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60.微酔いの約束
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仕事が終わった後、私は護衛に付き従われて「猛牛の舌」へと向かった。ちょうど夕暮れ時で、様々な色が空を複雑に塗り分けていた。橙に赤、紫、それから群青色に黒。雲が多いせいか今日の空は普段の夕暮れと違って何となく不気味な色合いだ。縁起を担ぐ方ではない私の目にも、何だか禍々しく見えた。この変な空模様は、嵐の前触れか何かだろうか。
店に入ると、まだ時間が早いためかそれほど混み合ってはいなかった。裸電球が照らす飾り気のない店の奥、木目の波打つごつごつした一枚板のテーブルには既にガンザー伯爵の姿があった。伯爵はとにかく目立つので、どこにいてもすぐに見つかる。まず座っていても大きいし、有り余るほどの迫力と個性があるからだ。
ツンツンと逆立っている赤銅色の髪は炎のようで、彫りが深く眉骨が前にぐっとせり出しているためアイアンブルーの目にはいつも影が落ちている。そして髪の生え際から眉間にかけて斜めに走る大きな刀傷があり、おまけに片腕が無い。残虐さで知られる隣国の少数民族が攻めて来たときの防衛戦で大怪我を負ったためだ。それでも伯爵は前線に留まり、指令として戦いを続けた。辛くも勝利を収めた後は、指導役として軍に残ってくれるよう皆が請う中あっさり引退した。近頃は領地に新しく病院や孤児院をつくったりと忙しくしているようだ。
美形とは違うと思うが、私はガンザー伯爵の頑健な見た目を格好良いと思っている。年齢の割には話し方がお爺っぽいのも、落ち着くからという理由で軍服風の格好をしているのも伯爵に似合っている。豪快な性格も相まって初めは怖い人なのかと思ったが、話が合うし飲み仲間としても最高なのだ。
私がテーブルに着くや否や、ガンザー伯爵は私の後ろに控えていた護衛を王宮に帰した。
「ご苦労である、後は儂に任せて帰るが良い。王宮に戻ったら、エマはこのゴルドン・ガンザーが安全に送り届けると約束したと報告せよ」
キラキラとした尊敬の眼差しでガンザー伯爵を見つめていた護衛は、少し名残惜しそうに敬礼して去って行った。
伯爵は窓の外をちらりと見た。
「…妙な空だ、荒れるかもしれぬな。帰りが遅くならぬようにしようぞ」
そう言っておきながら、伯爵はウエイトレスを呼んであれやこれやと注文を始めた。タンの燻製、チーズの盛り合わせ、ハラペーニョのピクルス、タコのフリッター、オニオンとポテトのフライ、炭火焼きの厚切りタン、そして名物のタンシチュー。それからビールをピッチャーで。
「…早めに帰る気あります?」
「む?…うむ、まあ大丈夫だろう。おそらく2時間ほどは天気も保つであろうて」
天気を読むことに長けている伯爵がそう言うなら、おそらく大丈夫なのだろう。私たちはビールをなみなみと注いだ大きなジョッキで乾杯し、一杯目をゴクゴクと飲み干した。
「ぷはー!」
私は幸せのため息をついた。仕事終わりの乾いた身体に、黄金の麦酒が染み渡る。伯爵が注いでくれたお代わりを、私はありがたくお受けした。
「相変わらず良い飲みっぷりであるな!しかしこういう店が似合う上級侍女というのも珍しい。おぬし、ここで飲み食いしていて叱られはせぬか?」
「誘っておいて何を…。まあ、侍女長にバレたら叱られるかもしれません。でもその時は、全てガンザー伯爵のせいにいたします」
「くわばらくわばら。告げ口する無粋者がいないと信じたいわい」
私と伯爵はずらりと並んだアテをつまみながらビールを飲んだ。そうしながらも、私には気がかりなことがあった。
「私がこんな風に呑気に食べたり飲んだりして楽しんでいる間も、故郷の民は…」
「まあまあ、そう気にするでない。ユリシーズ領に国王陛下の監査団が遣わされ、状況は一時よりかなりましになっておる。ユリシーズ伯爵家は一切の運営権を取り上げられた。民への徴税も今は一旦取り止められたし、王宮からの支援も受けられて民は喜んでおるようだぞ」
「そうなのですか、良かったです。少し安心いたしました。ですがきっとこれからが大変ですし、領民の今後を思えば早く基盤を立て直さなければ…」
伯爵は片眉を上げ、私を見た。
「おぬしが担うつもりか?しかし、王妃殿下はエマを主席侍女になさりたいそうではないか。特別名誉なことだし、お受けするのだろう?」
「そのことなのですが、お暇をいただくつもりでいます。勿体ないお話ですけれど、私は伯爵となって民のために尽くしたいと思っております」
「なんと…誠か?」
「はい。ただ…私は領地経営のことについてほとんど何も知りません。ですので、是非ともガンザー伯爵の力をお借りしたいのです。エルネストおじさまが手助けすると言ってくださいましたが、辺境は遠く、気軽に会いに行ける距離ではありません。ですが、ガンザー伯爵領とユリシーズ伯爵領は隣り合わせです。お忙しいとは思いますが、色々とご教授願えませんでしょうか?」
伯爵はブルブルと胴震いした。筋肉の鎧に覆われた腹がテーブルに当たって、皿やらナイフやらがカチャカチャ鳴った。
「よくぞ言った、エマ!儂は今、猛烈に感動しておるぞ。ご先祖の御霊も喜んでおられることだろう。民もそなたに代替わりするなら喜ぶだろうし、協力してくれるだろう。…ふむ、しかし…それなら……いや……」
ガンザー伯爵がなにやら逡巡し始めた。
「どうなさったのですか?何か差し障りがあるのでしょうか。遠慮なくおっしゃってください」
「いや何、実は考えていたことがあってな。しかし、これまでは単なる儂の妄想に留めておいたのだ。こんなことを提案してはそなたは嫌がるかも知れぬし、エルネストの御仁はお怒りになるかもしれぬ…」
「いいからおっしゃってくださいませ、気になりますわ」
そう言って私はビールを煽り、運ばれて来たばかりのタンシチューを食べ始めた。たっぷりの煮込み野菜と赤ワインが溶け込んだ濃厚なシチュー、そして口の中でほろりとほどける牛タンの持つ極上の旨味が直接私の脳内に働きかけて幸福物質を大放出させる。めちゃくちゃ美味しい。すでにビールでご機嫌になっているため、もう頭の中はパーティーだ。ああ、この絶品タンシチューをテオドールにも食べさせてあげたい。いくら王都が苦手でも、このお店は絶対気に入るはずだ。
ガンザー伯爵がなかなか話し出さないので、私はそんなおめでたいことを考えていた。伯爵が咳払いしたので見上げると、ひどく緊張した面持ちで上体を屈め、ひそひそと話しかけてきた。その内容に私は仰天した。
「えええええっ!?」
脳内パーティーは強制終了となった。伯爵は赤くなっていた。ビールのせいではない。なぜならこの人はザルだからだ。
「驚くのは分かるが、エマ…悪い話ではないと思わんか?つまりその、そなたのためにも、ユリシーズ領のためにもという意味だが」
「…そうですね、確かにそうかもしれません。これまで、考えたこともありませんでしたけれど…」
「急な話だ、今ここで返事せよとは言わぬ。だが、儂は明後日にはもう王都を立つ。それまでに返事が欲しい」
「いいえ、伯爵。お受けいたします。不束者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
「待て待て待て!おぬしは今、酒も入って判断が鈍っておるだろうよ!」
「いいえ、酔っていようが素面だろうがこれは願ってもいないご提案ですわ」
私はそう断言し、宣言した。
「私、エマ・ヘスティア・ガンザーになります。良い名ですわ、気に入りました」
「おいおいおい!」
伯爵は大慌てだったが、私は何故か無性に楽しくてけらけらと笑った。こんなに楽しい気持ちで迷いなく決めたのだから、後悔はしないだろう。少しだけ寂しい気もするが、きっとこれで良いのだ。
店に入ると、まだ時間が早いためかそれほど混み合ってはいなかった。裸電球が照らす飾り気のない店の奥、木目の波打つごつごつした一枚板のテーブルには既にガンザー伯爵の姿があった。伯爵はとにかく目立つので、どこにいてもすぐに見つかる。まず座っていても大きいし、有り余るほどの迫力と個性があるからだ。
ツンツンと逆立っている赤銅色の髪は炎のようで、彫りが深く眉骨が前にぐっとせり出しているためアイアンブルーの目にはいつも影が落ちている。そして髪の生え際から眉間にかけて斜めに走る大きな刀傷があり、おまけに片腕が無い。残虐さで知られる隣国の少数民族が攻めて来たときの防衛戦で大怪我を負ったためだ。それでも伯爵は前線に留まり、指令として戦いを続けた。辛くも勝利を収めた後は、指導役として軍に残ってくれるよう皆が請う中あっさり引退した。近頃は領地に新しく病院や孤児院をつくったりと忙しくしているようだ。
美形とは違うと思うが、私はガンザー伯爵の頑健な見た目を格好良いと思っている。年齢の割には話し方がお爺っぽいのも、落ち着くからという理由で軍服風の格好をしているのも伯爵に似合っている。豪快な性格も相まって初めは怖い人なのかと思ったが、話が合うし飲み仲間としても最高なのだ。
私がテーブルに着くや否や、ガンザー伯爵は私の後ろに控えていた護衛を王宮に帰した。
「ご苦労である、後は儂に任せて帰るが良い。王宮に戻ったら、エマはこのゴルドン・ガンザーが安全に送り届けると約束したと報告せよ」
キラキラとした尊敬の眼差しでガンザー伯爵を見つめていた護衛は、少し名残惜しそうに敬礼して去って行った。
伯爵は窓の外をちらりと見た。
「…妙な空だ、荒れるかもしれぬな。帰りが遅くならぬようにしようぞ」
そう言っておきながら、伯爵はウエイトレスを呼んであれやこれやと注文を始めた。タンの燻製、チーズの盛り合わせ、ハラペーニョのピクルス、タコのフリッター、オニオンとポテトのフライ、炭火焼きの厚切りタン、そして名物のタンシチュー。それからビールをピッチャーで。
「…早めに帰る気あります?」
「む?…うむ、まあ大丈夫だろう。おそらく2時間ほどは天気も保つであろうて」
天気を読むことに長けている伯爵がそう言うなら、おそらく大丈夫なのだろう。私たちはビールをなみなみと注いだ大きなジョッキで乾杯し、一杯目をゴクゴクと飲み干した。
「ぷはー!」
私は幸せのため息をついた。仕事終わりの乾いた身体に、黄金の麦酒が染み渡る。伯爵が注いでくれたお代わりを、私はありがたくお受けした。
「相変わらず良い飲みっぷりであるな!しかしこういう店が似合う上級侍女というのも珍しい。おぬし、ここで飲み食いしていて叱られはせぬか?」
「誘っておいて何を…。まあ、侍女長にバレたら叱られるかもしれません。でもその時は、全てガンザー伯爵のせいにいたします」
「くわばらくわばら。告げ口する無粋者がいないと信じたいわい」
私と伯爵はずらりと並んだアテをつまみながらビールを飲んだ。そうしながらも、私には気がかりなことがあった。
「私がこんな風に呑気に食べたり飲んだりして楽しんでいる間も、故郷の民は…」
「まあまあ、そう気にするでない。ユリシーズ領に国王陛下の監査団が遣わされ、状況は一時よりかなりましになっておる。ユリシーズ伯爵家は一切の運営権を取り上げられた。民への徴税も今は一旦取り止められたし、王宮からの支援も受けられて民は喜んでおるようだぞ」
「そうなのですか、良かったです。少し安心いたしました。ですがきっとこれからが大変ですし、領民の今後を思えば早く基盤を立て直さなければ…」
伯爵は片眉を上げ、私を見た。
「おぬしが担うつもりか?しかし、王妃殿下はエマを主席侍女になさりたいそうではないか。特別名誉なことだし、お受けするのだろう?」
「そのことなのですが、お暇をいただくつもりでいます。勿体ないお話ですけれど、私は伯爵となって民のために尽くしたいと思っております」
「なんと…誠か?」
「はい。ただ…私は領地経営のことについてほとんど何も知りません。ですので、是非ともガンザー伯爵の力をお借りしたいのです。エルネストおじさまが手助けすると言ってくださいましたが、辺境は遠く、気軽に会いに行ける距離ではありません。ですが、ガンザー伯爵領とユリシーズ伯爵領は隣り合わせです。お忙しいとは思いますが、色々とご教授願えませんでしょうか?」
伯爵はブルブルと胴震いした。筋肉の鎧に覆われた腹がテーブルに当たって、皿やらナイフやらがカチャカチャ鳴った。
「よくぞ言った、エマ!儂は今、猛烈に感動しておるぞ。ご先祖の御霊も喜んでおられることだろう。民もそなたに代替わりするなら喜ぶだろうし、協力してくれるだろう。…ふむ、しかし…それなら……いや……」
ガンザー伯爵がなにやら逡巡し始めた。
「どうなさったのですか?何か差し障りがあるのでしょうか。遠慮なくおっしゃってください」
「いや何、実は考えていたことがあってな。しかし、これまでは単なる儂の妄想に留めておいたのだ。こんなことを提案してはそなたは嫌がるかも知れぬし、エルネストの御仁はお怒りになるかもしれぬ…」
「いいからおっしゃってくださいませ、気になりますわ」
そう言って私はビールを煽り、運ばれて来たばかりのタンシチューを食べ始めた。たっぷりの煮込み野菜と赤ワインが溶け込んだ濃厚なシチュー、そして口の中でほろりとほどける牛タンの持つ極上の旨味が直接私の脳内に働きかけて幸福物質を大放出させる。めちゃくちゃ美味しい。すでにビールでご機嫌になっているため、もう頭の中はパーティーだ。ああ、この絶品タンシチューをテオドールにも食べさせてあげたい。いくら王都が苦手でも、このお店は絶対気に入るはずだ。
ガンザー伯爵がなかなか話し出さないので、私はそんなおめでたいことを考えていた。伯爵が咳払いしたので見上げると、ひどく緊張した面持ちで上体を屈め、ひそひそと話しかけてきた。その内容に私は仰天した。
「えええええっ!?」
脳内パーティーは強制終了となった。伯爵は赤くなっていた。ビールのせいではない。なぜならこの人はザルだからだ。
「驚くのは分かるが、エマ…悪い話ではないと思わんか?つまりその、そなたのためにも、ユリシーズ領のためにもという意味だが」
「…そうですね、確かにそうかもしれません。これまで、考えたこともありませんでしたけれど…」
「急な話だ、今ここで返事せよとは言わぬ。だが、儂は明後日にはもう王都を立つ。それまでに返事が欲しい」
「いいえ、伯爵。お受けいたします。不束者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
「待て待て待て!おぬしは今、酒も入って判断が鈍っておるだろうよ!」
「いいえ、酔っていようが素面だろうがこれは願ってもいないご提案ですわ」
私はそう断言し、宣言した。
「私、エマ・ヘスティア・ガンザーになります。良い名ですわ、気に入りました」
「おいおいおい!」
伯爵は大慌てだったが、私は何故か無性に楽しくてけらけらと笑った。こんなに楽しい気持ちで迷いなく決めたのだから、後悔はしないだろう。少しだけ寂しい気もするが、きっとこれで良いのだ。
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