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第2章
33話 シクの末路
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デグという大柄の男はシクの事知っているのか?!
「デグさん! シクの事知っているのか?!」
「あの獣人はシクさんって言うのか……。もちろん知っているぜ! その事について俺たちはアトスの事を探していた」
ここに来て、シクの情報はありがたい!
……興奮して言葉遣い崩れたな。
「シクについて、教えてください!」
「もちろんだ。それと敬語は要らないぜ。さっきみたいに話してくれていい」
「そうそう、シクさんの子供なんだから私たちに敬語なんて要らない……」
さっきから、命の恩人とか言っているが、何のことだ?
言葉使いに関しては、本人達が良いと言っているんだしいいか。
「分かった。シクについて教えてくれ」
「あぁ……」
「……」
そこからは、デグとベムがここまで来た経緯と、仲間を失って、裏切られた事、更にシクがデグ達を助けた事、そしてシクの最後を聞いた……。
「そ、そんな……。シクが食われた……?」
俺は目眩がして地面に座り込み、いつのまにか泣いていた。
「俺が、俺が弱いから……。シクは俺のせいで……」
「それは違う! シクさんは一人だったら恐らく逃げ切れたと思う。だが、俺たちを助けた為に……。クソ……」
俺が自分自身を責めていたら、デグが否定した。確かにシクはデグ達を助けて結果的に食われたのかもしれないが、根本的な理由は俺が小型に食われない様に囮になった為だ。
やっぱり、俺のせいだ……。
それから、俺は一歩も歩けず一晩中、泣き崩れる。
デグ達はその間ずっと無言で俺の側を離れなかった。
シクが小型に食われたと聞いてから、俺は一週間程塞ぎ込み、その場を動かなかった。
デグやベムは心配して話しかけてきたり、慰めたり、ご飯の用意をしてくれたが、応える余裕も無くご飯だけ食べて一日中これまでのシクとの生活を思い出して居た。
シクは俺にとても良くしてくれて、優しかった。常に俺のお世話をしていた。
だが、訓練の時だけは厳しかったな……。
でも、訓練終わった後は必ず頭を撫でてくれて褒めてくれた。そして、毎日美味しい料理を作ってくれたな。
この十年間を振り返っていると、また涙が溢れて来た……。
だが、シクは寝る前に必ず俺に言い続けていた事がある。
「アトス、これからの人生をより一層幸せになってくれ……」
シクは寝る前にいつも言っていた。それは俺に聞こえる様に言う日もあるし、呟く様に言う日もあった。だが、毎日俺が幸せになれる様にと祈ってくれた……。
このまま、ずっと塞ぎ込んでてもダメだよな……。
こんなんじゃ、シクに叱られる。
俺は俺自身の為に、シクの為に幸せにならないとな!
幸せに生きていくと決意すると、ここ一週間ショックで立ち上がれなかった俺だったが、今はスクッと立ち上がる。
デグとベムが驚いてこちらを向くのが見える。
「デグさん、ベムさん、この一週間見守っててくれてありがとう」
「へへ! 気にすんな! シクさんの子供なら当然だぜ! あと呼び名もデグでいいからよ!」
「私もデグと同じ意見……。そして、アトスだけは特別に私の事を呼び捨てにしてもいい……」
優しい……。最初シクが人間を助けた事に疑問を持ったが、こういう優しい気持ちの持ち主なら納得だ。
とりあえず、俺は幸せになる。その為に何をすれば良いのか、まだ分からないがまずはスキルの儀式を受けに行くか!
スキルを手に入れてチートして異世界ウハウハしてやるぜ!
多少無理やり感があるが、今は無理やりでも気分を上げていけばいい。
「ならデグ、良ければ俺を人間族の住処に連れてってくれないか?」
「あぁ、いいぜ! 何か目的があるのか?」
「スキル儀式を受けたいんだ」
「そうか、アトスは十歳か」
「アトスなら、凄いスキルを得ることが出来る……」
「ベム、ありがとう!」
「……可愛い……」
何故かベムに抱きつかれた……
「や、やめろよ」
「照れている……可愛い……」
「ベムは俺と同じくらいだろ?」
「っぶあはははは!!」
デグが凄い笑っているな。
「ベムちゃんは、確かに見た目十歳だよなーー! ぷっ!!」
「ッカチン……。デグを私は許さない……」
ベムが弓矢を構えてデグに狙いを定める。
「あ! ベム、やめろ! あぶねー」
「何か言う事がきっとあるはず……」
「わ、悪かった。ベムさんは俺と同じ歳だったな」
え?! そうなの?! 俺と同じくらいの背丈だったし顔つきも幼いから同じだし、同じ歳くらいだと思っていたな……。
「ベム、俺勘違いしていたよ。ごめん」
「アトスは可愛いから許す」
「おい! 俺とアトスの扱い違いすぎるだろ!」
「……」
「無視すんな!」
明るいデグに、毒舌のベムと話していたら、俺も少しづつ明るい気持ちになって来た。
「ははは! デグとベムは面白いね」
「「笑った!」」
俺が笑った事が嬉しかったのか二人はとても良い笑顔を俺に返してくれた。
「よーし! アトス、俺に付いて来い! 人間族の住処に導いてやる!」
そう言って、デグは肩で風を切る様に歩き出す。
「アトス、バカには付いていかないでいい……。こっちだから、付いて来て……」
「べ、ベム手を繋がなくても迷わないよ」
「ふふ、アトス可愛い……」
そう言って、ベムはデグの歩き出した方向と逆に歩き出す。
「お、おい! なんで付いてこないんだよ! そっちか? そっちなのか?!」
誰も付いてこない事が分かったのか、デグは慌てて戻ってきた。
そんなやり取りを見て、この一週間俺の事を面倒見てくれた二人。
そして、俺を十年間育ててくれた母親。
なんだかんだ俺は人運に恵まれているな……
よし! まずは人間族の住処でスキルを手に入れるぞ!
「デグさん! シクの事知っているのか?!」
「あの獣人はシクさんって言うのか……。もちろん知っているぜ! その事について俺たちはアトスの事を探していた」
ここに来て、シクの情報はありがたい!
……興奮して言葉遣い崩れたな。
「シクについて、教えてください!」
「もちろんだ。それと敬語は要らないぜ。さっきみたいに話してくれていい」
「そうそう、シクさんの子供なんだから私たちに敬語なんて要らない……」
さっきから、命の恩人とか言っているが、何のことだ?
言葉使いに関しては、本人達が良いと言っているんだしいいか。
「分かった。シクについて教えてくれ」
「あぁ……」
「……」
そこからは、デグとベムがここまで来た経緯と、仲間を失って、裏切られた事、更にシクがデグ達を助けた事、そしてシクの最後を聞いた……。
「そ、そんな……。シクが食われた……?」
俺は目眩がして地面に座り込み、いつのまにか泣いていた。
「俺が、俺が弱いから……。シクは俺のせいで……」
「それは違う! シクさんは一人だったら恐らく逃げ切れたと思う。だが、俺たちを助けた為に……。クソ……」
俺が自分自身を責めていたら、デグが否定した。確かにシクはデグ達を助けて結果的に食われたのかもしれないが、根本的な理由は俺が小型に食われない様に囮になった為だ。
やっぱり、俺のせいだ……。
それから、俺は一歩も歩けず一晩中、泣き崩れる。
デグ達はその間ずっと無言で俺の側を離れなかった。
シクが小型に食われたと聞いてから、俺は一週間程塞ぎ込み、その場を動かなかった。
デグやベムは心配して話しかけてきたり、慰めたり、ご飯の用意をしてくれたが、応える余裕も無くご飯だけ食べて一日中これまでのシクとの生活を思い出して居た。
シクは俺にとても良くしてくれて、優しかった。常に俺のお世話をしていた。
だが、訓練の時だけは厳しかったな……。
でも、訓練終わった後は必ず頭を撫でてくれて褒めてくれた。そして、毎日美味しい料理を作ってくれたな。
この十年間を振り返っていると、また涙が溢れて来た……。
だが、シクは寝る前に必ず俺に言い続けていた事がある。
「アトス、これからの人生をより一層幸せになってくれ……」
シクは寝る前にいつも言っていた。それは俺に聞こえる様に言う日もあるし、呟く様に言う日もあった。だが、毎日俺が幸せになれる様にと祈ってくれた……。
このまま、ずっと塞ぎ込んでてもダメだよな……。
こんなんじゃ、シクに叱られる。
俺は俺自身の為に、シクの為に幸せにならないとな!
幸せに生きていくと決意すると、ここ一週間ショックで立ち上がれなかった俺だったが、今はスクッと立ち上がる。
デグとベムが驚いてこちらを向くのが見える。
「デグさん、ベムさん、この一週間見守っててくれてありがとう」
「へへ! 気にすんな! シクさんの子供なら当然だぜ! あと呼び名もデグでいいからよ!」
「私もデグと同じ意見……。そして、アトスだけは特別に私の事を呼び捨てにしてもいい……」
優しい……。最初シクが人間を助けた事に疑問を持ったが、こういう優しい気持ちの持ち主なら納得だ。
とりあえず、俺は幸せになる。その為に何をすれば良いのか、まだ分からないがまずはスキルの儀式を受けに行くか!
スキルを手に入れてチートして異世界ウハウハしてやるぜ!
多少無理やり感があるが、今は無理やりでも気分を上げていけばいい。
「ならデグ、良ければ俺を人間族の住処に連れてってくれないか?」
「あぁ、いいぜ! 何か目的があるのか?」
「スキル儀式を受けたいんだ」
「そうか、アトスは十歳か」
「アトスなら、凄いスキルを得ることが出来る……」
「ベム、ありがとう!」
「……可愛い……」
何故かベムに抱きつかれた……
「や、やめろよ」
「照れている……可愛い……」
「ベムは俺と同じくらいだろ?」
「っぶあはははは!!」
デグが凄い笑っているな。
「ベムちゃんは、確かに見た目十歳だよなーー! ぷっ!!」
「ッカチン……。デグを私は許さない……」
ベムが弓矢を構えてデグに狙いを定める。
「あ! ベム、やめろ! あぶねー」
「何か言う事がきっとあるはず……」
「わ、悪かった。ベムさんは俺と同じ歳だったな」
え?! そうなの?! 俺と同じくらいの背丈だったし顔つきも幼いから同じだし、同じ歳くらいだと思っていたな……。
「ベム、俺勘違いしていたよ。ごめん」
「アトスは可愛いから許す」
「おい! 俺とアトスの扱い違いすぎるだろ!」
「……」
「無視すんな!」
明るいデグに、毒舌のベムと話していたら、俺も少しづつ明るい気持ちになって来た。
「ははは! デグとベムは面白いね」
「「笑った!」」
俺が笑った事が嬉しかったのか二人はとても良い笑顔を俺に返してくれた。
「よーし! アトス、俺に付いて来い! 人間族の住処に導いてやる!」
そう言って、デグは肩で風を切る様に歩き出す。
「アトス、バカには付いていかないでいい……。こっちだから、付いて来て……」
「べ、ベム手を繋がなくても迷わないよ」
「ふふ、アトス可愛い……」
そう言って、ベムはデグの歩き出した方向と逆に歩き出す。
「お、おい! なんで付いてこないんだよ! そっちか? そっちなのか?!」
誰も付いてこない事が分かったのか、デグは慌てて戻ってきた。
そんなやり取りを見て、この一週間俺の事を面倒見てくれた二人。
そして、俺を十年間育ててくれた母親。
なんだかんだ俺は人運に恵まれているな……
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