同じ秘密を共有していますが、もう一人います」
「えっ!?」
シェーナは思わず目を見開いて驚く。
占い師は続けて言葉にする。
「お嬢様と同じ境遇の者が四人いますが、近い未来に四人は揃って出会うことでしょう」
シェーナが人に言えない秘密と言えば、異世界転生だ。
シェーナ、キシャナ、サリーニャの三人が異世界転生している。
占い師の占いが本当なら、あと一人異世界転生している者がいる。
思わぬ場所で驚愕の事実を突き付けられたが、シェーナはペトラに視線を移すと同じく驚いている。
「その秘密にしている者の名前は分かりますか?」
「名前は分かりませんが、種族はお嬢様と同じく人間の女性ですね」
シェーナは前のめりになって占い師に四人目の異世界転生している者の名前を伺うが、人物像が人間の女性であることまでしか分からないらしい。
「占いは以上です。お嬢様に素敵な出会いが訪れるようにお祈りいたします」
「あなたの運命を占います。健康、仕事、恋愛に悩んでいるそこのあなた! 私が解決して差し上げます」
シェーナは仰々しい立札を読み上げると、並んでいる客層は女性が多い。
前世で占いの類は女性に需要が多かったが、これは異世界でも同様のようだ。
「占いでしたら、私の同期で運命を司る女神に頼みましょうか? 都合の悪い運命は調整もできるので便利ですよ」
ペトラはさらりと恐ろしいことを言うが、それはやめておくよと丁寧に断る。
仮に本職の女神に占ってもらって、挫折するような出来事を告げらたりしたら立ち直れそうもないし、安易に運命をいじったりしたら、その分は代償を要求されるかもしれない。
「記念に占っていこう。行列になるぐらいだから、きっと的中率も高いのだろう」
シェーナは皆を列に並ばせると、乗り気じゃなかったペトラも渋々了承する。
ルトルスに至っては占いが初めての経験らしいので、シェーナは軽く占いについて説明をすると、「そんなことが可能なのか」と驚きの声を上げた。
占い師の力量によって様々だが、これだけ盛況なら期待できそうだ。
シェーナは何気なくどんな占いを聞くのか参考までに訊ねた。
「楽しみだなぁ。皆はどんな事を占う?」
「色々悩むが、仕事についてかな。シェーナ達と一緒に料理を作っていけるかどうか」
「私は恋愛ですかね。職場の上司や先輩は論外なんで、素敵な出会いがあるかどうか知りたいです」
「明日の天気でも占ってもらおうかな」
ルトルスは仕事、ペトラは恋愛、グラナは占いに興味はなさそうだ。
「先輩、明日は晴れます。神界で確認取れましたので、よかったですね」
「……そんな冷ややかな眼で報告しなくてもいいだろ。それに、お前の恋愛占いも中二病拗らせた元剣士の女神に惚れる男を見つけるなんて無理だ」
「同人誌をサンドイッチにする先輩の意見なんて参考になりませんよ」
ペトラは杖を召喚すると、神界に明日の天気を聞き出したようだ。
会場で暴れたペトラを好きになる男は苦労するだろうなと思うし、サンドイッチにするグラナも女性関係には苦労するだろうなとシェーナは思う。
「まあまあ、グラナも悪気はなかったと思うし、ルトルスもペトラもそろそろ機嫌を直して」
「シェーナさんはサンドイッチを容認するのですか! まさかシェーナさんもサンドイッチを実行して……」
「ば……馬鹿!? そんな訳ないだろ! さっき買った漫画はファンタジー漫画だよ」
ペトラがシェーナに疑いの目を向けると、シェーナは先程買った漫画を広げて証明する。
仲裁に入ろうとした結果、まさかの飛び火。
「遊んでないで、次は私達の番だぞ」
ルトルスは冷静に順番が回ってきたことを知らせると、占い師がいる館に通される。
館内はロウソクを灯しているが薄暗く、まだ外は陽が出ているのにカーテンを閉め切っている。お香のような物を焚いており、それらしい雰囲気を醸し出している。
「ようこそ。麗しいお嬢様が四人もいらっしゃるとは光栄です。順番に占って差し上げましょう」
占い師はとんがり帽子と黒ドレスを着込んだ魔女のような風貌で、長耳で褐色肌が特徴的な女ダークエルフが、シェーナ達を出迎えてくれた。
そういえば、キシャナも初めて出会った時に占い師をやっていた。
ダークエルフは占い師を生業にする何かがあるのかと思いながら、シェーナから占ってもらうことにする。
占い師はシェーナをじっと見つめると、何かブツブツと呪文のような事を唱える。
「聡明なお嬢様ですね。恋愛は男性や女性からも惹かれて縁がある。仕事も仲間に恵まれて順調に財を貯えるでしょう。ですが、一つだけ気になる点がございます。お嬢様は人には言えない秘密を隠している。あなたを含めて……四人だ。エルフとダークエルフがお嬢様と同じ秘密を共有していますが、もう一人います」
「えっ!?」
シェーナは思わず目を見開いて驚く。
占い師は続けて言葉にする。
「お嬢様と同じ境遇の者が四人いますが、近い未来に四人は揃って出会うことでしょう」
シェーナが人に言えない秘密と言えば、異世界転生だ。
シェーナ、キシャナ、サリーニャの三人が異世界転生している。
占い師の占いが本当なら、あと一人異世界転生している者がいる。
思わぬ場所で驚愕の事実を突き付けられたが、シェーナはペトラに視線を移すと同じく驚いている。
「その秘密にしている者の名前は分かりますか?」
「名前は分かりませんが、種族はお嬢様と同じく人間の女性ですね」
シェーナは前のめりになって占い師に四人目の異世界転生している者の名前を伺うが、人物像が人間の女性であることまでしか分からないらしい。
「占いは以上です。お嬢様に素敵な出会いが訪れるようにお祈りいたします」
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