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労力演算とコミュニケーション依存の提携
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労力演算は、生物が必ず備えている本能である。ごく単純なエネルギーの勘定だ。
子供の頃はひとりでは何もできないので、保護者がいろいろと世話をする。
子供はそれを見て、好奇心が起これば自分でやろうとするが、すべてにおいてそうなるわけではないから、いつまでも保護者任せにしてしまうものも多い。
衣服の脱ぎ着や食事などがそうであろう。複雑で、すぐには習得できない。
ここで労力演算が働くと、保護者にやってもうらう方が楽、という結論を出す。自分でやるメリットなどあまりない、と判断する。親に一言、やってと頼むだけなのだから楽だ。
しかし社会的にはそうはいかない。いずれ自立するためには、身の回りのことは自分でできないといけない。
親はそう思い、子供の自我ができてきた頃から、とたんに厳しくなる。それが愛だ。
しかし、労力演算の完了した子供は、納得しない。昨日まではやってくれたのになぜ、と抵抗する。
親は、ひとりでできる方が偉いのだ、とかなんとか言って強要する。終いには叱り付ける。
ここでコミュニケーション依存が働く。
親を怒らせると、幼い子供は生命の危機を感じる。
食事も居場所も、自分一人では確保できないことを知っている。
斯くして、親の言っている意味は分からないけども、とりあえずがんばって服を着たり箸を使ったりしてみることになる。頭も身体もおっつかなくて疲れるが、やらないと親は機嫌を直さないので必死でやる。親を怒らせた場合の方が、労力がかかると計算するのだ。
これが、二つの力の関係である。
労力演算が極端にならないように、コミュニケーション依存の効果を使っていく。バランサーとしては最適なのだ。
そしてそれは本来なら、一人前に成長してしまえば不要になる力関係なのだが、最初は小さかったコミュニケーション依存の力が、いつしか労力演算を凌ぐくらいに肥大してしまい、人格のほとんどを支配してしまう。
われわれは概ね全員、そのまま年を取って終わる。
なぜなのだろう?
コミュニケーション依存が放棄できないのは、仕様上の欠陥のように感じられてならない。
あるいは、文明を持つ程に発達した知的生命体も、まだここまで以上の進化は遂げていないのだとも言える。
直立二足歩行をするようになって600万年経つのに、いまだにわれわれの骨格は充分な対応変化を遂げていないというが、依存もまたそうなのかもしれない。
しかし、集団で生活しているメリットを、人類が手放せるわけはない。
依存の克服は、そこから切り出すようにしないと身につかないのだが、メカニズムを知っている人がそう多くはいないのだ。
自立する、ということの本当の意味が、われわれには分かりにくい。それはわれわれ自身が依存で構成されているからだ。
子供の頃はひとりでは何もできないので、保護者がいろいろと世話をする。
子供はそれを見て、好奇心が起これば自分でやろうとするが、すべてにおいてそうなるわけではないから、いつまでも保護者任せにしてしまうものも多い。
衣服の脱ぎ着や食事などがそうであろう。複雑で、すぐには習得できない。
ここで労力演算が働くと、保護者にやってもうらう方が楽、という結論を出す。自分でやるメリットなどあまりない、と判断する。親に一言、やってと頼むだけなのだから楽だ。
しかし社会的にはそうはいかない。いずれ自立するためには、身の回りのことは自分でできないといけない。
親はそう思い、子供の自我ができてきた頃から、とたんに厳しくなる。それが愛だ。
しかし、労力演算の完了した子供は、納得しない。昨日まではやってくれたのになぜ、と抵抗する。
親は、ひとりでできる方が偉いのだ、とかなんとか言って強要する。終いには叱り付ける。
ここでコミュニケーション依存が働く。
親を怒らせると、幼い子供は生命の危機を感じる。
食事も居場所も、自分一人では確保できないことを知っている。
斯くして、親の言っている意味は分からないけども、とりあえずがんばって服を着たり箸を使ったりしてみることになる。頭も身体もおっつかなくて疲れるが、やらないと親は機嫌を直さないので必死でやる。親を怒らせた場合の方が、労力がかかると計算するのだ。
これが、二つの力の関係である。
労力演算が極端にならないように、コミュニケーション依存の効果を使っていく。バランサーとしては最適なのだ。
そしてそれは本来なら、一人前に成長してしまえば不要になる力関係なのだが、最初は小さかったコミュニケーション依存の力が、いつしか労力演算を凌ぐくらいに肥大してしまい、人格のほとんどを支配してしまう。
われわれは概ね全員、そのまま年を取って終わる。
なぜなのだろう?
コミュニケーション依存が放棄できないのは、仕様上の欠陥のように感じられてならない。
あるいは、文明を持つ程に発達した知的生命体も、まだここまで以上の進化は遂げていないのだとも言える。
直立二足歩行をするようになって600万年経つのに、いまだにわれわれの骨格は充分な対応変化を遂げていないというが、依存もまたそうなのかもしれない。
しかし、集団で生活しているメリットを、人類が手放せるわけはない。
依存の克服は、そこから切り出すようにしないと身につかないのだが、メカニズムを知っている人がそう多くはいないのだ。
自立する、ということの本当の意味が、われわれには分かりにくい。それはわれわれ自身が依存で構成されているからだ。
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