過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

212話 アトスの頑張り

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 モンスターに追われ、体力が尽きてしまった三人を助ける為に俺も足を止めた。
 その影響かモンスター達も止まりロピ達を追うのをやめた。

「それじゃ、三人共心の準備はいいか?」
「これで死んでもお前を恨まねぇ」
「アトスには感謝している」
「後はアトスを信じるぜ!」

 三人は一度止めた足に更に力を入れる。

「よし、いくぞ!!」
「「「おう!」」」

 三人はまた走り出す。だが、既にモンスター達に囲まれている為、逃げ場は無いに等しい。
  
「ゴリ押しで行くぜ?」

 俺の合図で三人はモンスターに向かって走り出す。もちろんこのまま走ったらモンスター達に捕まり捕食されてしまうだろう。

「一回しか通じなさそうだけど、それでいい」

 三人は等間隔の距離を取り合って全力で走る。俺は三人の足元に黄色いラインを敷く。

「駆け抜けろ! スピード!!」

 三人がモンスター達に捕食される瞬間にスキルでスピードを上げる事により、とんでもない速さでモンスター達の間をすり抜ける様に駆け抜けた。

「よし!」

 いきなりスピードが上がった事によりモンスターは三人を捕まえ切れずに居た。そして三人はモンスター達の囲いを抜けて再び走り始めた。

「よっしゃ! 抜け出したぞ!」
「流石アトスだぜ!」
「次は、絶対に諦めないで走り続ける!」

 良かった……これで、三人はなんとか逃られそうだな……

「お、おいアトスの奴はどうするんだ?」
「い、いや分からねぇ。でもアトスの事だし何か考えがあっての事じゃねぇーか?!」
「そ、そうに決まっている。とにかく俺達は走り続けろって言ってたしアトスを信じようぜ!」

 三人が無事に逃げたのを確認した俺は一旦辺りを見回す。

「ふぅ……後はこの包囲網から抜け出せるかだな……?」

 俺がスキルを使用した瞬間に、明らかにモンスター達の標的が俺に切り替わったのを感じた。
 しかし、流石にこの数の為何体かは三人を追い掛けようと動き出す。

「息を吹き返したとしても、流石にお前達との鬼ごっこは、あの三人にはキツイから俺を見てもらわないとな」

 俺は、マーズから貰ったアルモノを取り出した。

「ふぅ……久しぶりに本気で集中しないとな……」

 俺が持っているのは、モンスターを誘き出す玉である。この玉は人間族が開発したもので、モンスターを惹き寄せる粉が中に入っている様である。

「さて! やってやるぜ!!」

 俺は手の中で玉を握り潰す。そして砕いた粉を自身に振り掛ける。すると、三人を追い掛けようとしたモンスター達も再び俺の方に向かい、今では完全にモンスター達の標的は俺になった……

「集中……集中……」

 モンスター達が俺に向かって一斉に向かって来るのが見える。
 いくら頭を使って行動するモンスター達であっても、この玉の効力には逆らえないのか、先程まで統制の取れた動きが、今は見る影も無い。

 俺は足に力を入れて走り出す。

「集中……集中……」

 モンスター達の動きを先読みして、俺はどんどん進んでいく。

「絶対生きて帰る」
 
 俺が一人でもこの世界で生き抜ける為にシクが考えてくれた訓練を俺はひたすらに続けた。それはシクが死んだ後も訓練の仕方は変えても、シクが考えた主旨であるモンスターの動きを先読みして逃げ切る……これだけを考えて訓練し続けた。その結果もあり、モンスター達の動きがちゃんと先読み出来る。

「こんな場所で死んでたまるかよ!」

 ひたすら先読みをして、モンスターの攻撃を避けて、動きを読んでどんどん進む。モンスターの攻撃を避ける度に冷や汗が滴れる。
 唯一良かった事は、モンスター達が多過ぎる為、逆に俺にとって有利な状況になっている事だ。モンスター達はお互いの身体がぶつかり合って一度に俺に向かってくるのは多くて四体程である。

「これなら、行けそうだ……」

 そして、その後もひたすら先読みして攻撃を避け続けると、とうとうモンスターの包囲網を抜け出す事に成功した俺は三人が逃げた方向とは別の方に向かう。

「後は、ひたすら逃げ続けてやる!」

 包囲網を抜け出した俺をモンスター達が追いかけて来る。このモンスター達から逃げ切るのは無理だが、ロピ達が戻って来るまでの時間は稼いでやる。

「やっぱり、シクはすげぇーや……」

 あんな小さい頃から俺の事を考えて、先読みの訓練を施してくれてたなんて……
 ロピやチルを育てて思ったが、俺はシクみたいに上手く二人を育てられている自信が無い。

 いつでも、死んでしまう可能性がある状況下にいる為か何故か昔の事ばかり頭に浮かんでくる。

「この、大群相手でもシクなら一人で逃げ切れたんだろうな……」

 実際は分からないが俺からしたらシクは何でも出来る人だった。俺は何一つ勝てた事が無いしな。

「はは、シクに会いたいな……」

 自分の心が弱気になって来たのが分かり、俺は再度気持ちを奮い立たせる。

「絶対に生きて帰ってやる!」

 まずは、ロピとチルが戻って来るまで逃げる!

 こうして俺はロピやチルと分かれてから長い時間、大群のモンスター相手に逃げ続けた……
 
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