過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
23 / 492
第1章

22話 人間族四人組

しおりを挟む
 ジャングルの薄暗い中を、四人の冒険者が歩いている。

 「木偶の坊。本当にここら辺なのかしら?」
 「俺を木偶の坊って言うんじゃね! 俺には立派な名前があるんだよ!」
 「そんなのどうでもいいのよ。薬草なんてどこにあるのかしら?」

 チクショ、俺にはデグって言う立派な名前があるのによ……。

 「やれやれ、デグはからかわれやすいですねー」
 「バカだからしょうがない……」

 俺を木偶の坊と言ったナイスバディはリサだ。そして、やる気の無い間延びした痩せ男はカール。俺をバカと言った小生意気なチビ助がベムだ。

 俺達は冒険者としての依頼の為、ここまでやってきた。

 「人の悪口を散々言ってくれるぜ……」
 「木偶の坊が弱いから良い依頼を受けられないから文句を言われるのよ?」
 「うるせ! お前だって弱いだろ!」
 「やれやれ、二人とも弱いじゃ無いですか」
 「「お前が言うな!!」」
 「みんな弱いと思う……」
 「「「……」」」

 俺達は食べる物に困った時は、よく薬草取りなど雑用系の依頼を受ける。

 「そういえば、四年前にも食べる物に困って、ここら辺に来た事あるな」
 「あー。あったわね」
 「あの時は本当に大変でしたね」
 「モンスターが居た……」
 「あぁ、あの時は小型が居て焦ったが、俺達にかかれば余裕だったな!」
 「余裕は無かった……」
 
 四年前にも依頼で薬草を取りにここまでやってきた。
 その際に小型モンスターが居たので挑んだら、案外簡単に勝てたぜ。

 「余裕とか言っているけど、木偶の坊単体だと、全く攻撃が通って無かった気がするわよ?」

 リサがこちらを向いてニヤリと笑っている。
 確かに、あの時は身体強化をして攻撃したがモンスター相手に傷を付けるのが精一杯だったな……

 「そういえば、あの時の小型は僕達以外に注意が逸れていましたね」
 「ベムもそう思った。何か別の獲物?を追っている様な感じがした……」
 「そうだったかしら? なんか大きい木に体当たりしていたけど、気にし過ぎよ」

 今思い出すと確かに、小型は木を次々と倒していた。
 だがあの時、周りに何かあったりしたか?

 「まぁ、いいじゃないですか。こんな任務さっさと終わらせて帰りましょう」
 「そうね。こんな所でモタモタして婚期を逃したくないわね」
 「もう遅いと思う……」
 「ベムー? 何か言ったかしら?」
 「な、何も……」

 リサに婚期の話は禁句だな。

 今回は薬草探しでここまで来たが本来こんなに遠く来る必要は無い。
 だが、人間族の国に近い場所だと他の冒険者達が居るので競争になり、それなりの量を採取する事が出来ない為、今回はかなり遠出をした。

 「それにしても、こんなに遠い場所まで来る必要あったのかしら?」
 「無い。絶対に無い……」
 「僕もそう思います」

 出発する前から、ずっとこの調子だ。

 「だから言っただろ? 近場だと取り尽くされているし、ここまで遠出すれば取り放題じゃねぇかよ! 見ろ! あっちにもこっちにもあるぞ」
 「だからと言ってこんなに遠出する必要ないわよ。ただでさえ、モンスターに遭遇する危険性だってあるのよ?!」
 「モンスターなんて前に俺達四人で倒したじゃねーかよ。大丈夫だって」
 「あれは小型一体だけじゃない。複数の小型だったり中型なんて来たらアウトよ?」


 女達はこの文明が無い所で一夜を過ごすだけでもキツイらしく、更に命の危険がある為物凄い御立腹である。

 だが、そんな危険な依頼でも来る理由としては、報酬が良いからだ。
 ただの薬草採取だが、ポーションに使う材料という事もあり、いつも品薄状態だ。

 ポーションは冒険者には必須アイテムであり、モンスターとの戦闘や、他種族との戦闘で怪我を負った際に重宝される為、冒険者はもちろん軍や一般人までも常にストックを持っておくのだ。
 基本人間族の住処でしか販売はされてないと聞く。そんなわけで、たかが薬草ではあるが、一房あたりの報酬が破格の為、危険を顧みず、ここまで来るわけである。

 「わ、悪かったよ。帰ったら酒奢るから」
 「料理もよ? 高いコースが良いわ!」
 「分かった、分かった」

 ふぅ。なんとか落ち着いてもらった。

 この薬草のオアシスは俺達しか場所を知らない為取り放題だ。
 四年前はかなり稼がせてもらったぜ。

 そんな時、地面からの振動が足に伝わった気がした。

 「今揺れたか?」
 「そうね。何か揺れた感じはしたわね」
 「ベムも感じた……」

 俺を含め三人が揺れを感じていたらしい。

 「みなさん、少しお静かに」

 そう言ってカールは地面にしゃがみ込んで手を地面に当てて目を瞑り始めた。

 しばらく、そうしていると足からの振動がどんどん大きくなってくる。

 「不味いですね……」
 「カール、どうしたのかしら?」
 「するなら、あっちの茂みで見えない様にしてね……」

 ベム……。可哀想な子だ……

 「恐らくモンスターです」
 「「「?!」」」
 「こちらに向かってきていますね」
 「カール、どっちの方向だ!」
 「多分ですが、南からです」
 「……迎え撃つぞ」

 俺の言葉に、さっきまでふざけていた連中は真剣な表情に切り替わり、頷く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

処理中です...