3 / 9
突然の悪寒!夢じゃないとか怖すぎ
しおりを挟む始発で来たとしても、大体の社員が揃っていることにゾッとしながら
納期間近の仕事を片していく
「はよございまーす」
やる気のない挨拶で
出社ギリギリの時刻に五條 雅隆はやってくる
ブランド物であろうスーツを着こなし、天使の輪が艷めく黒髪を少量のワックスで遊ばせ、仏人の血を引いている顔はモデルが顔負けするほど整っている
そんな彼は同期として仕事はできるがやらない人
伊藤課長がいた頃はそれはもう柴犬のようについて回っていたのに
今の上司になってから、彼もまた変わってしまった
「はよ、田中」
「五條くん、おはよう」
そんな彼は陰キャな私にも分け隔てなく接してくれる数少ない同僚である
隣あったデスクの横へ五條は腰掛けると黒のお洒落なビジネスバックの中を探りだした
そして目当てのものをつかんだのか
私の方へ微笑みを向け
何か掴んでいる手を私に差し出した
「田中これやるよ」
「わっ!これって、限定版プリキュエのはるかちゃんじゃない!どうしたの??」
私の手の中に落とされた一つのキーホルダーは毎週日曜に放送しているアニメのヒロインだ
放送当初からのファンで私の変身姿は彼女に似た衣装にしていた
ピンクのフリルをふんだんに使ったそれは普段の私なら着れない
密かに魔法少女の威を借りて堂々とコスプレできていたのでそれなりに魔法少女を満喫していた
「あー、妹がくれたんだけど俺興味ないし、田中ってオタクだろ?そういうの好きなんじゃないかと思って、、、」
「ありがとう!すごく嬉しい、でも本当にいいの?妹ちゃんがくれたやつでしょ?」
気持ちは嬉しいが、それでは妹ちゃんが報われないのではないか
キーホルダーから視線を外し、五條を見上げるとやっぱりバツの悪そうな顔をしている
社内でぼっち活動をしている私を哀れんでの行動からそうなってしまったのだろう
心苦しいがこれは返そう
手に握っていたキーホルダーを五條の手の中に返すと驚いたように目を見開き私を凝視した
「あ、いや妹じゃ、、、とにかくこれ田中にやるって!」
「いやいや、悪いって、妹ちゃんプリキュエ好きだからきっとお兄さんにも分けてあげたかったんだよ、だから、いっつ!!」
五條と押し問答していると、不意に手首を握られびりりとした痛みが走った
「わりぃ、痛かったか、、、ってなんだこれ!」
私のスーツの袖をまくりだす五條、露わになった手首にはくっきり指の跡が付いていた
今さっき握られたものじゃない、けど手首をこんな強く握られた記憶、、、、
「夢じゃ、なかった、、、」
「夢?」
昨夜の記憶がもし夢でなく、本当のことだったら
ぞっと背筋に悪寒が走った
生々しく残る赤い内出血の痕が昨夜の男の顔をちらつかせた
「な、なんでもないの!これは、最近始めたヨガがあまりにもハードでちょっとしたかすり傷だから、大げさに声上げてごめんね気にしないで、さっ!新入社員が来る前に仕事終わらせなきゃ、必要な資料取ってくるね」
下手な言い訳だと自分でも思う
ヨガでこんな痕つくわけないのに、もうちょっとましな嘘ぐらいつけたらよかった
それでもこれ以上詮索されるよりはマシだ
私にストーカーが付いていた、襲われそうになったなんて、痛い女だと思われてしまう
是非ともそれは避けたい、ただでさえオタク女として浮いているのに
逃げるように自分のデスクから離れ資料室へと足を運んだ
「夢じゃないとして、あの天井は一体、、、まさか本当に魔王だったりして、、はは」
もう乾いた笑みしかでてこない
学生時代から何度も顔を合わせ互いに罵り合いながら戦い続けた魔王とは
なんというか腐れ縁なのだ
魔王と魔法少女になるずっと前からの、、、
0
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる