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第6章

241話 協力体制

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「ガード!!」

 小型達が変異体に攻撃する前に、俺は変異体に青ラインを敷く。

 そして、変異体は直ぐに尻尾による攻撃を小型達に叩きつける。

「アタック!!」

 やはり、遠距離攻撃より近距離攻撃の方が威力が高いのか、小型達はボールの様に吹っ飛んでいく。

「パワーもかなりあるな……」

 だが、小型は次々と変異体に向かって突進や噛みつく小型まで居る。

「ガード!」

 いくら、サポートによって防御力が上がったとしても、多数の小型が一斉に攻撃する事により威力が増す。
 そして変異体の防御力を超える威力を持つ攻撃が出来上がる。

「コイツらを引き離さないと不味いぞ!」

 変異体に声を掛ける。もちろん変異体自体も小型達を引き離す為にトゲで攻撃や尻尾による攻撃、身体を震わせたりなどするが、次から次へと変異体の身体に纏わり付き動きを阻害する様な行動を小型達が取り始める。

「本当にやり辛い相手だな」

 俺自身も変異体に振り落とされない様に、右手でしっかりと掴み耐える。

 だが、時には一体の最強よりも数の暴力の方が勝る場合もある。
 変異体は徐々にダメージを負い、また小型達に噛み付かれて外装を少しずつ剥がされている影響で動きが鈍くなっていく……

 そして、とうとう目の前に中型が現れた。

 変異体は小型達に纏わりつかれている為攻撃が出来ない。
 俺と変異体に向けて尻尾を上から叩きつける様に振り下ろした。

「ガード!!」

 サポートをしたとは言え、とてつもない衝撃が変異体の身体から感じた。
 変異体の上に乗っていた俺の身体が一瞬浮くくらいの強い衝撃である。

 そして、更にもう一発、横払いで尻尾を動かした攻撃を喰らい。俺は変異体と一緒に飛ばされる。

「クッ……」

 中型の攻撃を食らった変異体は流石に限界なのか、直ぐに立ち上がれずにいた……

 そして、中型が再度奇声を上げると、また同じ事を繰り返す様に、まず小型が此方に向かって来る。



 この状況下で成功するか分からないが、俺はある事を思い付く。
 そして、それを実行する為に変異体に話し掛ける。

「な、なぁ! 中型に対して突っ込めるか?!」

 中型に指を指して、少しでも伝わる様に話し掛ける。

 すると、変異体は最後の力を振り絞る様にゆっくりと立ち上がる。
 
「悪いが、アイツに全力で突っ込んでくれないか?」

 変異体に問い掛ける様に話す。

 「今から、お前にスピードを上げるサポートを掛ける」

 俺の言葉に反応し、まるで理解する様に中型の方向を向く変異体。

 そして変異体に乗っている俺は、重心を落とすのを感じた。

「全力で頼む!」

 俺の声に呼応する様に変異体は奇声を上げて走り出す。

 身体のあちこちを小型に噛み付かれたり、中型に痛ぶられた為、走る度に振動で身体の体液が漏れ出ている。
 それでも変異体は走るスピードをどんどん上げていく。
 俺は変異体と中型の間に黄色いラインを敷く。

「スピード!!」

 黄色いラインの上を走る変異体は、とんでもないスピードで移動をする。
 それは、先程の万全な中型達と同じか、それに勝る程のスピードであった。
 あっという間に中型の目の前に到着する。

「そのまま突っ込め!」

 変異体は中型に対して突進するが、守る様に小型達が現れる。
 しかし目の前に現れる小型に対してはトゲを飛ばす事で対処する。

 俺は、変異体と中型が接触する直前に赤ラインを敷く。

「アタック!!」

 変異体の周りに淡い赤光が纏った。

 そして、二つの巨大な物体が激突する……

「どうだ!?」

 目の前にいる中型の様子を見るが、まだ息がある様で奇声を上げて小型達を一斉に変異体に向かわせる。

「ほんとうに、なんて生命力だ!」

 中型を見ると、既に虫の息だが、それでも生きている。
 だが、俺が考えている、ある事は別にある。

「このまま、連続で攻撃出来るか?!」

 俺は変異体に向かって叫ぶと、動くのもキツい筈なのに、変異体は尻尾で中型を攻撃し、更に半回転して頭で攻撃をするを繰り返し回転する様に攻撃を行う。

「スピード!」

 俺は、その回転に合わせる様に黄色いラインを敷き、半回転した後に赤色ラインを敷くを交互に繰り返す。

「アタック!」

 中型に尻尾による攻撃が当たる。

「スピード!」

 変異体の回転力が上がる。

「アタック!」

 更に、半回転した頭の攻撃が中型に当たる。

 変異体はどんどんと回転力を付けていき、俺は振り落とされない様に必死にしがみ付く。
 更に、変異体は回転しながらトゲも飛ばし周りにいる小型達にも攻撃をする。

「はは、そこまでは頼んでないんだけどな……」

 変異体の連続攻撃とトゲによる攻撃を喰らい続けた中型は地面に倒れる……

「よっしゃー!!」

 中型が倒れた事により、周りにいた小型達は一斉に背を向けて四方八方に逃げて行く。

 中型が地面に横たわったのを視認したのか変異体の回転が徐々に収まり止まる。

「なんとか、倒せたな……」

 変異体の身体から降りた俺は暫く中型の死骸を見つめる。

 そして、変異体が中型の死骸に近付く。

「な!?」

 だが、その後の行動を見て驚愕する。なんと変異体が中型の死骸を捕食し始めたのだ……

 




 
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